愛と性のクーデター
■アジアン雑貨ナイロン・タペストリー(ガンジャ・ブラック)【A送料】【12月23日 AFP】23日投開票された、クーデター後初のタイ下院選挙(定数 選挙区400、比例代表80)の出口調査で、クーデターで追放されたタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)前首相系の「国民の力党(People Power Party、PPP)」が圧勝する見通しとなった。同党は「民主主義の勝利だ」と宣言した。 PPPのスラポン・スープウォンリー(Surapong Suebwonglee)幹事長は「これは人民と民主主義の勝利だ。1年半前のクーデターがこの国や人々に利益をもたらさなかったことが示された」と語った。 首都バンコク(Bangkok)のアサンプション大学(Assumption University)の出口調査では、全480議席中202議席をPPPが獲得するという結果が示された。ラチャパット大学スワン・ドゥシット校の出口調査では、PPPの予想獲得議席は256議席だった。 タイで最も古い政党である民主党は2位を守ったが、他の4つの小政党は少数の議席を獲得したにとどまったとみられる。スラポンPPP幹事長は「間違いなく連立政権になるだろう」と述べた。同幹事長は多数派を獲得した政党が連立を組むことは「通常の慣行だ」と述べた。 タイの次期指導者を自認してきた民主党のアビシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)党首は、出口調査は予測の範囲で驚かないとし、「これでわれわれは2位となった。政権をつくるのは第1党の仕事だ」と述べたが、後に公式結果の発表を待っていると付け加えた。守銭奴政権のトップたるタクシン前首相を軍部が追放したクーデター。軍部は貧しき者たちの味方として立ち上がり、しばらくのあいだ憲法停止をし、非常事態の臨時軍事政権だったが、すみやかに民政復興を最初から約束しており、その約束は果たされ総選挙となった。だが、ここで勝利したのはタクシン母体の「国民の力党」となった。これにより亡命中のタクシン前首相は帰国し、軍部への報復がささやかれている。タイの下院は、日本の衆議院と同じく定数480だが、中選挙区で400、比例代表で80議席が用意されている。失脚したタクシン前首相の旧与党・タイ愛国党の党員の大半が移った「国民の力党」が第一党となる勢い。タクシン時代の最大野党だった民主党は、野党第二党以下の国民党や国家貢献党などと連立政権を模索するが、民主党自体は150議席前後にとどまる見通し。なぜこのようになってしまったのか。これはタクシン前首相に代わって、軍部が政権をクーデターで持って行ったが、軍部は律儀に民主主義を正しきとするあまり、早急に民政復帰をすすめ、総選挙でも軍部を代表とする候補者を立てずに、真摯に民意のままにしていったところにあろう。金権腐敗を沈静化させるのは、軍事力である。しかし、この軍事力というものを極力使わないで、なるべく早く議会制民主主義にしたいと考えるのは、現代の国際常識からすると当然であるが、あまりにも民主主義をおそれすぎて急ぎすぎると、金権腐敗政治の復興につながることもある。これでは時代の流れを逆に進めてしまい、タイは滞留するだろう。野党・民主党が、クーデターをおこした軍部と密接な関係があるならまだしも、ほとんど関係がないようであるから、軍部出身で、もちろん軍籍を離れた人々による新党結成による総選挙参加がもっともよい方法だったのではないだろうか。【CD】愛と性のクーデター/和久井光司 & Celluloid Heroes