|
カテゴリ:史劇
1882 アラトリステ
※オモテ面 【スタッフ】 ・監督・脚本 アグスティン・ディアス・ヤネス 「ウェルカム!ヘブン」 ・原 作 アルトゥーロ・ペレス=レベルテ ・製作総指揮 イニゴ・マルコ ベレン・アティエンサ ・撮影監督 パコ・フェメニア ・編 集 ホセ・サルセド ・音 楽 ロケ・バニョス ・衣装デザイナー フランチェスカ・サルトーリ 【キャスト】 ・ヴィゴ・モーテンセン(木下浩之) 「ロード・オブ・ザ・リング」 ・エドゥアルド・ノリエガ(桐本琢也) 「バンテージ・ポイント」 ・ウナクス・ウガルデ(武藤正史) 「宮廷画家ゴヤは見た」 ・ハビエル・カマラ(遠藤純一) 「バッド・エデュケーション」 ・エレナ・アラヤ(伊藤 静)「ウェルカム!ヘブン」 ・アリアドナ・ヒル(浅野まゆみ) ※ウラ面 【仕 様】 ・型 番 APD-1315 ・製作年度 2006年 ・製 作 国 スペイン ・原 題 ALATRISTE ・発 売 株式会社アートポート ・販 売 株式会社アートポート ・価 格 ---- ・提 供 ---- ・字幕翻訳(本編) 佐藤恵子 ・吹替翻訳 小島さやか ・吹替演出 依田孝利 ・字幕監修 加藤晃生 ・日本公開 2008年12月全国劇場公開作品 ・リリース 2009.06.26 ・収 録 139分(本編) ・サ イ ズ 16: 9 LB ビスタ・サイズ ・音 声 1.オリジナル[スペイン語] ( 5.1chサラウンド) 2.日本語 (2.0chステレオ) ・字 幕 1.日本語字幕 2.英語字幕 ・そ の 他 片面2層、MPEG-2、COLOR、複製不能、 DOLBY DIGITAL、2 NTSC 日本国内向、 DVD、レンタル専用 ・映像特典 ---- ※ディスク 【ジャケット】 ・オモテ面:17世紀、スペイン―― かつて栄華を極めたこの国に 最高の剣士と称される一人の男がいた。 〈誇り〉は戦場に求め 〈義〉は友に捧げ 〈愛〉は心に秘める ・ウラ面 :『ロード・オブ・ザ・リング』 『イースタン・プロミス』 (アカデミー賞主演男優賞ノミネート) ヴィゴ・モーテンセン主演最新作! [ヴェネチア国際映画祭] [トロント国際映画祭」 [ローマ国際映画祭] 正式出品 [ゴヤ賞] 3部門受賞・15部門ノミネート 世界中でベストセラーとなった冒険小説を 壮大なスケールで映画化した 歴史スペクタクル・アクション!! 渋いジャケットだなぁ。(笑) 暗雲が抜けて明るい空がのぞいている。その空を背景に立つディエゴ・アラトリステ(ヴィゴ・モーテンセン)。タイトルの下には、帯状に本編画像が並んでいる。あまりシャープではないが、セピア調に補正されたカラーには、よく似合っている。 ウラ面も、まずまずの出来映え。もう少しスケール感のある画像を使って欲しかったが、全体的には悪くない。 本編と同様に、堅実なデザインのジャケットだ。 【感 想】 「リアルな歴史大作に内包されたメロドラマ」 17世紀のスペインを舞台に剣士ディエゴ・アラトリステの半生を描いた歴史大作。冒険活劇を予想していたが、2時間超のメロドラマだった。とはいえ、映像の説得力はかなりのもの。時代考証に時間を掛け、その再現に力を尽くしたようだ。贅沢な大河ドラマを観ているような気分だった。 ――1622年、スペイン帝国の威光に陰りが見え始めていた頃、アラトリステは、傭兵として反乱軍との戦闘に参加していた。その最中、彼は伯爵の命を救ったものの、親友ロペを亡くしてしまう。今際の際に聞かされた最期の言葉を守り、アラトリステはロペの息子の面倒をみることになる。 ……というのがオープニング。 アラトリステを演じたのは、ヴィゴ・モーテンセン。あらためて見ると、イイ男だなぁ。ボロボロの服は着ていても、剣の腕は一流。権力や悪人、敵には立ち向かうが、女にはからきし。グジグジしている。正直、こういう上司にはついて行かない方がいいなぁ。破滅型の男だ。 ――1623年、アラトリステは、異端審問所の長官からイングランド人旅行者の暗殺を命じられる。けれど、何か釈然としない彼は、旅行者を助けてしまう。この旅行者こそ、イングランドの皇太子だった。 伯爵に助けを求め、皇太子は国王の寵臣に保護されるが、アラトリステは国外へと追いやられてしまう。 ……というお話し。 アラトリステは、人気女優で人妻のマリアを愛している。肉体関係は持つが、二人が一緒になる道を選ぼうとはしない。(分かるよ、結婚は墓場だからね) 亡くなった親友ロペの一人息子イニゴは、アラトリステの従者となる。イニゴもまた、貴族のアンヘリカに恋をしているが、彼女のツンデレぶりが楽しい。世情を見抜く目も持っているし可愛い。いいキャラだ。演じたのは、エレナ・アナヤ。『機械じかけの小児病棟(05)』、『私が、生きる肌(11)』では主演、『ワンダーウーマン(17)』にも出演していた。 ――1624年、アラトリステはネーデルラントでブレダの包囲戦に参加していた。戦闘は激しく彼が率いる傭兵たちも疲弊していたが、オランダ軍の攻勢を凌いだ彼らの戦いにより、戦いは開城をもって終結した。 ……という展開。 城門の鍵を渡す儀式を描いたディエゴ・ベラスケスの油彩画が本編に登場する。プラド美術館が所蔵するこの絵画は、スペインの騎士道精神を表した作品と評されているが、それは本作品におけるアラトリステの生き様に通じている。監督さんは、主人公のキャラと本作品のテーマを観客に解りやすく伝えようとしたのだろう。 ――10年後、スペインに帰国したアラトリステは、伯爵からオランダの船に積まれた金塊の強奪を命じられる。仲間を募り、船に向かったアラトリステだったが待ち伏せに遭ってしまう。船上での戦いは激しく、彼は多くの仲間を失ないながら船を奪うことに成功する。 けれど、その金塊が国民に還元されることも、傭兵への支払いに当てられることもなく、戦費や宮殿の贅沢な暮らしに回されてしまうことに深い義憤を抱く。それでもアラトリステは金塊を国王に差し出すのだった。 ……ということでクライマックスになだれ込む。 アラトリステとマリア、イニゴとアンヘリカの恋愛は、どちらも悲劇に終わる。 マリアは宮廷の慰みものになって梅毒を患い、病院暮らし。激しく後悔するアラトリステだが、時は戻らない。 当時、梅毒は、オランダ人からは「スペイン病」と呼ばれ、新大陸からもたらされたと信じられていた。 イニゴと駆け落ちしようとしたアンヘリカだったが、直前に思いとどまってしまう。王妃に仕え、いずれは大貴族への道も開ける。それは、彼女のみならず末代までの身分が保障されることだった。自分の子供たちの未来のために道を選んだわけだが彼女は終世、この判断を後悔することになる。 数十年に渡る歴史ものなので、わずか 2時間ちょっとのランニング・タイムでは、駆け足なのは否めない。当時の世界情勢やスペインの社会情勢も、日本人には馴染みがなく、かなり解りにくい。これは、この種の作品の宿命みたいなものだろう。日本の時代劇なんかも、外国の人が視たらチンプンカンプンに違いない。(苦笑) けれど、本作品には、それを補って余りあるほど、映像に説得力がある。当時の人たちの生活ぶりや風俗習慣が、さりげなく克明に描かれている。アラトリステが体現するスペイン騎士道精神も素直に伝わって来る。クライマックスの合戦シーンも戦力や戦略がよく分かるように描かれており、秀逸だ。 主義主張を盛り込まず、淡々と描かれた悲劇だが、歴史の波にのみ込まれることなく、二組のメロドラマが心に残る作品だった。(ちなみに、この物語の語り部はイニゴである) 真面目にオススメ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.29 05:30:06
コメント(0) | コメントを書く
[史劇] カテゴリの最新記事
|