テーマ:政治について(19789)
カテゴリ:医療問題について
今週の毎日新聞に名古屋市の市民病院改革の話題が掲載されました。
『名古屋市:病院局を新設 独立性高め経営改善--来年度予定 /愛知 名古屋市立病院の経営立て直しを図るため、市は地方公営企業法を病院事業に全部適用し、独立部局の病院局を新設する。 5市立病院の収支は02年度から赤字決算を計上し、累積赤字は約80億7000万円に上っている。 病院局設置によって市長から特別職の局長に権限を委譲し、独自に給与表を定めたり予算原案を作成するなどして経営を改善する。 21日開会の市議会11月定例会に条例改正案を上程し、来年度設置される見通し。 市病院管理課によると、東、緑、守山、城西、城北の5市民病院と市役所本庁の病院事業本部の職員数は合わせて約1500人。病院局の設置により、経営責任を明確にし、経営の自立を目指す。また、成果主義を導入して職員の意識改革を図るとしている。(11月15日 毎日新聞)』 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000050-mailo-l23 名古屋市の5市民病院事業を地方公営企業法のもとで、現行の健康福祉局の管理から外し、 病院局を新設し、その病院局長が管理責任者となる構想です。 地方公営企業法(昭和二十七年八月一日法律第二百九十二号) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO292.html 地方公営企業法の全部適用か?一部適用か?という細かい議論はここでは省略しますが(詳しくは下記サイトへ)、わが国の自治体立病院の主流は地方公営企業法の財務規定のみが適用される一部適用であるのに、名古屋市が地方公営企業法の全部適用まで決断した<管理者を設置し、人事労務をも委ねる>のは評価できます。 地方公営企業法(全部適用、一部適用比較) http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/06/dl/tp0602-1b3.pdf 主な変化は (1)事業管理者の設置。すなわち管理責任者が 市長 → 病院局 となります。 事業管理者は市長が任命し、 内部組織の設置、職員の任命、給与等の身分取り扱い、予算の管理の権限を得ます。 (2)医療法上の病院管理者(病院長)の任命者が 市長 → 病院局 となります。 (3)職員の任命者が 市長 → 病院局 となります。 (4)当該地方公営企業独自の給料表を設定可(人事委員会勧告の対象外) です。 (1)(2)について 管理責任者が市長から病院局長に移る。病院長の任命も病院局長権限となる。 病院局長も、局長が任命する病院長もこれ機に民間人の登用を考えてはいかがでしょうか? 名古屋市立大学で教授になれず市民病院の部長となり、年功序列に近い形で院長や副院長に登用されるという公務員的な人事を続けては市民病院の再生はありません。 病院局長についても、行政に精通していないといけないのであれば、各保健所勤務の医師免許保持者を登用してはいかがでしょうか? (4)について 給与が人事委員会勧告から外れるすなわち、安いといわれる名古屋市市民病院医師の給与を適正額に変更できることは職員のモチベーションをあげるのにも効果があると思います。 また、正規職員数を自由に変えられる(現在は職員数は定員管理の対象となっているが、これがはずれ業務の実際のニーズに応じて自由な対応ができる)ことも現場には朗報だと思います。 正規職員と同じ仕事をしていながら、職員定員の壁に阻まれパートや非常勤としての身分しか与えられない不自然な職員の身分はこれまたモチベーションの低下になっています。 しかし、課題も多い。 2007年度は5市民病院で赤字11億8000万円を出している。累積赤字80億7000万円にのぼる。 病院局を新設(来春にも名古屋市)中日新聞 http://kasamatsu.sakura.ne.jp/mizuhira/0711142.jpg 『5市民病院 赤字11億8000万』 中日新聞朝刊(8-29) http://kasamatsu.sakura.ne.jp/mizuhira/sidai.jpg 団体交渉権が認められるなどの問題点も(市民病院がストライキでは困りますよね)。 11月定例会(11月21日(水)から12月12日(水)まで)病院局新設 地方公営企業法全部適用 が名古屋市会の議案になるそうです。 水平かずえブログ http://mizuhira.sblo.jp/article/6775326.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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