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カテゴリ:時代小説
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その292・285冊目】
・紹介する本
・サノーさん一言コメント 「日本のヒーロー、ここに誕生。幕末を舞台に縦横無尽に活躍する、少年の憧れ」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「子供たちの夢と希望を載せて、天狗のおじちゃんが、新しい時代の幕を切り落とします」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):昭和のヒーローとして、前々の世代では有名な「鞍馬天狗」が、実は幕末維新ものの時代小説だったとは、全く知らなかった。 ウノーさん(以下ウ):紙芝居と時代劇の印象が強いですが、原作は昭和の巨人・大佛次郎の子供向け時代小説だったんですね。 サ:痛快なのは確かだが、幕末の情景、日本人が敵と味方に分かれての争乱の時代に、グイグイ惹き込まれる。 ウ:これを当時の小学生が読んで熱狂していたのだから、レベル高いです。 サ:いまのように「娯楽」の選択肢が、無数にあったわけではないからな。与えられた限られた素材で、自分の創造力と空想力をフル回転させながら楽しまなきゃならなかったわけだから、レベルが高くなるのは当たり前だな。 ウ:この『角兵衛獅子』は、鞍馬天狗の良き相棒である「杉作少年」が、登場する回ですね。 サ:もともとが少年誌向けの書下ろしだから、主人公はおのずと少年、少女となる。 ウ:幕府側、維新側、入り乱れての大活劇です。 サ:そのなかで、無敵の強さを誇り、維新側の影として活躍するのが「鞍馬天狗」こと「倉田典膳」なわけだ。 ウ:その無敵の天狗も、策略により大阪城に捉われてしまいます。 サ:そこで勇敢なる少年少女の代表「杉作少年」の大活躍となるわけだ。 それだけなら、この物語は「子供向け空想小説」の域に留まってしまうが、そこは「時代小説の傑物・大佛次郎」、そんな陳腐な「仕事」はしない。 ウ:物語に捻りを加え、さらに「武士道」と「漢(おとこ)の道」というスパイスを効かせて、大人でも存分に楽しめる、現代でも通用する「娯楽大作」に仕上げています。 この素晴らしい原作を元に、大俳優・嵐寛寿郎が演じたのですから、当時の人々は熱狂は止む無しと言えます。 サ:いや、それが「鞍馬天狗」シリーズが進み、社会現象となったところで、大佛先生は「異議」を唱え、タイトルの使用権停止を訴えたらしいぞ。 ウ:理由としては「原作とあまりにかけ離れた」こと、「劇中で人を斬り過ぎたこと」があったみたいですね。 サ:原作と映像が別物になってしまうのは、今も昔も変わらないジレンマだな。 ウ:利潤や人気のみを追求する人がいれば、いつだって起こり得ることです。 【了】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年12月22日 07時35分30秒
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