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カテゴリ:文学
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その499・492冊目】 ・紹介する本 ・サノーさん一言コメント 「幼少期の思い出を淡々と描きながら、現実と幻想の世界を紡ぎたす。美しい思い出が古き良き日本の社会を伝える」 【サノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・ウノーさん一言コメント 「子供の頃、世界はただ広く、大人は自分とは違う生き物でした。出会いと別れが、坊ちゃまを大人へと成長させます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):引き出しの奥の小箱には「銀の匙」が入っていて、それは、子供の頃の思い出と直結している。 ウノーさん(以下ウ):追想小説は色々ありますが、儚さと美しさで、ファンの多い作品です。 サ:1900年初頭の日本の姿、人々の生活が、ありありと浮かび上がってくる。 ウ:ノスタルジーというと簡単ですが、なんとも言えない「懐かしい気持ち」がこみ上げてきます。 サ:もちろん、ウチが生まれるよりもはるか前の「日本の姿」なのに、懐古的な印象が強い。 ウ:やっぱり、自分の記憶ではない記憶から、そういう感覚が生まれるのだと思います。 サ:主人公は、比較的裕福な家庭に生まれ、「坊ちゃま」として育った。 ウ:当時の「神田」は、火事喧嘩泥棒が横行する「無法地帯」だったんですね。 サ:ほんの100年ほど前の「東京」の姿が、あまりにも現代と違うことに驚く。 ウ:でも、子供の眼からみた「世界」は、それほどの違いはありません。 サ:たくさんの出会い、大人との関わり、同世代の子供との関わり、少し年上の女性へのあこがれや、兄弟ケンカなどは、時代が経っても変わるものではない。そのあたりの描写が巧みで美しいから、誰の心にも「子供時代」の情景が蘇ってくる。 ウ:友達との出会いと別れ、子供であるが故の「無力感」や「焦燥感」も、多くの人の胸の奥にある「思い出」とリンクします。 サ:そして、成長するにつれて、子供の頃は「絶対的保護者」だった大人が、逆に衰えて、弱くなっていく状況に直面する。 ウ:暖かく、大きく、守っていてくれていた大人の手が、小さくしおれている姿に、哀しみを覚えるわけです。 サ:だが、それでも人生は続いていく。日々のなにげない積み重ねが、今という状況を生み出し続けている。 ウ:だから、たまに立ち止まって、自分の子供の頃を思い出すことは、大切なんです。 サ:あまりにも多くの「日常」に押しつぶされてしまう前に、子供の頃の喜びや楽しみを思い出し、その上に現在があることを認識する必要がある。 【了】
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最終更新日
2018年07月16日 08時48分16秒
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