カテゴリ:音楽
午前5時起床。晴れ。北風はやんだが寒い。霜降。
昨夜遅く、いや未明に吐き気がして嘔吐と下痢。原因は年末年始に薬を飲んで弱った胃へ焼肉を入れたからかな。それ以外考えられない。でも目が覚めたら体調はいい。痰の出も減った。谷崎を読みながら新聞の来るのを待つ。ストーブを焚くと部屋が暖まり、とても心地よい。 朝食を食べたあと、午前10時前、近くの神社へお参りし、豊後高田市へ向け妻と出発。今日はその町でチェロコンサート。エリック・マリア・クテュリエのバッハ無伴奏全曲演奏。「清照」という河口近くにあるホテルが会場。昭和の町の「伯剌西爾珈琲舎」という喫茶店でカレーを食べ、ちょっとだけ散策してから会場へ入る。 演奏は素晴らしかった。スピード感の中にあってバッハ特有の深い精神性がよく醸された。以前、アメリカの音大教授の端正で教条的な演奏を聴いて痺れたことがあったが、私の好みは今日の方い。ところどころにミスはあるものの、全体としてのまとまり感が強く、余韻がおおきい。熱演だった。 氏はまだ40歳にはなっていないだろうな。精神を統一し、小さな、しかし力強いうなり声とともにひき始めた。1番プレリュードの冒頭から引き込まれた。松脂を利かせた無骨感のある弓捌き。休憩を挟んで5番まで彼は瞬きもせず、はるか会場の奥、一点を見つめたままうねるように紡いでいく。チェロもよく鳴った。 演奏会が跳ねた後、通訳の女性に「この楽器は何ですか」と尋ねたら「チェロです」。隣の妻が笑い崩れた。私「いや、そうじゃぁなくてその、制作者の名前とか・・・」。彼女「あっ。そうですよね。」と赤面。そのあと、このチェロは流れ物(質流れ)であり、明らかにすると関係者に迷惑がかかる、話したくない旨との答えが返ってきた。見ての感じは特別ふ古くはないようだけれど。楽器のいわく因縁はともかく、彼女には私の姿が、チェロコンサートが跳ねた後、その楽器の名前が判らずに問う間の抜けた男に見えたのだろうか。妻の笑いは家に帰り着くまで止まらなかった。 さて、氏はベトナム人。風貌は日本人のよう。幼い頃母親を亡くしたことがパンフに書いてあり、演奏に先立って、フランス人の家庭へもらわれていったというような旨の紹介もあった。コンセルバトワールを首席で卒業したという。演奏中、遠くの一点を見つめるような視線の先にあるものが何なのか、想像をかき立てられる生い立ちのようだ。 帰りに妻が宇佐神宮へお参りしたいというので立ち寄る。午後5時過ぎ、混雑はしていないがかなりの人出。駐車料金を400円取られた。参道にはたこ焼き、焼きそば、焼きトウモロコシ、その他縁日でよく見る類の出店が並ぶ。奥の神殿に近づくと、鬱蒼とした森になる。途中からは破魔矢や札、お守りを売る建物が続く。アルバイトと思しき巫女さんたちは全部で30人くらいかな。白い羽織に赤袴、その一人に寒くないかと問えば「寒いです」。神社から電気座布団を提供されているが、折からの冷え込みにはあまり効果がないと嘆いた。神殿のまえでは関係者数人がガードマン立ち会いのもと賽銭箱のお金を集めているところに出くわした。ちりとりですくい、袋に詰めている。細長い枕の格好をしたものがすでに10本ばかり台車の上に積まれていた。この袋、銀行のものかな。 おみくじの場所に人だかりが出来ている。近づいてみて驚いた。一等北海道ペア旅行、二等高級バック・財布、三等云々という大きな看板。これではおみくじではなくただのクジだ。まあそれでもお札やおみくじは欲しい人、買いたい人がいるのだから、それはそれでいい。 妻の話によると、この神宮、トイレットペーパーが備わっていないのだそうな。全てかどうかは判らないが、少なくとも中央にあって一番先に目につくところのどのボックスにもなかったという。ねぇ神官さん、クジ付きおみくじを500円で売ることにわたしはクレームをつけないけれど、トイレットペーパーは補充してよね。 私は賽銭を投げず、柏手も打たなかった。境内のたこ焼き屋で大きなタコ入りという6個500円のものを買って食べたら、確かにそうだったので満足。 帰宅は午後7時半。風邪に伏せった年末年始だけに、このコンサートでやっと正月気分。心が華やいだ。ラリビエール2004を抜栓。熟成感あり。いいワインだ。箱根駅伝のダイジェストを見ながらスモークサーモンと合わせる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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