カテゴリ:山
Thursday, April 8, 2021 晴れ時々曇り 19.5℃ 9.2℃ 午前4時起床。 朝餉をしていて、親方からTELあり。 「あんちゃん、どげーかぇ。大けな木がおまいぅ待っちょるんよのぅ。長げーバーぅ持っちょんたんがよかろうのぅ」 山への誘いでした。普段使いのチェーンソーでは切ること能わずの杉に行き遇わせたようでした。午前9時前、襤褸に着替えて出発。写真は切り出しに到着の図です。親方は随分高いところまで切り登っていました。散髪に例えると「刈り上げ」です。それにしてもです、彼は75才。チェーンソーを抱えての一人仕事、大したものです。 ![]() ん?平地の隅、輪子の上に樫を並べてくれていました。先日、私がここの中腹に倒したものを、ユンボで引いて下ってくれたのでした。ウラ(枝の先)を付けたままでした。蒸散作用の効いて、木中の水分がとんでいる筈です。これ、玉切って薪ストーブの薪にします。親方、ありがとう。 ![]() さてと、取りかかるか。作業道を登っていきました。急勾配を6Kgのチェーンソーを抱えてです。作業道から斜面にいると、足下が緩く、足を取られます。難儀でした。重ね重ね親方は若い。 ![]() 切り出しに着いて振り返ると、波越奥の山並みを俯瞰出来ます。山桜は疾うに終わり、新緑を見て取れました。余談です。正面奥の山を左に越えると木立・大仲尾辺りです。土地の人は向こうから見た稜線を神武代(かんむしろ)と呼びます。 ![]() 大木に取り付く前に20本ばかりを始末しました。写真は小休止の私です。背中が今日の目的です。 ![]() 一休みの後、バーを交換しました。 ![]() チェーンの長さは見ての通りです。然程変わらないように写っていますが、バーに収めたら7cmの差があります。木を切る折は左右から刃を入れます。向こうこっち、合わせて14cm、余計に切ることが出来るのです。この差、小さいようで大きいのです。 ![]() 倒す方向の根元に受け口を取ります。 ![]() 受け口の中央から芯に向けてバーを差し込んでいきます。芯抜きです。 ![]() それが終わると、今度は向こう側から刃を入れていきます。途中、3本、矢を打ちました。 ![]() 竣工図。切り口を見て下さい。手前味噌ですが、テーブル状、まっ平らです。惚れ惚れするような断面です。 ![]() 今日はこの位で堪えてやろうか。斜面を下りました。軽トラの荷台を台に使い、短いバーに戻しました。余談です。大は小を兼ねるという言葉がありますが、ことチェーンソーバーに関しては、それが当てはまりません。長いと、先の当たらぬよう大きく振り回す必要あり、面倒です。普段使いは短いに限ります。写真は私の取り替え作業を見ながらブツブツ喋る親方です。肩に担いでいるのは尺竿です。玉切る際の物差しです。曰く 「おまいんブログぃシジミを書いちょったろうが。あるぅー掘りぃ行きてぇのう。美味かったんかの。筍も食いてぇのぅ。今度茹でたら2~3本、うんだ~にもくりぃーの。うちなぁねーんよ。あっても掘るんが面倒くせぇしのぅ。畑仕事もよだきーしのぅ。こん頃ぁおまい、山ばっかしで菜園ぁ草ボウボウよ。ほいての、話ぁ違うけんど、今、テレビはどん位するもんじゃろーか。今度結婚記念日なんよのぅ。50周年じゃわい。50万くらい出さなぁいけんのじゃろうかのぅ。えっ、そげな値な。そらー助かるわい。儲けた儲けた。そらーそーと、おまいぁ選挙、誰ぃ入るるんな?おりゃーおまい、市会なぁ入れ手がおらんのよのぅ。スピーカーでおらんであるくぬぅー聞いてもよーわからんし、お願いしますお願いしますっち言われてもなにぅお願いされよるんか判らんしのう。うぐいすんおなごしが名前ばっかし言うなぁ、ありゃいけんわい。態とらしゅーに聞こえてならん。市長選も同じじゃー。ここは一発、政治を変えなぁいけん。おなごしがいいような気がすんよのぅ。目線が優しかろーが。そんしーいりゅーっち思うちょるんののう。お前もそげーしーの」 へーっ、親方は選挙に関心があるんだ。 ![]() 次の写真は帰り道の波越集落です。山藤が咲き始めていました。熊蜂がブンブン。 ![]() 蓮華畑が満開です。 ![]() 家に戻る途中、親方が欲しいと言っていたのを思い出し、筍の穴場へ。竹藪を覗きましたが空振り。襤褸を脱いで、昼をしました。午後は書斎に読書。飽いて音楽。ウトウトなりました。写真は浅い眠りから覚めて、居間から見上げた桜です。すでに葉桜。 ![]() 台所を覗くと、妻が蕨を始末していました。灰汁取りの緑が何とも柔らかい色合いです。 ![]() 隣のおいちゃんが茄子の畝をこさえていました。声をかけたら、これを見て、と言いました。早くも茄子と胡瓜の苗を入手。植えるのだそうです。余談です。おいちゃんの年齢は80を過ぎています。彼に、野菜作りを教わっています。透析に通うようになって数年が経ちます。最近、鍬が重いとこぼします。長生きして欲しいなぁ。 ![]() 夕刻、Rさんと散歩しました。途中、久しぶりにハルと行き遇わせました。赤犬の目はこんな色合いが多いとはRさんの弁。ふーん、そうなんだ。耳の垂れてぐりぐり眼、何だかイギリスの子ども映画に出てくるドラゴンのような感じです。 ![]() 先日刈り終えたイタリアングラスは乾燥がすすんだんでしょうか、今日はロールになっていました。 ![]() 今日の晩ご飯はチキンライスと聞いていました。それを当てに冷酒をクイッ。ミスマッチのようで、そうでも無かったです。 ![]() 添えられた汁物は菠薐草。まだ続くのかな。 ![]() デザートは昨日採りに行った八朔です。完熟でした。甘い! 二人して貪るよう、いただきました。 ![]() 今日の一句 春山に杣夫の響き緑濃し 今日のラン なし 今日の酒 アイリッシュウイスキー1ショット 冷酒2合5勺 今日の音楽 チャイコフスキー 交響曲6番 フリッツ・ライナー シカゴ響 今日の写真は猫です。山に向かう途中、波越集落の水田脇に佇んでいました。 ![]() 近づいてみました。なかなかいい面構えでした。 ![]() おまけはアムールです。拙宅に立ち寄るのは何ヶ月ぶりだろう。勝手口横の棚に座っていました。おお、久しぶりだな。元気にしていたかい?お前の姿を見るとバイカルを思い出すよ。この顔に見入って、ふと思い出しました。荒井柱「なんだ、バカヤロウ」
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おはようございます。
切り倒した後の切り株、おみごと! この上にアテを広げて宴会ができそうです。 レンゲ畑、きれいですね。 以前は通勤時の車窓からこの季節にレンゲ畑もちらほらと見たのですが、最近は見ません。意外と手間がかかるのでしょうか。 (2021年04月09日 07時35分33秒)
こういった大木というのは自然林の木なんでしょうか。遠目には、他の木は太さがほぼ揃っているように見えます。同時期に植林された人工林なら太さに差はないような気がしますし。
さて、ご記憶にないかもしれませんが、以前NHKの”ウルトラ重機”を視聴しているとコメントしました。実は、視聴の最初のきっかけは貴ブログの大木の伐採です。その時タイミングよくカナダの林業機械が”ウルトラ重機”でとりあげられた再放送か何かを視聴したわけです。平地に林立した木が、数種の重機によりパルプ用に伐採され、枝払い、樹皮除去、集積されていく、その破壊的な生産性は驚きでした。確か120本/hrの処理能力だったかと。 パルプ用とか建築用で樹種が異なったり、山間部では平地のように効率的な作業は不可能だろうとは思います。が、日本の林業が、その恐ろしいまでの生産性を持つ重機が使用されている北米の林業と伍していくのは相当な困難を伴うだろうという印象を持ちました。 と、まぁこんな端緒で”ウルトラ重機”を視聴するようになった次第です。 (2021年04月09日 13時08分17秒)
八朔、完熟なんでしょうが見ているだけで唾がタップリ出てきます。
それと切り口、ホントに真っ平ですね。凄い!顔は陰で見えませんがきっと自慢げな顔してるんでしょうね。 更にもう一つ、親方の話です。いつも思いますが字を見ても多分こんな事を話してるんだろうなー程度です。大分弁なのか佐伯弁なのか、きっと直接聞いたらサッパリ何だろうと思いました(笑)。 (2021年04月09日 16時36分34秒)
見事ですねー
禁玉さんの言う通り、この上で宴会をヤッテみたいです 木の香りがして、イイ感じかもしれないですね この杉山は人工林ですよね なぜこの木だけが大きいんでしょう? (2021年04月09日 17時39分14秒)
禁玉減酒さんへ
褒めて頂き、嬉しいです。こうも水平、綺麗な面になると、エクスタシーを感じます。 レンゲ、手間いらずですよ。一度種を蒔いたら、毎年田打ち前に花を咲かせます。早期米だと能わずですが、普通作の水田は十分間に合います。前にも書いたことがありますが、レンゲの根に根粒を成し、窒素を固定するのです。鋤いて肥料になるのです。 (2021年04月10日 07時05分42秒)
作業員さんへ
どういう経緯なのかわかりませんが、年輪を見て樹齢の違いは明らかです。遙か昔、山の境木として植えたものなのか、自生なのか。 ウルトラ重機番組聴視のきっかけになったとは、嬉しいです。林業機械、その番組を見てはいませんが、恐らくハーベスターかと。最近、大分・佐伯でも見かけるようになりました。おっしゃるとおり、斜面の倒木はチェーンソーに依りますが、集材の後はこの重機であっという間、製木されます。その作業効率は驚くばかりですね。 ちなみに、今、私と親方の倒している杉は全て中国向けだそうです。 (2021年04月10日 07時12分24秒)
こよなく….。さんへ
八朔、とても美味しいんですよ。落果寸前、太陽の光をたっぷり浴びた柑橘は堪りませんな。 切株の水平、テーブル状に切ることが出来たらエクスタシーです。自己陶酔の極みですね(笑い)。 方言のことですか。そうでしょうね。実を言うと、私のブログを読んで下さる中に当地出身の方が幾人かいて、そのニュアンスを楽しんでくれるんです。快感とは違いますが、得もいえぬ妙にくすぐったいような感じを受けるようです。 北海道の浜言葉と同じようなもんですよ。 (2021年04月10日 07時17分23秒)
亮おじさんさんへ
一休みする折、切株の上に腰掛けたら、パンツが濡れました(笑い)。 この木、多分、境界を示すために植えられたのだと思います。倒してはいけなかったのかもしれません(笑い)。 (2021年04月10日 07時20分42秒)
一人親方杣夫さんへ
古いエントリへのコメントで今更なんですが、 >ちなみに、今、私と親方の倒している杉は全て中国向けだそうです。 事情が判りました。 木材木価格急騰!ウッドショックから見える日本林業の脆弱さ https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20210511-00237279/ ウッドショックって何? http://blog.livedoor.jp/fromvancouver/archives/52577163.html (2021年05月11日 09時45分17秒)
作業員さんへ
ウッドショックという言葉、始めて聞きました。 なるほど。 リンク先に「ピンチをチャンスに、ではなく、チャンスをピンチに変えているような」は腑に落ちます。 コロナ禍をしての・・・と同じかと。 (2021年05月12日 05時27分27秒) |
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