カテゴリ:人の話
Tuesday, October 18, 2022 晴れ 西北西の風平均風速3.3 21.8℃ 16.0℃ 午前4時起床。 午前7時半出社、午後6時過ぎ退社。 朝、玄関を出がけ、見送ってくれる妻に声を掛けました。彼女、今日、白内障手術を受けるのです。目の霞みをして眼科医を受診。それほどまでのことはないと言われました。症状が気になるので、セカンドオピニオンを受けました。突然緑内障になる恐れの拭い去れない、そう言われ、思い切ることにしたのでした。 夕方帰宅。その経過、様子を訊きました。手術は痛くも痒くもなかったとのこと。点眼麻酔をし、眼球に針を差し込んで水晶体を破壊、それを吸い出し、新た、代用のレンズを入れたそうです。雑菌に感染してはいけないということで、顔にピタリ張り付いたゴーグルのようなものをしていました。3日間、洗顔できずとのこと。怪しかった手元の文字が術後にははっきりと、だそうでした。先ずは祝着です。 戻ります。午前は週一開催の定例会議。 昼前に会社を出ました。大分市へ向かいました。一人、社用車を駆って、でした。久しぶりの外出です。いつもはコンビニのサラダ、nkucchanに言わせるとウサギの餌が昼食ですが、今日は贅沢をしよう。Sという高級(?)回転寿司に突っ込みました。しめて3.5ラーほどを食べました。 腹の膨れ、Rホテルへ。今日はそこで大分大学理工学部50周年記念事業式典があるのでした。私は社長の代理。学長や学部長の挨拶、知事の祝辞もありました。皆さん異口同音、1964年、大分市が新産業都市に認定されて以来、製鉄・石油化学のコンビナートに技術者を送り込んできた大学の貢献を強調、今後も引き続き地域発展に寄与する人材輩出を期待、と仰いました。その通り、弊社にもこのOBが何人も働いています。 式典の終わり、講演会がありました。講師は相田卓三氏。ノーベル賞発表の季節になると、マスコミに名の上る高分子化学分野の第一人者です。知る人ぞ知る有名人。演題は「研究者人生を選んだ理由とこれまでを振り返って」。1時間を3つに分け、生い立ちと師との出会い、ラボ(研究室)の空気、主な研究の概要、それぞれを平易、分かりやすく話してくれました。冒頭、大分県佐伯市の出身を話しました。私のまちだ。それまで知りませんでした。以下はその抄録です。 (生い立ち等) 中学までを田舎に過ごし、高校は県内随一の進学校・大分上野丘高へ。3年間、下宿生活を送った。横浜国大工学部に進学、縁あって東大の院へ進んだ。院生時代、難儀のテーマを選択、2年間は鳴かず飛ばず、結果が出ずに倦んだ。ある時、深夜の実験室に光明が射した。その時は震えた。それまで自分は、滂沱の映画を見ても決して泣かない、感動を表に出さない人間と思っていたが、実験器具の示す結果を手にする折、震えが来た。この感動をして、初めて研究者の喜びを知った。振り返ると、それはひとえ、指導教官に恵まれたことあってのこと。我々研究員は指導者100人のなかから師を選ぶことはできない。たまさかの出会いにより、運命が決まると言っても過言ではない、指導者の人格により、歩む世界が決まるとも言えよう。私はその意味で幸運だった。素晴らしい恩師に巡り合った偶然に感謝する。何だか結婚と同じような感じかな。 (ラボの空気) 院生時分の研究成果あって、助手に採用された。以後、教室を持つようになって次のことをモットーとした。 Be optimistic 楽観視、楽しく Be interactive 相互関係を見つめて Be independent 中立・独立 公平な目で Don’t be passive 受動的・消極的はあかん Don’t be exclusive 閉鎖的・排他的になるな English for all. Meeting official Language 英語は地球語 ラボの会話はすべて英語で通した。 新人にはやったことのない研究テーマを求めた。ラボのしきたり、決まり事などは設けない、いわゆる雑巾がけはさせない、みな平等。論文発表の際は、ラボの権威を振りかざさず、書いた本人に花を持たせた。オープンディスカッションに英語を用いたのは留学に備えて。私のラボは院生を最低1年、留学させることにしてある。出発前、直立不動・上下関係にピリピリの若者が、戻ってくるなり教授の私に向かって握手を求め「やー、久しぶり」。人格が変わり、日本人とコスモポリタン、二つのパーソナリティを備え持つ人間に成長する。大学は学生を大切にしなければならない。私はこれまでアカデミアを変えるつもりでやってきた。彼らにアンビシャスを持たせてあげたい。大学教員の最大のミッションは、人材育成だ。私の部屋はノーノック。常々、ノックをせずに入ってこい、敷居は低い、その姿勢を心がけている。 (主な研究の概要) ~素人、門外漢の私が書いても、意味不明になります。きちんと伝わりませんから、省きます。概ね、次のようなことではありましたが。高分子結合の制御には磁場が重要な要素になること、海水から真水を作ることは理論上ごく簡単、今の500倍の効率で水を流すことのできる管を作ることができる~ (最後に) 基礎研究と応用研究は対峙しない。応用研究は未だ存在しない基礎分野の発掘を可能にする。早く工学部と医学部をなくすべき(理工学部が代わりの役割を果たす時代となった)。技術力がなければ日本は凋落。 とまあ、以上のような内容でした。いい話でした。氏の講演は大分大学理工学部のホームページにアップされれるようです。興味のある方はどうぞ。 https://www.st.oita-u.ac.jp/ceremony/ceremony.html 余談です。来賓の方々は多忙なのでしょう、同業他社、私と同じ立場の方々も式典が終わると、こぞって退席。私は予定のないことを幸い、残りました。いい話を聴くことができました。聞かずじまいの皆さん、残念でした。写真は式典の始まる前、会場の様子です。 夕日の奇麗な時刻、東九州自動車道を南下。一度社に戻り、残務整理。午後7時前帰宅。夜のお勤めをしながら、アマゾンプライムで映画「ドライブ・マイ・カー」を観ました。途中で寝落ち。 今日の一首 深々と更けゆく秋の夜長には今際の際の恩師を想う 今日のラン なし 今日の酒 三楽20馬力ロック正味2合 今日の音楽 バッハ カンタータ オムニバス 今日の写真は帰りの高速道路です。九重連山に落ちる夕日がいい色合いでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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