客車普通列車
わたしが電車に乗り始めた40年前ころまでは、急行列車などの長距離列車や東北や山陰、九州には普通列車として客車列車が走っていた。とりわけ、羽越本線での50系の長距離普通列車に乗ったときの、発車のさいの機関車の汽笛、ガクンとしたショック、それに続いて、ボックスシートの足元がガタガタ鳴ったことをいまでもよく覚えている。車内オルゴールも鳴らされ、ハイケンスだったと思う。機関車が牽引する客車列車は、列車を組成するとき、両数には自由度があるが、終点での機関車の付替え、列車の組成に連結作業に手間を要し、合理化のため、日本各地から徐々に姿を消していった。2016年3月の急行はまなすがJR線での営業列車での最後の客車列車となっている。JR線での普通客車列車は、これに先立つこと15年まえの2001年に営業運転を終了している。真岡鐵道では、SL列車を車庫のある真岡駅に引き上げるためにSL運転日に限り、普通乗車券だけで乗車できる客車普通列車が運行されているのである。茂木からのSL列車が、下館駅に入線。この列車の真岡側に待機していたDE10型ディーゼル機関車が連結される。この列車が、真岡行きとなる。実際に乗車できるのは、3両ある客車のうち、下館側の1両のみで、他の車両は締め切られている。車両は懐かしい50系客車である。いまでは、京都鉄道博物館で、休憩所として利用されている車両と同型式である。車内は、足元の暖房用の配管の出っ張りをふくめて、とても懐かしい。窓を開閉することもできるが、あいにくの雨のため、窓は開けなかった。デッキの扉も懐かしい。途中の久下田駅で、列車交換のため、数分停車する。桜の季節であったがあいにくの雨。牽引機はDE10型 昭和46年製である。下館側にはC12型SLが連結されている。このあと、転線を繰り返し、車庫に引き上げていった。