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歌織@星見当番

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2006.03.13
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こんばんは、星見当番です。今夜は牡羊座のブックガイドをお届けいたします。

【虹をみると心が躍る 子供のときもそうだった】

今夜はまず、こんな詩から。

My heart leaps up when I behold
A rainbow in the sky:
So was it when my life began,
So is it now I am a man,
So be it when I shall grow old
Or let me die!
The Child is father of the Man:
And I could wish my days to be
Bound each to each by natural piety.

(空の虹をみると 私の心はおどる。
子供の頃もそうだったし、大人になった今でもそうだ。
年をとってもそうでありたい。
そうじゃなかったら いっそ死なせてほしい!
こどもは おとなの父。
ねがわくば 私の一日一日が
自然への畏敬の念と結び合わさったものであるように


イギリスの詩人ウィリアム・ワーズワース(1770年4月7日生まれ)の「虹」という詩です。
生まれたての子供の目と心を持ち続けたいというナイーブさと、「そうじゃなかったら
いっそ死なせてくれ!」と思う激しさが同居している牡羊座による詩です。


【しっかりくっついて おどるんですぞ】

子供の頃に、誰でも一度は出会っている牡羊座作家と言えば、アンデルセンです。
ハンス・クリスチャン・アンデルセン 1805年4月2日生まれ。
『マッチ売りの少女』『人魚姫』『赤い靴』『絵のない絵本』、『みにくいあひるの子』
そして森鴎外が訳した『即興詩人』など作品多数。

「この、悲しくてアンハッピーエンドな童話ばかり書く人が火のサイン・牡羊座!?」
という感じもしますが、主人公たちの報われない辛さ、受け入れてもらえない哀しみを描く
アンデルセンの筆致に、当番は何かこう、情熱的なものを感じるのです。
「情熱的」というよりは「一途な」といった感じが近いかもしれません。

多分アンデルセンもワーズワースとは違った意味で、「子供のこころを失いたくない」と
思っていた人だと思います。子供だった頃の自分の辛さや寂しさ「生きる痛み」の記憶が、
大人になってもいつまでも、新鮮なままだった人なのではないでしょうか。

声と引き換えに足をもらった人魚姫が、お城の床を軽やかに小鳥のように踊る、
そのひとあしひとあしごとに、まるで短剣を踏んでいるような痛みが姫の足にはしる。
そう書かれているのを読んで、子供心にその痛み、辛さに戦慄した記憶があります。

この描写、書いている時に、アンデルセンの心も共に痛みを感じていたに違いない、と
当番が確信しているこの痛みの描写あってこその「アンデルセンの『人魚姫』」なのであって
ディズニーの「リトル・マーメイド」は、あれはアンデルセンではない!と思っています。

当番の本棚には昔、『人魚姫』や『みにくいあひるの子』もあったのですが、
どこかに行ってしまいました。今、本棚にあるのは『絵のない絵本』と『あかいくつ』で、
どちらもいわさきちひろの挿絵のものです。

『あかいくつ』も、子供の頃読むたびに震えるほど悲しくて怖かったのを覚えています。
堅信礼に教会に履いていく、黒い靴を選ばなければならなかったのに、赤いダンス靴に
心を奪われてしまった娘。その赤い靴を履いて教会へ行くと、入り口に松葉杖をついた
年老いた兵隊が立っていて、言う―

「ほう、なんときれいな ダンス靴じゃ。しっかりくっついて おどるんですぞ。」

踊り狂いながら教会の前を通りすがったカーレンの目のまえに、白い衣を着て剣を持った
天使があらわれる場面も美しく恐ろしいものとして記憶しています。

「おどれ、むすめよ、いつまでも。
おどれ おどれ、すきなだけ。
ばらいろのほほが あおざめて
ゆきのように つめたくなるまでな。」

当番が読んでいた絵本には単に「松葉杖をついた兵隊」としか書かれていなかったのですが
いつの間にか当番の空想の中で、彼は片方が軍靴、片方が義足の兵隊になっていました。
(多分、後で娘が首切り役人に足ごと靴を切り落としてもらい、木の義足をもらう場面と
混ぜこぜになってしまったのだと思います)彼は軍靴の踵と、木の踵を合わせて
カチリと鳴らし、上記の台詞を言うのです。―カーレンは赤い靴に踊らされますが、
その兵隊も、やはり靴の魔力に操られた人間の一人だったのではないでしょうか。
軍靴を履いて、地の果てまで行進させられて行った―

アンデルセン話が、だいぶ長くなってしまいました(汗)。
ここでひとまず時代をぐっと戻して、現在の当番が愛している牡羊座作家の話に移りましょう。


【ニホンゴツカイたち】

先月、魚座のブックガイドを書き上げた後、当番は誕生日リストをチェックしながら
牡羊座の作家たちの名前をメモしていました。完成した作家リストを見て、当番は驚き、
かつ呆れました。なんとまあ、この人たちみんな、牡羊座だったのか。
どれだけ、当番は彼らを愛していることか。どれだけ、当番は彼らに笑わせてもらったことか。

森茉莉と並んで、当番が偏愛する作家、橋本治。1948年3月25日生まれ。
デビュー作『桃尻娘』が出た時、父が買ってきて読んでいたのを見て、
読んでみて以来ずっとハマっています。『桃尻語訳 枕草子』が出た時、
当番は中学生でした。高校に入ると、『絵本徒然草』『窯変源氏物語』が出始めました。

高校時代の当番には、『窯変源氏』の世界はあまりにも大人で、学校の図書室には
ハードカバーが揃っていたものの、読みこなせませんでした(汗)。大学に入ると、
『窯変』の文庫版(全十四巻+『源氏供養』上下巻で計十六冊)が出始めて、
どうやら当番の中で機が熟していたらしくやっと読むことができるようになって
読みつくすまでの間本当に楽しかったです(光源氏の一人称で語られる、
恐ろしく残酷で美しい、源氏物語なのですよ)。

「当番にとっての橋本治」のことをどう説明していいのか、迷いますが、うーん。
彼の文章を追っていると、「日本語を母語としていて本当によかったなあ…!」と
思うことしきりです。刺激的。スリリング。日本語でこんなことが読めるとは。
うぬ、やはりうまく説明することができません。

小説から評論まで、著書多数(ホントに多数)。現在の当番は橋本治の本が出た、となれば
とりあえず何をおいても買いに走ります。彼の本だけは本当に走って買いに行きます(笑)。
どんな内容であれ、橋本治が書いたとなれば、面白くなかろう筈はないからです。

「その名がついていれば何であっても買って読む」という作家は、当番の場合森茉莉と
橋本治くらいです。森茉莉は既に故人なので、これ以上新刊は出ないですが、
橋本治はまだまだこれからも増殖する筈…今でも本棚の一段と半分くらいを
(しかもハードカバーの前列に文庫本を並べるという二段構えで)占拠しているのに、
現在58歳の橋本治が仮にあと20年書き続けるとしたら、今に「治ちゃん専用本棚」が
必要になってくるに違いない…((((;゚Д゚)))。その未来予想に震え上がりながらも、
いつの日か「橋本治全集」が出ることを願っている当番であります。
全集揃えるまで死ねん!

牡羊座生まれのコトノハ使い、と言えば京極夏彦も牡羊座です。1963年3月26日生まれ。
古書店主兼神主兼憑き物落としの『京極堂シリーズ』や『巷説百物語』シリーズで
お馴染みの妖怪小説家ですね(妖怪の小説を書く人なのか、小説を書く妖怪なのか)。
ああ!そうだ。また橋本治の話に戻ってしまいますが、当番にとって橋本治は
「憑き物落とし」と「憑き物くっつけ(?)」の腕では京極堂以上の怪物作家です。
(怪物で作家なのではなく、怪物的な作家…あくまでも)

『超芸術トマソン』『新解さんの謎』『老人力』で当番を笑い死に寸前まで追いやった、
前衛芸術家・赤瀬川原平。尾辻克彦という筆名で芥川賞も取った作家でもあります。
1937年3月27日生まれ。三省堂の「新明解国語辞典』を愛用する方には『新解さんの謎』
をお薦めします(当番も新解さん愛用者)。日本語を遊び倒したい人に赤瀬川原平。
入門変(違)入門編としてどれか一冊ということでしたら、赤瀬川原平・ねじめ正一・
そして南伸坊の三人+アルファで寄ってたかって日本語をいじりたおした抱腹絶倒対談、
その名も『こいつらが日本語をダメにした』をお薦めいたします。ちくま文庫で読めます。

力ある牡羊座の「日本語使い」たち。
もう一人は私の好きな二つの小説『卑弥呼』『蕭々館日録』を書いた久世光彦です。
1935年4月19日生まれ。この人は絶対牡羊座のブックガイドに出すんだ、と
うきうきしながら準備していたのに、先々週の3月2日、亡くなってしまわれました。

『蕭々館日録』は魚座のブックガイドでもちらっと取り上げました。
芥川龍之介をモデルとした「九鬼さん」と、彼に憧れる五歳の女の子「麗子」との
時に妖しく、時にコミカル、そしてとてもスリリングな恋物語です。
これが『中央公論』で連載されていた時期、橋本治も『天使のウィンク』というコラムを
連載していて、当番はこの二つを読むためだけに『中央公論』を立ち読みしていました。

もうひとつの小説『卑弥呼』(当番は久世光彦作品はこの二冊しか読んでいないのです。
これから少しずつ読んでいってみようかなあと思っている矢先の訃報でした。)
これは、もともとY売新聞に連載されていた小説です。これが連載されている頃、
当番は就職活動中の学生でした。企業情報などを知るために、その時期N経新聞も
臨時で購読していたのですが、Y売新聞に『卑弥呼』が連載されていたのと同時期に
N経新聞に連載されていたのは渡辺淳一の『失楽園』でした。

『卑弥呼』っていうのは、邪馬台国の話ではなくて現代日本の男の子と女の子の話。
ハツラツとした新鮮な女の子と、ちょっと頼りないけど性格のいい男の子のカップルが
なぜかどうしても「アレ(男女の営み)」ができない、という話を縦軸に、
女の子が勤めている出版社で、彼女が出した企画、「女性の『アソコ』に、
もっと気軽に明るく呼べる新しい呼び名をつけよう」というキャンペーンの話、
そのために各地の「女の人のアソコ」を示す方言を取材して回る旅行記、
男の子のおばあちゃん(これが博覧強記のすごい読書人)と、彼女が出会った
「コネリーさん」と呼ばれる老人との人生最後の恋物語…と色々な話が入り混じる、
実に明るくちょっとエッチな、しかしいやらしくはない楽しい青春小説なのです。

『卑弥呼』も『蕭々館日録』も今は文庫本で読めます。
当番の説明を読んで「え~っ!?」とお引きにならないで(笑)、どうか読んでみて下さい。
爽やかで楽しい、そして芳醇な、素晴らしい日本語の小説なんですから。
『卑弥呼』が連載されていた当時、『失楽園』と読み比べて(笑)当番は思いました。
「心ある者なら、特に若い女の子・男の子なら『卑弥呼』を読むべきだ!
『失楽園』なぞ読んでる場合じゃない(『失楽園』と渡辺淳一ファンには悪いけど)。」

【その他 牡羊座作家】

『つめたいよるに』『きらきらひかる』などの江國香織も牡羊座。
1964年3月21日 、ぎりぎり春分の日生まれ。

当番が高校の頃、父に薦められて読んで気に入った『赤頭巾ちゃん気をつけて』ほか
「薫くんシリーズ」の作者、庄司薫も牡羊座。1937年4月19日生まれ。

田辺聖子(1928年3月27日)、林真理子(1954年4月1日)、
ムツゴロウこと畑正憲(1935年4月17日)も牡羊座。

漫画家では『ドラゴンボール』の鳥山明、『陰陽師』の岡野玲子、
『百鬼夜行抄』の今市子が牡羊座。





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最終更新日  2006.03.14 02:15:10



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