埼玉県北部の道の駅は、八百屋さん
埼玉県内のいくつかの道の駅を廻った。今回は、道の駅童謡のふる里おおとね、道の駅めぬま、道の駅かわもと、道の駅はなぞのの4箇所に行った。「道の駅」とは、平成5年より、道路を快適に利用できるようにという発想から「休む」「知る」「ふれあう」ことのできるスポットとして、市町村または市町村に代わり得る公的な団体が運営し、国土交通省道路局が認定した、ドライブインである。現在全国に743箇所がある。施設として、駐車場・トイレ・公衆電話などは24時間利用できるが、そのほかに、道路や地域の情報を提供する施設がある。この、サービス施設が、それぞれ工夫されている事があるので、これが楽しい。しかし、今回廻った、4箇所は、全て「農産物直売所」があり、しかも、その造りがそっくりなのだ。しかも、売っているものも、7-8割同じなのだ。とはいえ、この「農産物直売所」は、人気があるらしく、地元の人と思われる人が、買いに来ていて、レジは、常に人がいる状態である。活気があって、それは、それでいいのだが、道の駅を廻っている者からすれば、同じ系列のスーパーマーケットの各店舗を廻っているようで、少し、面白みが欠ける。とはいえ、それぞれの地域で、いろいろ、趣向を凝らしてはいる。しかし、人の多くは「農産物直売所」に向かい、そのパワーに押されているという感じ。さて、「道の駅」の「農産物直売所=JA販売店」化には、いろんなからくりがありそうだ。まず、「道の駅」を作ろうとすると、国土交通省や県などの、道路管理者が、駐車場を作ります。そして、道の駅を運営する公営の団体に対し、国土交通省は、道路開発資金貸付金とそれに準じるものを貸し出す。つまり、駐車場をタダで作ってもらって、お金を借りて、商業施設が作れるというわけだ。これ以外にも、埼玉県、農林水産省からも、助成金や融資が受けられるので、資金調達が出来てしまう。助成金を受けるという事は、それなりの基準を満たさないといけない。「農産物直売所=JA販売店」化は、その基準を満たした結果なのかもしれない。もしかすると、あくまでも、推測だが、埼玉県のJAの提唱する販売店形態を基準に、助成金の基準を作った可能性もある。そして、JAは、Aコープなどの店舗を独自に作るより安く、駐車場が広く、集客力の店舗を作る事ができたと思われる。この安く施設を作れる事により、他の店に比べ、多少、安い価格の設定をしても、やっていけると思われ、それで、地元の人が、その安さのために、「農産物直売所」に買いに来るのだと思う。賑わっていることは、施設が活きているという事で、とても喜ばしい事なのだが、道の駅の3つのコンセプトである「休憩機能」「情報発信機能」「地域の連携機能」が、少しおろそかになっているようにも見える。国土交通省の作った道の駅のコンセプトが必ずしも現実的だとは思えないが、道の駅の八百屋化は、なんとなくグレーさを感じる。