カテゴリ:農業
タウンミーティングやらせ問題、使途不明な政治資金問題、厚生労働大臣の発言問題・・
国会では、天下国家とは縁遠い議員の資質や体質ばかりが論じられているように見えます。 一方で、あまり話題になりませんが、教育基本法の改正や防衛庁の省への昇格など、何十年も懸案課題だった法案が着実に可決されています。 そんな中に表題の法律もあります。 昨年12月6日に可決、同15日から施行されていますが、おそらく99.9%の国民が知らないでしょう。 国民が知らないところで、いろいろな法律が出来てるんです。せめてN○Kくらいは、ゴシップ系(ボーダーラインは曖昧ですが)話題よりも、こういう質の良い情報を普通に伝えて欲しいものですね。 あ。本論は、有機農業の推進に関する法律に関してでした。 先日もエコファーマーと有機JASの違いについて書きました。 今回の法律はこれを一体化した趣旨で、「農業が環境に与える負荷の軽減を目指しつつ、消費者がより簡単に有機農産物を手に入れられるようにする」という有機本来の志を継承した法になっている感じがします。 立法を受けて今後、農林水産省が基本方針や省令などを整備して行くことになります。 そしてそれを受けて、各都道府県自治体で条例や制度が作られて行くと思います。 心配なのは、その制度設計です。 私はこの法施行を喜んでいますし、これによって、有機の認知度が上がって行けば良いと思います。 が、またしてもおかどちがいな支援施策が誕生するのではないかという不安があります。 国や自治体が、技術的な研究開発をすること、その技術の普及をすること、情報提供の場の設定をすることなどはとても有意義だと思います。 けれど一方で、(例によって)先進的な営農支援と称し、10アール当り○○円といった交付金が用意されようとしているのが気になります。 そんなもんじゃないぜ! と言いたくなります。 大事なのは、有機農業への参入リスクを低減することではなく、多くの農家が有機に参入したくなる社会的環境の実現だと思います。 補助金もらえるなら始めようかな。 では絶対に有機は続きません。数年後、その補助金自体が無駄になります。 そんなカネがあるんだたら、有機の意義や良さを広く国民にお知らせすることをガンガンやっていただきたい。 有機農産物の生産量は、国内総生産量の0.16%しかありません。 こんな現状なのは、有機農産物が消費者にとってその程度のものでしかないという理由に尽きると思うんです。 農業がここまで衰退した理由もここにあります。 ●消費者にとっては野菜も穀類もグラムいくらという相場があり、特売で安ければラッキー、というものでしかなかった。 ●誰がどんな作り方をしていようと、消費者に伝わるわけじゃない。だからこだわったところで価値を生まない。 ●店頭で問われる価値はグラムいくらかなので、生産現場では安く効率的に作ることが最優先される。 こんな流れの中で、今の農業と市場が作られて来たわけです。 だから、この流れを普通に戻すことが最も大事だと思います。 有機農産物って、良いところもあるけど価格も高くなります。 手がかかる、リスクが高い、生産効率が悪いなどといった一般的理由のほか、何にこだわるかによって価格にはねかえる要素はたくさんあります。 そしてそれらのこだわりが受け入れられるものか、つまり価値として認められるかということはお客さまの判断に委ねられなければなりません。 お客さまの価値判断の材料のひとつとして、有機がきちんと位置づけられれば良いな、と思います。 市場(いちば)の論理から市場(しじょう)の判断へ。 農産物を他のお買い物と同じ普通のものに戻して行く、そういう施策・制度が創られて行くことを切に願います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/02/13 02:23:09 PM
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