初手小目は右上R16がマナーか?
囲碁講師の坂谷先生からこんな話が。『初手小目の場合,Q17の点に打つのはマナー違反なのか?』(リンク先参照) 私は19路盤で黒を持ったらほぼ小目しか打っていません。(握りがめちゃくちゃ弱いので黒をなかなか持てませんが) そして、初手は右上R16に打っています。 初手は局面が完全な線対称・点対称ですから,小目なら例えば4Rとか3Dなどに打っても全く価値が同じなことは、私も分かっています。 ではなぜ私はR16に打つのか。 そして、なぜ初手小目を選択する多くのプロ棋士・アマチュアもR16を選択するのか。 少なくとも私自身は、あえてR16を選ぶ理由はありません。自分個人の体験からくる単なる「慣れ」のようなもので、それがマナーだと思ったことはありません。 プロが初手小目を打つ場合に右上R16が選ばれるのも,おそらく同じだと思います。 何故R16が定着したかは分かりませんが、私個人の仮説としては『右利きの人が多く、また場所的に一番打ちやすいのが右上であるから右上が定着し、それを皆がまねして現在に至る』ということではないかと推測しています。 この推測が当たっていれば、左利きの方であれば,左上の方が打ちやすいと言うこともあるように思えます。 人間の左利き率が9割だったら、初手小目はDが大半になっていた…というのが私の仮説です。 1999年の第24期名人戦の挑戦手合で、黒番の依田紀基九段が初手を左上に打って話題となったことがありましたが実は依田九段は左利きだったりもします。 ただ、そういった「慣れ」があるので、もし自分が白を持っている状況で別の小目に打たれたら,引っ掛かるものを感じることは否定できないでしょう。 思わず相手の顔を見てしまうかもしれません。 これは何なのだろうか?気分転換?ゲン担ぎ?挑発?作戦?などと余計なことを考え始めてしまう可能性はあると思います。 なので、私相手に黒を持ったら右上以外に小目を打つと言うのは精神攻撃作戦としてそこそこ有効かもしれません(笑)。 局後の検討をする場合、尋ねるタイミングがあったら「珍しいですね?」位の声はかけるかもしれませんが,そこで「あなたブログでR16以外の小目を打つと乱れるかも知れないと書いてたじゃない」とでも回答すれば完璧でしょう(笑)。 もちろん、私はそういった引っ掛かりをマナー違反であると糾弾する気にはなりません。 「右利きが多いから定着した」という私の仮説が正しければ,「左利きの人は打ちたい所から打つこともできない」となりかねず、差別的ですらあります。 他にも、体の小さい子どもなどが「自分の手元に近い所が打ちやすいからQ3から打つ」なんていうのもいいことだと思います。 それに、対局中に正当な着手でもって精神的な揺さぶりを狙うことは実は私自身も戦術としては多用します。「同じくらいの価値のヨセが複数ある場合、逆ヨセを選ぶことで相手にしまったと思わせ焦りを誘う」「特に勝負所と思えない所ではあまり考えずポンポン打つことで、相手にも釣られてポンポン打たせ、時間を残しつつミスを誘う(置き碁アリの大会で下手打ちする場合に使う戦術)」程度の精神攻撃に近い着手はやっているわけです。 ヒカルの碁で、海王囲碁部部長の岸本が三谷に「つまらないコウを争って力戦派の三谷の精神を乱す」という戦術を仕掛けましたが、これもアリでしょう。 そこまでダメと言われた日には私はもう大会の類出禁となること請け合います。 今度、もし自分の対局の棋譜が採録されることがあったら,初手を17ー4以外の小目に打ってみようかと思います。 文句言ってくる人がもしいましたら受けて立ちます。 万一それが法的問題になった場合においては無料で弁護しますのでご一報ください。