|
テーマ:教育問題について(398)
カテゴリ:教育
テレビは、クイズ番組花盛りである。確かに解答者たちの知識は素晴らしい。が、所詮クイズ王はクイズ王でしかない。こう言っちゃなんだが、幾らクイズに答えたところで社会に貢献はしない。否、むしろ視聴者に対し勉学に関する誤った印象を与えることになっている虞(おそれ)すらある。 クイズには答えが有り、解答する様は非常に華やかである。一方、世の中には答えの無い問題がたくさんある。世界には戦争・紛争が絶えないし、今感染症パンデミックの嵐が吹き荒れている。環境問題もあれば、格差・貧困の問題もある。こういった答えの無い問題に答えを出し解決法を見出していく地道な努力が脇に追い遣られてしまう嫌いがある。 答えの無い問題はおいそれと答えが出るもの、出せるものではない。むしろ一生かけても答えが出ないものがほとんどだろう。成果が出ないということは金にもならないし、名誉・名声も得られない。世間は、そんなことに人生を捧げる人がいるかどうかにそもそも無関心である。 人間誰しも目の前の果実に齧(かじ)り付きたいものである。が、目の前の果実に目も呉れず、利他愛よろしく今を生きるものの責任として、今在る難問に果敢に挑む、そういった人材が不可欠であることは言うまでもない。情熱、忍耐力、責任感を持って難解難渋な問題に取り組める人材と環境、そしてそれを後押しする社会こそが行き先不透明な今の世の中に求められているに違いない。 《欧米には「アカデミック・スマート」と「ストリート・スマート」という表現がある。アカデミック・スマートは学校の成績が良く、決められたことを効率良くこなすのが得意なタイプ。これまで日本のエリートとされてきたのはこのタイプだが、経験のない新しい事態に直面したときの対応力がなく、挫折してしまう。「前例がない」と思考停止になってしまうエリート官僚がこの典型だ。 かたやストリート・スマートは、街中で育ったという意味で、実社会で経験を積んでのし上がってきた人をさす。人間関係の構築が得意で、失敗してもへこたれず、遺なき道を独自の嘆覚で突破していく。手本のない混乱の時代を切り開いていくのは間違いなくストリート・スマートで、かつて戦後の混乱の中から世界有数の企業を立ち上げた松下幸之助や本田宗一郎、川上源一などは皆このタイプだった》(大前研一『挑戦 新たなる繁栄を切り開け』(ビジネス・ブレイクスルー出版)、p. 10)
street-smart: having the knowledge and experience that is needed to deal with the difficulties and dangers of life in a big city(大都市での生活の困難や危険に対処するために必要な知識や経験を持っていること) book-smart: having a lot of academic knowledge learned from books and studying, but not necessarily knowing much about people and living in the real world(本や勉強で学んだ多くの学問的知識を持っているが、人や現実の生活については必ずしも多くを知らないこと) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.12.14 21:00:07
コメント(0) | コメントを書く
[教育] カテゴリの最新記事
|