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照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2022.03.10
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テーマ:憲法議論(165)
カテゴリ:憲法

憲法の定めた基本的人権例えば自由権も、それは犬や猫や豚が走りたいとき走り、さわざたいときさわざ、泣きたいときは所かまわず大声で泣いたり、又笑いたいときは所かまわず大声で笑うことができるという自由権なのではない。憲法がいくら自由権を認めるというても、人を殺したり、人の物を盗んだり、人をなぐったりすることの自由までも認めるはずがない。そこで、憲法が定めた基本的人権としての自由も、それは犬や猫や豚が持っている自然の自由とはちがって、社会において他の多くの大人と共に生きるものとしての社会的自由なのである。従って、社会全体の利益すなわち公共の福祉に反する個人の自由は認められないこととなるのである。(大石義雄『日本国憲法入門』(文化新書)、p. 133

 これも説明としては不適当であろう。そもそも日本国憲法は、

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は…これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

と言っているのであって、犯罪を行う自由がないのは当たり前である。論点は、憲法で認められた自由、例えば、「表現の自由」を「公共の福祉」によってどこまで制約するのかということである。

 ジョン・ミルトンは、「言論の自由」について、無制限の立場に立つ。

《アレグザンドリアのダイオナイシアスは、240年頃敬虔(けいけん)と學問とで敎脅內でも名聲(めいせい)の高い人であったが、異端者の書物に精通することによって彼等を辯駁(べんばく)するのに役立てるのが常であった。ところがとうとう或る敎會(きょうかい)の長老が、どうしてこんな穢(けが)らわしい書物を敢(あえ)て讀(よ)むのか嚴密に彼の艮心に訴えたのである。

ダイオナイシアスは相手の感情を害したくないので、どう考えたらよいか新たに自問自答して見た。そのとき忽然(こつぜん)と神から幻影が降りて來て、(そう言明しているのは彼自身の書翰(しょかん)なのであるが、)こういう言葉で彼に信念を與(あた)えた、「汝の手に入れ得る書物は如何(いか)なるものにてもこれを讀め。そはただしく判斷し、且(か)つ各々の事を吟味する能力の、汝に具(そな)わりたればなり」と。彼はこの啓示が使徒パウロのテサロニケ人に與えた啓示、すなわち「凡(すべ)てのこと試みて善きものを守れ」という言葉に符合しているので一層喜んで、それに從ったと吿白している。そして彼は同じ著者の言ったいま一つの注意すべき言葉、「潔(きよ)き人には凡ての物きよし」という言葉を附け加えてもよかったわけである。

單に食物や飮物がそうであるばかりでなく、善惡如何を問わず、あらゆる種類の知識がそうである。知識は人を涜(けが)すことができず、從って書物も人を涜すことができない、もしも意志と良心とが涜されていないならば。何となれば、書物は食物と同じであって、善い實質(じっしつ)のものもあれば惡いものもある。しかも神はあのちゃんと聖書に載っている幻影の中で、「ペテロ、立て、屠(ほふ)りて食せよ」と例外なしに言い給い、選擇(せんたく)は各人の自由に任されたからである。胃をこわせば、衞生的な食物も非衞生的な食物と殆(ほとん)ど異ならない、そして精神の邪惡な人にとっては、最艮の書物も惡いことをする機緣に利用されぬとは限らぬのである。惡い食物はどんな健康な胃腸においても艮い榮養となることは殆どないであろう。だが惡い書物の異なるところはこの點(てん)に存するのである。すなわち惡い書物は思慮あり分別ある讀者にとっては、多くの點で發見し、論駁し、警戒し、例證(れいしょう)するのに役立つのである》(ジョン・ミルトン『言論の自由-アレオパヂティカ-』(岩波文庫)上野 精一・石田 憲次・吉田 新吾共訳、pp. 22-23









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Last updated  2022.03.10 21:00:09
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