さてさて、昨日まで登場した、ほとんど野良犬と言っていいほど
　　の犬、コロですが、このコロを思いきり叱ったことがあります。

　　初めの我が家のペット物語の中で書いたのですが、お祭りのとき
　　に買った屋台のウサギが２匹いました。
　　色はわたしのが、灰色。兄のが白です。名前はたぶん付けたはず
　　なのですが、忘れてしまいました。

　　忘れてしまったのは、あまり長いこと生きていなかったのです。
　　餌は野菜くずだったり、その辺の野原で取ってきた草っぱを与え
　　ていました。

　　種類はなんだかわからないのですが、あまり大きくならない種類
　　のものだそうです。
　　今ではペット店に行けば、色々な種類のウサギが売っていますね。
　　でもあの頃は、そんなにたくさんの種類のペットが、売られてい
　　る時代ではありませんでした。

　　だからお祭りで始めて見た、小さなウサギに大変興奮したもので
　　す。でも今考えてみると、本当は普通のウサギで、大きくなった
　　ら、あっ、やっぱり普通のウサギじゃん、となったかもしれませ
　　んが。
　　屋台で売っているメスのひよこが、卵を産んだという話は聞いた
　　ことがありません。みんな立派な雄鶏になったと言う事は聞きま
　　すが。

　　さてそのウサギたち、ずいぶんと可愛がりました。まあものめず
　　らしいと言うのが本当でしょうが、散歩にも連れて行きました。
　　散歩と言っても、抱っこして野原まで連れて行って、その辺の草
　　を食べさせていたということですが。

　　ところが、我が家で飼い始めてから２週間くらい経った頃でしょ
　　うか、相次いで病気になってしまったのです。
　　原因はよく分かりません。
　　人間で言うと、風邪のような感じでしょうか。

　　昨日まで元気だったのに、今日見たら弱って横にのびているとい
　　う感じでした。
　　一生懸命、その時の自分にできることをしたのですが、ダンボー
　　ルの箱の上で、小さな胸を大きく上下させて、苦しんでいます。

　　がんばれと声を掛け続けていたのですが、わたし達、兄弟二人が
　　見守る中、大きな息をついたかと思うと、今まで動いていた胸が
　　止まり、そしてウサギの体の下から、おしっこが、ツっーと、流
　　れてきました。

　　それからそのウサギは、二度と動く事はありませんでした。

　　さて残ったもう一匹、白だったの灰色だったのか覚えていません。
　　本当に病気になったのかどうかもわかりません。
　　ただいなくなってしまったことだけは、はっきり覚えています。

　　このウサギたち、みかん箱くらいの大きさの段ボール箱で飼って
　　いました。白い段ボール箱です。
　　それを部屋の真ん中に置いて、眺めていたのです。もちろん寝る
　　ときは部屋の隅ですが。

　　さて平屋建ての一軒家、ウサギを飼っていたのは、わたし達の部
　　屋で６畳間です。夏だったので、昼間はサッシを開けていました。
　　そこにはちょっとした庭があり、高さも地面から４０センチくら
　　いしかありません。

　　ある日、ちょっと出掛けていて、家に帰ってくると、段ボール箱
　　の中にウサギがいません。
　　いないどころか、白いダンボールの箱の中の壁には、赤い血が段
　　ボール箱の外に向かって付いています。

　　何者かが、ウサギをかみ殺して、持ち去ってしまったのです。
　　それ以外には、部屋の中は特別散らかることも無く、綺麗なもの
　　です。

　　ちょうどその時は、コロが我家に来ているときでした。
　　その現場を見たわけではありませんが、犯人（犯犬？）はコロに
　　違いありません。

　　コロが来たとき、ウサギの匂いに気が着いていたのではと思いま
　　す。やたらと部屋の中を、外から嗅ぐようなしぐさがありました。

　　コロにしてみれば、ウサギもネズミも一緒なのでしょう。
　　彼にとっては、食料でしかなかったのです。

　　この時はわたしも頭にきて、コロの頭とか尻を思いきり叩きまし
　　た。逃げはしましたけど、反抗して吠えるとか噛み付くとかはあ
　　りませんでした。大体なんで怒られているのかが、分からなかっ
　　たのではと思います。

　　あまりにも悲しい事件でしたが、コロも怒られた後しばらくは我
　　家に来なくなったのですが、少しするとひょうひょうと、何事も
　　無かったように、我家にやってくるようになりました。

　　こうして我が家のウサギは、短い生涯を終えました。



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