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isaの同時代フィールド・ノート

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May 7, 2006
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『マンガ・特撮ヒーローの倫理学 モノ語り帝国・日本の肖像』
現在第一回著者校正を終えたところです。
「おわりに」をアップします。

おわりに
 当初、この本はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』論として構想されました。
 明らかな失敗作である『エヴァ』が、なぜ面白いのか。
 どこが、どう、面白いのか。
『エヴァ』論に着手した一九九六年から私の生活は一変しました。
 中学を卒業して二十年近く、いわゆる「オタク」文化からは遠ざかっていたのに、『エヴァ』論のために毎日がアニメ、特撮、映画漬け。ところがこのような「オタク」生活を五年以上続けても、私には『エヴァ』の面白さを言葉にすることが出来なかったのです。
 アプローチの仕方が間違っているのかもしれない、と気付いたのが二〇〇一年頃でした。『エヴァ』はよくできたアニメ作品というよりは、「日本の物語」の傑作なのではないか。まずは「日本の物語」、そして「日本」について理解しなければならないのではないか、と。
 今になって思えば、西洋の物語やそれを解釈する西洋の理論体系にどっぷり浸かっていた私にとって、『エヴァ』を生み出した「日本」を再発見するには、アニメ、特撮、映画などの「日本の物語」数千本が絶対に必要だったのです。膨大な量の物語を浴びるように鑑賞してこそ見えてくる「日本」の姿もあるのです。
 こうしてほの見えてきた「日本」の姿をより正確に捉えるため、今度は古典の読解をベースに折口信夫や本居宣長等にとりくむという、日本文化史との悪戦苦闘の日々が始まりました。そしてようやく本書の原型を『isaの同時代フィールド・ノート』上に発表できたのが二〇〇五年、『エヴァ』放送開始から十年目という、振り返れば気の遠くなるような道のりでした。内容も、『エヴァ』論から「日本文化」論に変わってしまいました。
 本書が成った今、私は、青空の下の若草山で穏やかな春の風に吹かれているような、深く澄みわたった満足のなかにいます。
   やまとは くにのまほろば
   たたなづく あおがき やまごもれる
   やまとし うるはし
                 (ヤマトタケルの国思歌『古事記』)
 本書で素材にさせていただいたすべての作品のクリエーターのみなさん、本当にありがとうございました。
 最後に、十年前、私に『エヴァ』論を書くことを(強く、激しく、熱く)勧めてくれた妻に本書を捧げます。本当に長い間、お待たせしました。
                    ある晴れた弥生の朝、武庫川のほとりにて





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Last updated  May 7, 2006 03:06:42 PM
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