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カテゴリ:経済問題
今日(5日)は、経済面でも、社会面でも、特に重要と思われる記事はあまり出ていませんでした。
今日は、「(AAでは)記事にならない情報」としては、昨日に引き続き、インフレ率に関するものが中心だったように思われます。より正確には、物価高・生活苦ということになります。TUIKが発表したインフレ率に基づく「半年分のインフレ調整」は公務員給与と公務員からの退職者に対する年金は40%強引上げで、最低賃金の引上げが30%弱でしたが、国会議員たちは自分たちの歳費を100%以上引上げた話は先日紹介したとおりです。日曜日に行われ野党6党会合に関する解説はあまり出ていません。それでも、政権獲得後の経済政策や外交政策などに関する調整を行ったとのことでした。今でもエルドーアン大統領・AKPの支持率が30%前後あることは、エルドーアン大統領を妄信している信徒のような人が20%前後いると思われるほか、「エルドーアン大統領がいなくなれば、トルコが(経済的に)悪い方向に行く」と考えている人が未だに相当な程度いることを示していると考えられています。つまり、CHPのイスラムに対する態度(信仰の自由が奪われる!)のほか、野党では経済政策がうまく行かない、あるいは、エルドーアン大統領よりも良くならないと考えていることを示しています。そのため、選挙戦、あるいはそれまでに、ある程度の経済政策の提示が必要になると指摘されていて、今回の会合ではこれまで作業部会で行われた準備について党首レベルで話し合われたものと思いますが、大々的な発表にはなっていません。いつも紹介している解説者は、「最近の政党支持率、大統領候補への支持率のアンケート結果を見る限り、野党6党は大きな失敗をしなければ、大統領も国会の過半数も獲得できる可能性が高い」と指摘していました。この「大きな失敗」の原因となりかねないのが、「エルドーアン大統領(AKP)も、野党も、何も変わらない」と思われることだと感じます。その一つが、上でも紹介した「国会議員歳費の100%引上げ」に対する野党の態度です。採決の時も、採決後も、野党が大々的に批判したということは聞きません。これまで、「2ヶ所、3ヶ所、あるいは10ヶ所から給与をもらっている公務員がいる」と批判してきましたが、今回の歳費、より正確には歳費と年金の引上げで、引上げ率における一般国民との乖離と、現役及び以前の国会議員としての年金を2重取りしている制度に対する野党からの批判はほとんど聞こえず、国民から「野党も何も変わらない」という批判が起こった場合、どのように対応するつもりなのか、懸念されます。いずれにしても、多くのトルコ人の今の関心は、どうやって生活していくかということであり、この問題の解決がない限り、エルドーアン大統領の再選の可能性は無く、その一方で、野党の躍進にも急ブレーキがかかる危険性のある、両刃の剣、両刃の刃であると思われます。また、いつも紹介している解説者は、「5大癒着建設企業がクルチダルオールCHP党首との会談を模索した。これに対して同党首は、『無駄なことはするな。国民の税金を不法に吸い取る制度を認めるつもりはない。交渉の余地はない。』と突き放した。」と述べていました。過去との決別と合理的な経済運営が。トルコ国民からの信頼獲得の本道ではないかと思われます。 経済以外では、セラハッティン・デミルタシュ元HDP共同党首がHDP幹部、党員に向けたメッセージが話題になっていました。一言で言えば、「HDPはAKPではなく、野党と一緒に行動すべき」というものですが、こちらについては別の機会に紹介したいと思います。 なお、今日はドラギ・イタリア首相がトルコを訪問し、第3回トルコ・イタリア政府間サミットが開催され、AAではいろいろと記事が出ていました。G7に属する国の首脳がトルコを訪問し、会議を行ったということは、それ自体で意味があることだと思われますが、反政府系?メディアではそれほどの反応はありません。すぐに効果・影響が出るような話はなかったということだろうと思われます。
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今日(5日)は、アナトリア通信(AA)には次の記事が出ていました。今日は1の記事を紹介します。 1 ネバティ国庫・財務大臣からインフレとの闘いで取られた対応に関する投稿 2 ビルギン労働・社会保障大臣は、『我々は成長を継続させる必要がある。成長は雇用を創出する』と発言 3 6月に最も多く売れた自動車ブランドが明らかになった 4 6月には、自動車産業は28億ドルの輸出を行った 5 第3回トルコ・イタリア政府間サミットの後、共同声明が発表された 6 エルドーアン大統領は、『穀物回廊に関して、交渉を活発化させ、結論を得るための努力を行っている』と発言 7 戦死者と負傷兵の親族、負傷兵、合計374人が公務員に採用された 8 “ユーフラテスの盾”及び“平和の泉”作戦地域で、PKK/YPGテロリスト11人が無力化された 9 “爪-鍵”作戦地域でPKKテロリスト9人が無力化された
今日紹介するAAの記事の見出しは、「ネバティ国庫・財務大臣からインフレとの闘いで取られた対応に関する投稿」で、今日(5日)付の記事で、抜粋して紹介します。 ヌレッディン・ネバティ国庫・財務大臣は、適用されている政策、統制価格、減税措置及び補助金により、トルコ国民が価格上昇から最小の影響を受けるだけにするための作業を続けていることを明らかにしました。 ネバティ国庫・財務大臣は、ソーシャルメディアでインフレとの闘いで取られた対策に関する投稿を行いました。その投稿で、「基本的優先事項として、インフレとの闘いで、適用されている政策、統制価格、減税措置及び補助金により、トルコ国民が価格上昇から最小の影響を受けるだけにするための作業を続けている。」と明らかにしました。同大臣は11項目を列挙しました。 ・食品に掛けられるKDV(付加価値税)税率の引下げ ・飲食に掛けられるKDV税率を8%に引き下げた ・石鹸、シャンプー、洗剤、おむつ、トイレットペーパーなどの生活必需品に掛けられるKDV税率を18%から8%に引き下げた ・住宅及び農業用給水用の電力に掛けられるKDV税率を18%から8%に引き下げた ・土地の売買に掛けられるKDV税率を18%から8%に引き下げた ・今年1~5月の期間で、中小零細企業が使用する天然ガスに関して76%、工場では14%、発電用では25%、住宅用では81%の補助金を給付した ・今年、2,413億リラの調整を放棄した ここからは一言解説・雑感です。一部省略しましたが、同じような内容です。結局ほとんど何もしていないということを自白しているようなものと考えられます。ほとんどがKDV税率の引下げで、消費者の負担を減らす効果はあるかもしれませんが、「長期的にインフレ率を低下傾向に変化させる効果」はあまり期待できないと思われます。過剰消費の解消、生産の効率化(低下価格化)などの基本対策に役立つものはほとんど見られません。特に指摘されているのは、農業を始めありとあらゆる生産活動に使用されている軽油・ガソリンに掛けられているOTV(特別消費税)とKDVの引下げをなぜ行わないのか、農業生産に対する補助金をなぜ強化しないのか、などと言うものです。5大癒着企業が落札しているBOT方式施設に対する「通行量・利用者数保証」と「為替保証預金などへの支払い」など、から生じる財政支出を賄うために、必要な減税・補助金支給もできないでいると考えられています。
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Last updated
2022.07.06 20:03:48
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