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カテゴリ:社会問題
今日(8日)も、引き続き5月14日に行われる大統領選挙に関する最新状況の解説について紹介します。前回は要約を2つ、「エルドーアン大統領が国民同盟にどんな攻撃をしても、国民同盟の結束は弱まるどころか強くなっている」と「エルドーアン大統領が大嘘をついていることを立証(インフレ率、金利、経常収支、貿易収支、最低賃金・年金などの経済問題を中心(中略))しても、“エルドーアン教徒”の岩盤支持層(有権者の25~30%)も全く揺るいでいない。」と紹介したのですが、今日の時点でもこの状況から大きな変化はなく、膠着状態のように思えます。今日は大統領選挙だけではなく、国会議員選挙に関する情報が多く出ていたので、どちらかと言えば、こちらを中心に紹介します。
ブログ更新のための励みにしていますので、クリックを是非よろしくお願いします。 にほんブログ村 まず、大統領選挙に関する話題として2つ紹介します。1つ目は2002年11月までに連立政権を作っていたDSP(民主左派党)という政党が共和同盟に参加し、AKPリストから国会議員選挙に出ることが決まったという話題です。党首であったエジェビット元首相は1980年クーデターまではCHP党首として何度も首相になったこともあり、1990年代に政界復帰以降はDSP党首として何度か政権を担っていた人で、CHPと同じ、「アタテュルク主義、左派、共和国主義」といった思想が中心的な政党でしたが、2002年に惨敗してからはどの選挙に出ても1%未満しか得票できないような弱小政党になっていましたが、今回、共和同盟に参加することとなりました。ある意味でインジェ故郷党党首と同じで、「CHPに対する意趣返し」が行動の根源にあるのではないかと思われるような状況です。しかし、2002年までに大臣や国会議員になった人を中心に、現役の執行部からも激しい反発が出て、党が2分された状態になったそうです。HUDA-PARというトルコ・ヒズボラの政治部門は「クルド民族主義(クルド語の自由、連邦制)+イスラム原理主義」を掲げている一方、MHPやBB(P)は“トルコ民族主義”政党ですので“水と油”の関係で、最終的には、MHPとBB(P)はトルコ時間9日0時現在、選挙同盟は維持しつつも、別のリストで参加することを発表した状態です。そして、ここにDSPが加わったので、「クルド民族主義+イスラム原理主義」に対する“真逆の思想?”とも言え、共和同盟の趣旨が全く分からない(選挙に勝つことだけが目的?!)と指摘されています。より正確には、“個人や団体の利益のために、エルドーアン大統領が引き続き大統領であること望む政党の集まり”対“エルドーアン大統領を大統領の座から引きずり降ろそうとする人の集まり”という2つのグループ構成になっていると指摘されていました。つまり、DSP現幹部は自分たちがAKPリストから国会議員になるためという理由だけで連立に参加したと指摘されています。選挙リストの話は、後でもう一度説明します。 2つ目の話題として、“インジェ故郷党候補とオーアン候補の支持率が高まっているため、その結果として1回目(5月14日)の選挙ではクルチダルオール党首も有効投票の過半数(50%+1票)を取ることができない可能性が高まっている”という調査結果が増えているということを紹介します。いつも紹介している解説者は、CHPに有利な結果が出がちなヨンエイレム社の調査結果を紹介していました。 エルドーアン大統領 39.2(%) クルチダルオール党首 43.8 インジェ故郷党党首 8.6 オーアン候補 2.7 未定 2.8 投票しない 2.9 これ以外では、反対に、いつもAKPに有利、CHPに不利な結果が出ているメトロポ(-)ル社のアンケート調査結果も紹介されていました。 エルドーアン大統領 41.1(%) クルチダルオール党首 42.6 インジェ故郷党党首 5.0 オーアン候補 2.2 未定 4.4 投票しない 1.6 無回答 3.1 アンケートでは“平均を取る”というのは邪道のようにも思えますが、“結果がバラバラなので、真ん中あたりが真実に近いかもしれない”という考えも、“今回はあり”という気がします。いずれにしても、インジェ故郷党党首とオーアン候補は、とりわけインジェ故郷党党首は国民同盟から圧倒的に票を奪っていると指摘されています。その証拠としてインジェ故郷党党首の支持者に“決選投票ではどちらに投票するか”との質問には約7割がクルチダルオール党首と答えていることが指摘されています。これまでも何度も紹介しましたように、「5月14日に(支持率ではなく、実際の投票で)インジェ故郷党党首とオーアン候補がどれだけ得票するか」が“5月14日の大統領選挙の最大の注目点”という状態が続いています。繰り返しになりますが、「あと1ヶ月余りで、インジェ故郷党党首とオーアン候補の得票率がどう変化するか」と「5月14日に、両候補の支持者が実際にどれだけ投票に行くか」が最も注目されています。一方で、「善良党の支持率急低下も重要な問題だ」と指摘されていました。善良党幹部及び支持者の中には、もともとクルチダルオール党首(あるいはCHP)に対する嫌悪感を持っている人も多かったと言われていますが、3月初めから半ばにかけてのドタバタ劇の結果、投票に行かない(=クルチダルオール党首に投票しない)善良党支持者の割合もかなり高いと言われており(アンケート結果では約25%)、こちらも重大な問題になりかねません。この点が、エルドーアン大統領のスパイ作戦(内部からの崩壊工作)の最大の成果かもしれません。 最後に、国会議員選挙に関する予測について紹介します。先日は、「国会議員選挙の行方は全く予断を許しませんが、(1)共和同盟は301議席(過半数)を取れない、(2)(結果として)国民同盟と第3同盟を併せて360議席以上を獲得する、という結果になる可能性が高いのではないかと管理者は『直感』しています。」と大胆な予測を紹介しましたが、今日の時点では、(1)は当たっても、(2)は外す可能性が高そうな状況です。ヨンエイレム社の予測ではAKP266議席、CHP194議席、HDP(事実上の後継政党であるYSP)72議席、善良党44議席、MHP24議席となっていました。これは先日紹介できたのですが、状況がどんどん変わっているので「(最終結果に関する)直感」のみ紹介しました。明日4月9日午後5時までにYSK(高等選挙委員会)に最終立候補者リストを提出する必要があります。今日、YSKでは投票用紙に記載される政党のロゴマークの印刷順番の抽選が行われましたが、明日の最終リスト提出後に、正確な位置・順番が確定します。9日0時現在では、共和同盟は「AKP(HUDA-PARとDSPを含む)、MHP、YRP、BB(P)の4つのリスト」、国民同盟は「CHP(DP、SP、DEVA及び未来党を含む)と善良党の2つのリスト(ただし、10選挙区では統一リスト)」及び第3同盟は「YSPとTIP(トルコ労働者党)」の、事実上3グループの競争になります。別の会社のニュースで別の政治学者の予測モデルも紹介されていました。各政党の支持率は“平均”を使用したとのことですが、「共和同盟で、MHPがAKPのリストから参加した場合」に加えて、昨日明確化した「AKP(HUDA-PARとDSPを含む)、MHP、YRP、BB(P)の4つのリスト」で参加した場合の、2つの違いが紹介されていました。 (1)「共和同盟で、MHPがAKPのリストから参加した場合」 AKP MHP YRP BB(P) CHP SP DP DEVA 未来党 善良党 TIP YSP 故郷党 259 34 2 0 150 0 0 3 2 71 1 78 0 (2) 共和同盟は「AKP(HUDA-PARとDSPを含む)、MHP、YRP、BB(P)の4つのリスト」で、また、国民同盟は「CHP(DP、SP、DEVA及び未来党を含む)と善良党の2つのリスト」で参加した場合 AKP MHP YRP BB(P) CHP(SP DP DEVA 未来党) 善良党 TIP YSP 故郷党 231 31 2 0 202 0 0 3 2 60 1 68 0 つまり、「共和:国民:第3」の獲得議席数は、「295:226:79」から「264:267:69」に変わるとのことです。したがって、リストの数も、政党支持率も現在のままの状況で変わらなければ、共和同盟と国民同盟の議席数はほとんど同じで、現在の野党である「国民同盟+第3同盟」の議席数は348議席となり、現在(改選前)の共和同盟の議席数とほぼ逆転することになります(憲法改正のための国民投票を提案ことができる360議席には微妙に足りない状況となります)。 先ほども紹介しましたが、今後の状況の変化によっては、管理者の「直感」に近い結果になるかもしれませんし、大きく外す結果になるかもしれません。まずは明日、YSKに提出される選挙リストで大枠が決まり、最後は“政党支持率”、より正確には“有権者の投票行動と選挙違反がどの程度行われるか(=どれだけ投票の安全性を確保できるか)”によって決まることになります。
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Last updated
2023.04.09 15:10:40
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