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2007.11.13
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カテゴリ:ウォール街から
 この夏、5回にわたって「爆弾抱えるCDO市場」と題したコラムを書かせていただきました。「サブプライム」は日本でも既にお馴染みの言葉だと思いますが、「CDO」はごく最近になってお聞きになるようになったのではないでしょうか。何故なら、11月に入って多くの金融機関が再び巨大な債券評価損計上を発表していますが、その評価損の多くがCDO(債務担保証券)によるものとなっているからです。

 市場というものは、いくら悪材料であっても、それが市場価格に十分織り込まれてしまえばそれほど怖いものではありません。それをさらに上回る悪材料が出ない限り、さらに市場価格を下げる材料とはならないからです。逆に、市場が安心しきっていて、市場価格にその材料が織り込まれていない状況というのは非常に怖いものです。

 債券市場において、最高の格付けであるAAA(トリプルA)の債券を保有している投資家や金融機関の多くが正にその状態であると言えます。統計的に、トリプルAの債券が債務不履行を起こす事はまずありません。だからこそ、絶対安心という保証があるからこそ、トリプルAの債券に投資していたのでしょう。しかし単にトリプルAの債券に投資していたのでは高い利回りは得られません。トリプルAという制約がある中で、多くの投資家や金融機関が少しでも高い利回りの出る債券に向かっていったのです。それがCDOです。サブプライム問題が顕在化するようになった今年春以降は、トリプルAのCDOが債務不履行、という異常事態も発生していますし、市場価格も大幅に下落しています。

 金融の世界では、利回りが高いものはそれだけリスクも高いというのが常識です。しかし「トリプルA」というブランドネームが感覚を麻痺させてしまったのでしょう。多くのプロの投資家や金融機関が次々とCDOへの投資でトリプルAの罠にはまってしまっています。現在、アメリカの金融機関が発表しているCDOの評価損計上は早い方ではないでしょうか。世界中にCDOに投資していて、「トリプルAだから」と安心しきっている投資家や金融機関はまだまだあるように思われます。

 CDOの仕組が多くの問題を抱えているというのは 第200回 爆弾抱えるCDO市場(3) (2007 年7月24日) でご説明した通りです。様々な仕組上の問題が重なった結果、CDOに限っては、トリプルAの質を伴っていない債券が市場に氾濫してしまっているのです。10月、格付け会社ムーディーズは重い腰を上げ、やっと103億ドル分のCDOの格下げに踏み切りました。同社はさらに10月末時点で 475億ドル分のCDOの格下げを検討しています。

 トリプルAというのは投資した時の話であって、今後も約束されているものではありません。「市場価格が間違っている」とタカをくくっている投資家や金融機関がまだ多く存在するとすれば、CDO市場はまだ「爆弾を抱えた」ままの状態と言わざるを得ません。





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最終更新日  2007.11.14 18:34:41


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