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堀古英司の「米国株式の魅力」

2013.12.30
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我々が運用しているファンドでは毎月初、運用報告会を行っています。2ヶ月前、その運用報告会で、お勧めの読み物を挙げてほしい、というリクエストをいただきました。昨年来、日本でも株式相場が大きく上昇しているので、株式投資を始めるために勉強されている方も多いのではないかと思います。そこで改めて私が挙げさせていただいたのが、”The Superinvestors of Graham-and-Doddsville”(グレアム・ドッド村のスーパー投資家たち)です。これは著名投資家ウォーレン・バフェット氏が1984年にNYのコロンビア・ビジネススクールで行った講演をまとめたものです。15ページの短い読み物ですし、オンラインでも簡単に入手いただけると思いますので年末年始にでも一読されることをお勧めします。

アメリカでも一時、ランダムウォーク理論や「猿のダーツ投げ」がもてはやされた時期がありましたが、それは昔の話です。しかし日本には、いまだにその昔話を信奉している人達が多い事に驚かされます。そして投資家のパフォーマンスが株価指数を上回ると都合が悪いかのように、運が良かっただけ等の理由を挙げようとします。確かに投資家のパフォーマンスを全て平均するとそうなのかもしれません。しかし我々のファンドを含め長期間にわたって株価指数のパフォーマンスを上回っている投資家が実在するのは確かです。”Superinvestors…”を読んでいただければ、それは運ではなく、そもそもランダムウォーク理論の前提(効率的市場仮説等)が非現実的である事に起因しているのがお分かりいただけると思います。実際ウォーレン・バフェット氏は自らが世界トップクラスの富裕者として君臨し続ける事によって証明していると言えるでしょう。

実際の市場においては、多くの場面で非効率性が散見されます。このうち、我々が運用するファンドの中で今年目立ったパフォーマンスを示したのが、会社名と実際のビジネスのギャップに着目した投資でした。

●Eトレード(ETFC)
2年あまり前、我々は住宅市場の先行指標によって底打ちを示唆したのを確認し、住宅市場の回復のメリットを最も効率的に享受できる銘柄を探していました。そこで有力候補に挙がったのがEトレードでした。Eトレードは楽天証券同様、オンライン証券会社と考えている投資家が殆どだったと思います。しかし実際には、2011年秋時点で330億ドルもの住宅ローン及び住宅ローン証券をバランスシートに抱えていたのです。その多くは金融危機前に顧客向けに提供した、いわゆるサブプライム・ローンで、金融危機によって大きな打撃を受けた後でした。2011年末当時、時価総額が23億ドルしかないEトレードにとって、それは大きな重荷だったに違いありません。しかし大きく業績の足を引っ張ってきた住宅ローンも、住宅市場が回復してくれば、今度は逆に大きな業績の回復要因となります。我々が目を付けたのは、オンライン証券会社の部分ではなく、この大量の住宅ローン及び住宅ローン証券だったのです。我々の目論見通り、全米の住宅価格は2012年1月に底打ち、その後今年秋までに20%近く上昇しています。そしてその間、Eトレードの株価は120%の上昇を示したのです。

●ボーダフォン(VOD)
ボーダフォンへの投資については、これまで講演等でも幾度かご説明した通りです。ボーダフォンは多くの投資家がイギリスの携帯電話会社と考えているか、又はもう少しご存知の方でも世界30カ国近くで展開している携帯電話会社、という捉え方が多かったのではないかと思います。しかしボーダフォンが持つ資産で最も価値が高いのは、アメリカで最大の携帯電話会社、ベライゾン・ワイアレスに出資している45%の株式でした。残りの55%はダウ構成銘柄でもあるベライゾン・コミュニケーションが保有していましたが、同社は固定電話が斜陽産業となる中、配当を維持するために残りのベライゾン・ワイアレスを入手したい事は明らかでした。安く手に入れたい気持は分かるのですが、待てば待つほど価格交渉はボーダフォンにとって有利となり、結局EBIDTA倍率8.5倍という、ボーダフォンの言い値とも言える金額で合意に至りました。この買収は来年初にも完了する予定です。

これらは投資家が実際のビジネスを正当に評価しておらず、あたかも会社名やイメージで株価評価していた事から起こった割安な投資機会だったと言えます。しかし市場では逆に、会社名のみを見て投資家が株価を割高に評価してしまうケースも多々あります。2000年に向けてのドットコム・ブームでは、社名に「ドットコム」が付いていれば何でも買われましたし、2003年以上、社名に「チャイナ」が付いていれば株価が上昇する時代もありました。しかし社名だけを見てビジネスを分析していない投資が上手く行くはずがありません。

そんな事は分かっていても、社名だけを見てビジネスを分析せずに判断をする投資家は、これからも市場に存在し続ける事でしょう。なのでランダムウォーク理論は現実を反映していないし、ウォーレン・バフェット氏の言う通り、今後もスーパー投資家は勝ち続けると思います。そしてそれらを、たまたま運が良かっただけ、と信じたい人達も、これからも存在し続けるのでしょう。

今年もお世話になりました。皆様、良いお年をお迎え下さい!

(2013年12月27日記)






最終更新日  2013.12.31 07:16:13


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