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2011.06.22
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カテゴリ:宗教
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第138話 「ビュガラッシュ」

 日本は一足先に壊滅しそうですが、マヤ暦の最終日だった2012年12月21日が、世界が終わる日(ではないか?)と思い始めている人が増加中のようで、これを書いている時点で1年半くらいになったわけですが、あちこちで新興宗教関係の団体が活気づいているのは御存知の通り。

 既に、首を傾げたくなるような対応策を実行して社会問題になっている団体もあり、中でも仏蘭西南部にあるビュガラッシュという小さな村(総人口が200名程度)が安全な”聖地”とされ、最後の審判から逃れるべく続々と終末思想信者や団体が押し寄せているそうな。

 もっとも、正確な”聖地”はビュルガラッシュで”逆さまの山”と呼ばれている山ですが、興味深いのは、ビュルガラッシュに限らず、特定の山でUFOの目撃報告が激増してきていることで、ビュルガラッシュがポートかどうかはともかく、洒落にならない可能性もあるのかなと。

 ちなみに、”逆さまの山”は岩山で、上の山頂に近い層の方が麓の下層部分よりも古いことからこの名前になっているそうですが、岩山が特殊な磁力で囲まれているという説もあり、当然のように方位磁石が誤作動する地域があることが知られていますが、まあ、それだけのことで最後の審判を受けずに済むとも(私には)思えません。

 新参者の急増を警戒した村長からの連絡を受けて当局の担当が視察に訪れた頃には、米国の「ラムサの学校」メンバーだけでも周囲に6カ所の居住施設を建設していたそうで、他の新興宗教団体も続々と定住を始めていて、周辺の不動産価格が上昇中だそうですが、仏蘭西当局としては、亜米利加のテキサス州ウェイコで発生した”ブランチ・ダビディアンの立て籠もり事件”のような騒動に発展することを警戒していて、選民思想を伴う終末思想は話がこじれやすいだけに、取り扱いに注意しているようです。

 ”ブランチ・ダビディアン(Branch Davidian)の立て籠もり事件”というのは、本来は亜米利加合衆国を拠点とする新興宗教団体で、セブンスデー・アドベンチストの分派の”ダビデ派セブンスデー・アドベンチスト教会(通称:ダビデアンズ)”から、1955年に分裂・分派したプロテスタント系のセクト集団に過ぎなかった”ブランチ・ダビディアン”とFBIとの壮絶な銃撃戦と火災で幕を閉じた籠城事件のことになります。

 1934年にダビデアンズが結成された当初は、”ヨハネの黙示録”を題材にした終末思想に特化してはいたものの比較的穏健で小さな教団に過ぎなかったようで、分派後、特に1990年に激しい跡目争いに勝ち残ったバーノン・ハウエルが新教祖の座に着いて以降、欲と色に象徴される一部の新興宗教と同じ方向へ偏重していき、”ブランチ・ダビディアンの信者達だけが、最終戦争に生き残ることを神に認められた民”といった選民思想を導入したあたりから一気にカルトの道を歩み始めたとされています。

 教祖となったバーノン・ハウエルを産んだとき、その母親は15歳で、未婚だった上に父親が誰かは不明で、祖父母によって育てられたというあたりで、私ならあれこれ邪推を始めますが、苦労して育ったこともあってかカリスマとして人心を掌握していき、独自の布教活動で信者を100人程度まで増やすことにも成功しています。

 もっとも、本人はバーノン・ハウエルという本名が、少なくとも嫌いだったようで、”デビッド・コレシュ”と改名しているのですが、コレシュというのは、”バビロン捕囚からユダヤ人を解放した、ペルシャ皇帝キュロス2世の”キュロス”をヘブライ語訳した(と彼は主張する)”もので、デビッドは、ユダヤの英雄ダビデの英語読み”ということになっています。

 が、実はぐだぐだのネーミングで、新バビロニア国王ネブカドネザル2世は、南ユダ王国の首都エルサレムを2回(前597年,前586年)にわたって破壊して属州化した皇帝で、南ユダ王国の貴族、軍人、工人、職人などなど、11万人以上をバビロニアに移し(これが本来のバビロン捕囚)ており、前538年に新バビロニアが滅亡したことで、虜囚のユダヤ人は解放されたのですが、大部分は異教徒の地に離散し(いわゆる”ディアスポラ”)てしまい、その後のことは良く分かっていません。

 新興宗教では、教祖様の中途半端な知識と思い込みで独自解釈が横行するのはよくある話ですが、改名でさえその程度ですから、コレシュが主張した、”(自らが)7つの封印(Seven Seals)を解放できる唯一の「神の子羊」”という主張もぐだぐだで、7つの封印を解く役割は明確に預言されており、少なくとも「神の子羊」ではありません。

 また、基督教の他の宗派の主張などから考えても、”最後の審判の日を越えて生き残ること”を主目的とする宗教団体は少数派で、最後の審判の日に(魂の救済を含めて)天国の門をくぐることができるかどうか?の方が重要と考える集団が多いようですし、神が”最後”とする審判を越えて生き残った場合、それってもう二度と神様によって裁かれることが無い ・・・ ある意味で、見放されるのと同意であることに彼らが気付いていないのか?

 ところで、金、女、麻薬にまつわる新興宗教ではありがちな噂が”ブランチ・ダビディアン”が急成長していく過程で飛び交うようになり、カリスマ教祖を頂点とするカルト色が強くなってはいたものの、そもそもまともな教育を受けていない上に宗教的な知識も怪しいバーノン・ハウエルが、それほど危険な人物だったのか?と言われれば、最終戦争に向けて武装化を推進し、大量の銃器を不正に獲得したといわれるものの、場所がテキサスだけに、自らの敷地内で武装して自衛することは当然の権利という土地柄でもあるわけです。

 実際、彼らよりも余程強力に武装して、下手な軍隊よりも軍事訓練が行き届いている集団は珍しく無く、中でもミリシア(militia:民兵)と呼ばれる武装集団は、亜米利加合衆国憲法修正第二条に記されている militia が武器を保持する権利によって存在も武装も正式に認められていて、実際、亜米利加国内だけでも数百とも言われる民兵グループが自由に活動を行っていますから、敢えて、”ブランチ・ダビディアン”だけが自衛のための武装をしていて危険な団体であるとするのなら、明確な証拠が無いと無理があるわけです。

 で、それこそ邪推ネタになるのが、”ブランチ・ダビディアン”の教団本部への強行突入を指示したのが、就任間もない司法長官ジャネット・リノだったことで、新任の司法長官が手っ取り早く何らかの実績を欲しがり、潰すのに適当な規模(と戦力)の団体として”ブランチ・ダビディアン”が”生け贄の羊”として選ばれたのではないのか?という疑惑を持ってしまうことでしょうか?

 そもそも、それほど危険な集団なら前任者が摘発していたでしょうし、最初(02/28)から、ATF(アルコール・煙草・火器局:酒や煙草の密造や脱税、銃器の取締まりなどを行う)が、武装した100人のチームを宗教団体の施設に強行突入するというのも無茶な話で、まずは地元の保安官あたりが教団敷地内部の視察や事情聴取をして実態を把握してからでもかまわないだけに、”最初から意図的に火種に火を着けようとしている”ような違和感が拭えません。

 ちなみに、この初回の突入に関しては、4人のATF捜査官が死亡(教団の側は6名が死亡)したことで、ATF捜査官を殺害したとして11人の教徒が起訴されたのですが、全員が「正当防衛」で無罪になっていまして、裁判所の結論として”社会に実害がなかった以上、放って置けばよかった”のに幾つかの司法手続きをすっとばして突入した方に非があるという事になっています。

 ただし、ATFの強行突入が失敗した段階では、管轄がATFからFBIに移り、より強力な強行突入の実働部隊となり、”51日間に及ぶ籠城の末に、追いつめられた教祖が教団員を道連れに集団で焼身自殺した”事件として知られるようになるのですが、最終戦争に生き残ることを前提に準備していたダビディアン側が、(基督教で普遍的に厳禁とされている)自殺を選ぶとは考えにくく、1年分以上の食料や水などを備蓄し武器弾薬も豊富にストックしていただけに、”殉教者”になることはあっても”自殺”を選択する必要が無いわけです。

 いずれにしても、司法長官ジャネット・リノが、4月19日に再度の強行突入を指示し、19台に及ぶ戦車、装甲車、武装ヘリコプターまで投入し、催涙弾を大量に撃ち込んでいるのですが、信者側から投降者は出ず、抗戦が続いている最中に建物から出火して、コレシュを含む81名の死者(子供が25名)が出て、生存者が9名だけという大惨事になってしまいます。

 逆に言えば、子供を入れても90人程の集団に対して、戦車や装甲車を投入しているあたりで、皆殺しが目的か?と勘ぐられても仕方がない戦力差の総攻撃だったわけですし、出火は、突入した装甲車の攻撃でガスボンベが破裂した説や、可燃性の催涙ガスを意図的にFBI側が用いて銃火などから引火したという説(銃の発砲の直後に発火したような映像が残っている)など、いずれにしてもFBI側に出火原因有りという説が有力になっています。

 事件後の裁判で、一連の教団施設攻撃は、適正手続き(due process)という点からも政府側に問題ありといったことになっていますし、後に、”刑務所で信者たちに布教ができるように計らえば投降する”といった内容のコレシュからの手紙(04/14)をFBIが司法長官に渡していなかったことが発覚し、FBI長官のセッションズは事実上の引責辞任をしています。

 なお、最初の強行突入も再度の強行突入も最終的に指示した司法長官は、一応、辞表を提出したのですが、クリントン大統領が「罪を最も負うべきは教祖コレシュだ」という筋の通らない主張をしてそれを却下しています ・・・ 現場担当に過ぎないFBI長官だけに罪を負わせた露骨な蜥蜴の尻尾切りではなかろうか?

 事件後の亜米利加では保守派や右翼勢力などが、この事件を”信仰・武装(自衛)の権利に対する、連邦政府の不当な弾圧”の典型事例とするようになり、連邦政府の対応への不満と反感は、教団本部が炎上したちょうど2年後の1995/04/19に、”オクラホマ連邦政府ビル爆破事件(オクラホマ・ボマー事件:死者168名、負傷者500名以上)”へと連鎖していくのですが、そもそも、4月19日が亜米利加独立戦争の開戦日というあたりで、より大がかりなシナリオの存在を疑う話でもあるわけです。

 その後の”ブランチ・ダビディアン”がどうなったのか?というと、これを書いている時点では存続して活動を続けていますから、その意味でも”より深い裏”を考える余地がある事件と言えます。

初出:一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第138話:(2011/06/16)





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Last updated  2011.06.22 00:27:02
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