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2011.07.07
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カテゴリ:食品
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第151話 「農水省暴走」

 東北関東大震災とそれに伴う津波、地盤沈降などによって水田を含む農地が大量に喪失したり使用不能状態になり、その後の福島原子力発電所の事故に伴う大量の放射性物質の高濃度広域拡散が生じているどさくさに紛れて、農林水産省が2011年7月1日に”米の先物取引の試験上場を認可”した。

 これは、以前にも書いたが、国民生活の安定を考えれば”絶対にやってはいけないこと”であり、少なくとも、”現状で急いでやる必要がないこと”であり、日本史の教科書に残るであろう”愚挙”ではなかろうか?

 敢えて言えば、”それをやるのなら、海外からの米の輸入を自由化するのとセットで行わないと、高値誘導されやすい”ことは歴史が証明していますし、そもそも、”なんでこの日本経済が崩壊しかけている非常時に復活させるのか?”が一切、説明されておらず、国会で十分に審議された上で可決された案件でないのは御存知の通り。

 米の価格決定権を民間の米相場というか先物市場に奪われた結果、自らの主産品の価格決定権を喪失した徳川幕府が次第に財政逼迫していったのは歴史の示すところで、米将軍と呼ばれることもある8代将軍・徳川吉宗でさえ、先物取引で賭博的な要素が高くなった米相場をコントロールできなかったのは御存知の通り。

 その後も、投機マネーの流入で生活必需品である米の価格が、投機筋の思惑で乱高下するようになると、米の在庫は十分にあっても高値誘導されて庶民の手に届かない高値になり、米騒動が頻発し、米問屋などが打ち壊しの対象になったことは日本史の授業で多少なりとも教わる話ではありましょう。

 分かりやすいところでは、産業の米に相当する石油が、石油の先物市場に投機マネーが大量に流入した結果、賭博性が上昇し石油の消費量が増加しているわけでもないのに思惑で高値誘導され、石油の生産量や供給量と消費量のバランスに関係なく値上がりした結果、高止まりしたままになっているのは御存知の通り。

 そもそも、東京穀物商品取引所(東穀取)と関西商品取引所が上場申請を出した段階では、東北関東大震災やその後の原発事故の高域放射性物質汚染がこれほどの規模で拡散しチェルノブイリ級の事故へと発展していくことが織り込まれていたのか?社会不安が増大していくことを想定した上での先物取引の再開なのか?ということも謎ですし、震災復興がこれほど難航しているときに、急ぐ必要もない米の試験運用とは付くものの先物取引が、さっさと施行されるというのも納得できません。

 ましてや、(社会保障関連の)消費税10%と(震災復興関連の)他の増税X%という方向で政権与党である民主党が税制改正を行おうとしているこの時期に、どさくさに紛れるかのように、農林水産省が単独で米の先物取引を事実上解禁(と書くと、”試験運用である”と言い逃れしたがるのが公務員ですが)してしまうのは歴史に残る愚挙でしょう。

 その後の経過を見ていても、東穀取が7月19日にも上場する(これを書いている時点では予定)というのは、”いかに米の先物取引に旨みがあるか”を示していて、鹿野道彦農水相が1日の閣議後の記者会見で述べた内容も、”価格形成の場が作られ、取引の透明性が高まることを期待したい”とは言っても、誰もどこにも、”米価が今後も安定し、従来通り過不足無く供給される”とは言っていないわけです。

 そもそも、米の先物取引が約70年もの間封印されていたのは、いかにこの投機的な市場が不健全な高値誘導を行って社会を混乱させてきたかの裏返しの証明でもあり、一般庶民にとっては何の恩恵もない、かえって経済的な負担と混乱が増加することが、これを書いている時点で既に予測されますし、恐らく、米価が上昇すればするほど”外米輸入の自由化圧力が増加するのは不可避”と考えられます。

 そして、ここがポイントですが、米の先物取引を行う連中にとっては、”別に国産米だろうが外米だろうが関係無い”のが現実で、あっさり書けば、国内の農業がどうなろうが、自分たちの利益さえ上がれば何の問題も無いというのが基本的な立ち位置であるということです。

 また、そこで動く金が大きくなれば、海外の投資家などが、”なぜ日本人だけで独占しているのか!”と外国人投資家の参入を要求するのも時間の問題でしょうし、そうなれば、間接的に日本の食料を100%海外勢力に握られるのに等しくなります ・・・ 米の100%自給は幻想ですが、自給できている米があるということは、その分は海外の思惑で動かなくても良いということとほぼイコールなわけです。

 亜米利加の穀物関連の先物取引市場を見れば、日本の米の先物取引が本上場された後の光景を見ることができるということで、先物取引を解禁しておきながら、外国の先物取引関係者をその市場から閉め出すことが可能だと本気で考えているとしたら、余程の間抜けではなかろうか?

 ちなみに、試験上場の期間は2年とされていて、農水省は”取引量や生産・流通への影響などを検証”し、”本上場の可否を判断”する方針としているのも茶番で、そもそも、本上場を否定するのなら試験上場を許可する必要が無いわけですし、試験上場の為に東穀取や投資家などが投入する資金の額を考えたとき、その旨みを味わって黙って引き下がるとも(私にはですが)思えません。

 また、民主党が”農家の個別所得保障”を主張し、その方向で調整が進んでいるわけですから、農家は所得が保障され、消費者は不安定な米価に右往左往させられる近未来がまともとも私には思えませんし、現実問題、東北関東大震災と福島原発事故が発生した直後、首都圏で米騒動が勃発し、小売店の店頭から米が消えたのは記憶に新しいところです。

 国が”備蓄米”という形である程度の米の量の管理をしていても、非常時に対応できなかった現実を前に、今後、米の大半が民間の倉庫で投機目的で管理される時代が来た場合、意図的に出し惜しみをすればするほど高値で購入する人が出てくるような非常時に米の価格がどうなるか?を考えれば、米価がある程度安定していることのメリットの方が、先物取引で儲ける連中が出てくるメリットよりも大きいことは確かな話ではなかろうか?

 逆に言えば、消費者にとって安価に米が供給されることが目的ならば、素直に外米の輸入を全面解禁し、これまで農産物保護で座礁することが多かった多国間貿易協定の類をさっさと締結すればいいだけのことでは無いのか?

 巨額の利益を手にする人の数と、不利益を被る人の数を比較すれば、明らかに不利益を被る人の数の方が多くなることは歴史が証明している案件だけに、繰り返しになりますが、”なぜ、国難とも言えるこの時期に米の先物取引市場を再開させる必要があるのか?”。

 というか、江戸時代から不可能だった米の先物取引という化け物の機能を停止させることに成功したのが、大東亜戦争という国の非常時だったというのも意味深で、国が滅ぶかどうかどうかという瀬戸際になってやっと、こんなことをしていては国が滅んでしまう!として、停止させることができたのが米の先物取引市場だっただけに、国が滅びかけているこの時期に復活させる神経というのが私には良く分かりません。

 勘ぐれば、東北関東大震災で、東北沿岸の水田地帯が大打撃を受け、今後数年は作付け不能になった水田や、下手に復興するよりも放棄しないと経済的に破綻する水田まで出ているということは、既に今年の段階で全体としての米の生産量は減少することを意味していますし(後略)。

 そして、2006年頃から本格化してきた地球温暖化の影響は、記録的な豪雨、酷暑といった形で西日本の農業生産に影響を与えるようになり、農業生産が従来と同じ水準で可能かどうか?が危ぶまれる事態となってきているのは御存知の通りで、そこで”主食”を先物取引の対象にするということが、誰のメリットになるのか?と考えれば、その裏で”どれくらいの(中略)が動いたのか?”と勘ぐるなという方が無理でしょう。

 私は基本的に、米の輸入自由化論者ですが、米を先物取引の対象にすることの弊害は、米を輸入自由化するよりも日本農業に対して悪影響を生じさせると考えています。

 なぜなら、米の輸入自由化をしても日本人が1年で消費する米の総量はさほど変化しないでしょうから、輸入する米の販売を農協に一括委託させ、そこで生じた利益を国内で専業で水稲を生産している農家に対して、その生産量ないし販売実績に応じて配分すれば、農家の個別所得保障も不要になるからです。

 外国の農産物を輸入する場合、国内で専業で同種の農産物を栽培している専業農家に販売利益を還元すれば、安価な海外農産物が入ってきても致命傷にはなりにくいのですが、現状では、安価な海外農産物を輸入販売することで生じる利益を農家や農業団体ではなく、企業や商社が懐にいれているから話がこじれているのではないのか?ということです。

 つまり、海外から農産物が入ってくる場合、国内の同種の農産物より安価に販売されているとしても、その販売利益に関しては、”販売価格=仕入れ値+経費+利益”となっていて、基本的に”販売価格<仕入れ値+経費”となっているようだと長続きしない現実があるわけですから、国産と比較すれば十分安価なようでも、そこには”利幅”が少なからずあるということです。

 逆に言えば、そういった旨みがなければ、あえて海外から手間暇かけて農産物を輸入するメリットというのは(ブランド信仰とかいうのを除けば)小さいということですし、日本へ熱心に自国の農産物を売り込みたがる国にしたところで、日本で販売して利益が出ないのに売りたがっていると考える方がどうかしているとも想います。

 そして、これが管内閣延命のためだけの”なんでもあり”の延命策の一環でしかないとすれば、”管直人=疫病神説”の支持者が増加するのではなかろうか?

初出:一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第151話:(2011/07/01)





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Last updated  2011.07.07 01:24:11
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