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風狂夜話2

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2007年12月05日
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カテゴリ:天才
ミレナよりカフカへの追悼文

ミレナはナチス・ゲシュタポに逮捕され収容所にて死去。1944年、50歳。

チェコのブルジョア出身のジャーナリストであった。

「(世界では)カフカについて多くのことを知る人はいなかった。

だれも彼のことを特別な人とは思っていなかった。ある時だれかが

彼を何かの事件で訴え、それに対して彼が自己弁護をしないという

ことがあった。

彼がとても誠実で男らしい顔をしていたこと、この告訴が重大でもあった

ことから、私にはその告訴が殆ど信じられなかった。

誠実な顔と人をまっすぐ見る静かな眼をもつ青年にそのような醜いことが

できたと考えるのは、身を切るようにつらいことだった。

そこで私はいったいどういう事なのかその事情を調べてみた。

その結果、彼が自己弁護しない理由は自己弁護をおこなう事で彼自身の

無限に美しく、かつ気高いなにものかが人に知られてしまうからだ、という

事がわかったのである。

それは、他の人間なら誰でもこうした機会がなくても誇示したことであろう。

しかし私はいままでこのような事を眼にしたことがなかった。

のちになって判ったのであるが、とにかく彼は、私が出会った人間のなかでも

注目すべき非凡な人間だった。

私は彼の心の奥を垣間見たにすぎないけれど、私にこれほど衝撃をあたえた人間

は未だかつて存在しなかった。彼は無限に気高かった。だが、それを彼は隠した。

考えるにほかの人間たちよりも有利な立場にあることを恥ずかしく思う人なのだ。

彼はあるがままの自分を他人に見せるようなことはできなかった。

だから、最も美しいことを静かに内気に恐る恐る、密かに人目を忍んでおこなった

のである。本当に密かにおこなったのである。」

「彼は若いドイツ文学のもっとも重要な何冊かの本を書いた。(「審判」や「城」)

それらは全く、非傾向的な形式で、今日の時代の幾世代かの戦いを包括している。

……その乾いたイロニーと感覚的な透視性は、世界をあまりにも明晰な明るさで

見てしまったのでもはやそれに耐えることができず、死ななければならなかった人間

のものだ。」

カフカはいつまでもドイツ語圏のユダヤ人として人類的苦悩を苦しんだ。

ユダヤ共同体の構築を夢見ながら。

それにしても40歳。若すぎる。






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最終更新日  2007年12月09日 06時55分55秒
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