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![]() 202兆7123億円に達している。 米国経済の凋落で円高が進み、1ドル=80円割れになるのも目前である。 この円高の恩恵を受けて企業は手元資金を旺盛に海外展開に振り向けるべきだ。 経済アナリストの森永卓郎氏は、80年代後半の円高時に海外不動産を買いあさって 失敗した轍を踏まないように「今回は必要性と成長性を十分に見極めるべきです。今 後の世界的な資源戦争や食糧難に備え、円高時に海外の資源会社や穀物会社を買って おくというのも一つの選択肢でしょう」と指摘する。 これを機に「官民ファンド」の設立を提言するのが埼玉大学の相澤幸悦教授だ。 「急激な為替変動に対応するための財務省の外為特会は100兆円分もドル資金を 保有している。まずはもう何年も使われずに塩漬けにされているそのカネを出させ ます。さらに政府保証をつけて、企業からも手元資金202兆円のうち、ある程度 を拠出させて『官民ファンド』を創設し、企業のMAをバックアップすればいい。 円高の今だからこそ、国家百年の計を考えなければならないと思います」 国内で消費される1次エネルギーのうち、原油は約5割を占める重要な資源である。 その99%以上は輸入に頼っており、そのうち日本企業の資本下で採掘する原油量 は20%以下に過ぎない。「資源小国」日本のエネルギー事情は大変不安定なので ある。この円高を機に大油田の権益確保を仕掛けてはどうだろうか。 原油流出事故でお買い得になっているメキシコ湾油田はどうか。この油田には110 億バーレルの埋蔵量があると推定されている。同規模の油田の権益を購入するには 07年の1ドル=120円時であれば、26兆円が必要だったと推計される。しかし、 現在の為替相場では18兆円程度に値下がりしている。 しかも権益の65%を持つ石油6大メジャーの一つ、BP(英)は、流出事故の賠償 問題に対処するため資産の投げ売りを始めている。今後の展開次第では9兆円の半額 セールという買収価格になるかも知れない。この大油田が手に入れば日本はアメリカ の全埋蔵量(約190億バーレル)の半分以上に匹敵する石油権益を保有できる。 他の油田もある。埋蔵量12億バーレルの中東・イラクのガラフ油田は総額5810 億円で、インドネシアの3分の2の埋蔵量を誇るナツナ海域の天然ガス田は2兆円程 度で買える。 金属・鉱物資源の多くも日本は輸入に頼っている。円高はそこでも有利に働く。 例えば、スイスの総合資源企業であるエクストラータは3年前の時価総額7兆円程度 に比べ、現在は4兆円程度と安い。 また、世界3大資源メジャーの一つ、アングロ・アメリカン(英)の時価総額も約4 兆円。同社はダイヤモンド市場を支配する南アフリカのデビアスに45%を出資する 筆頭株主という点で、安定的な収入も見込めるのだ。 これらの企業を買収すれば、もはや日本は世界有数の「資源大国」なのである。 先進国では食料自給率が最低クラス(約40%)である日本は、安定した価格と量の 食料を確保してくることが喫緊の課題である。 しかも今年の猛暑と干ばつの影響で、ロシアが小麦の輸出禁止を年末まで続けること を表明し、穀物価格の高騰が懸念されている。どうすべきであろうか。 ロシアの隣国ウクライナは世界一肥沃な黒土で知られ、大麦輸出量は世界第1位、小 麦輸出量は世界6位。ロシアの穀物会社は事実上、国家管理下に置かれているため買 収が困難だが、ウクライナ最大の食料会社ランドコムは英国資本であり、買収が可能 なのだ。ランドコムの時価総額は現在50億円程度。3年前なら200億円程度だっ たことを考えれば安い買い物だ。この1社だけでも日本の全人口が食べきれないほど の小麦や大豆などを安定的に調達することができるのである。 (週刊ポスト9-10号) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年11月06日 20時08分51秒
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