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にさらされている。いったいどういう人物なのだろうか。 1941年9月13日生まれの69歳。秋田県由利町出身。東大法学部卒業後、外務省 に入省。北米局長などを歴任した典型的なアメリカンスクールの英才。閨閥にも恵まれ た事務次官候補であったが、小泉政権下で田中真紀子外相の人事騒動に巻き込まれ、 次官には就けず、やむなく駐米大使に任命されたという波瀾のキャリアを持つ。 リチャード・アーミテージなど米共和党系の外交・防衛族に豊富な人脈をもつ日米安 保体制のキーマンでもあった。 だが、この度はきわめて業界的なゴシップに巻き込まれている。かわいそうだ。 プロ野球の両リーグ理事会に何ら口をはさむ裁量がないとはいえ、セ・パで開幕の足 並みが乱れる状況に対して、ファンの彼への反発は、日に日に大きくなっている。 特に「巨人」を擁し、強引に開幕を迎えようとするセリーグに批判の声が絶えない。 選手からは「プロ野球の危機だ」という声まで出る現状にあって、介入はおろか方向性 を示すでもない加藤コミッショナーの態度は傍観者のそれである。 楽天・星野監督の「コミッショナーがしっかり決めないといかん」という怒りももっと もである。 だがこの批判や怒りの矛先は実は柔弱なコミッショナーにではなく、「球界の盟主」を 自任する、読売巨人軍に向けられているのだ。ただ直接に言えないだけである。 本来ならこの未曾有の大地震、福島原発事故の事態に対し球界を引っぱるべきだった。 それが多くのファンや国民、選手会の反対を押し切り、25日開幕に固執したのだ。さ すがに文科省の要請で日程をずらしたとはいえ、わずか4日である。その自己中心的行 動に反発が集中したのである。 「巨人の生みの親である正力松太郎初代オーナーは、日本の『原子力の父』とも言われ ている。原発爆発の被害もからんでセの開幕をずらすことになると、正力松太郎の権威 に傷をつける。そんな背景があるのでは、という気さえします」(工藤健策・ライター) 渡邉恒雄読売新聞会長が「25日開幕をずらせというのは俗説だ」といえば、清武巨人代 表は「野球をやって利益をあげる。自粛より行動を選んだのだ」と言い放って、ともに大 いに悪名をあげたのも、情けない。 読売新聞という日本一の販売量を誇るメディア企業のトップが世論を見誤ったらしい。 さらに巨人の滝鼻オーナーは<政府、監督官庁の指示に従う>という12球団の方針に も関らず、「開幕はお上(政府)が決めることじゃない。節電に協力しろということで しょう。パ・リーグがいろいろ先行して決めているようだが、そうはいかないよ」と異 を唱えたのもいかにも「球界の盟主」らしい傲慢さでかえって小気味よいのだ。 「むかし陸軍・関東軍いまは読売・巨人軍」とでもはやされそうだ。 とにかく石原都知事の「天罰発言」と同じく、長期政権で「裸の王様」になった人物た ちの言動には、常軌を逸したものが多い。もはや庶民の常識を超えている。 最後に加藤コミッショナーの迷言を記す。 セ・パの足並みが揃わないことの責任を記者会見で聞かれて、きれたらしい。 「わたしの責任? わたしは野球に誇りを持っている。野球をやるのは不謹慎じゃな い! 野球をやるの基本認識。コミッショナーどうこうは改めて言うことじゃないでし ょ! わたしは自分の立場を明確にしている。すでにこの問題はコミッショナーのメン ツを超えているんだ! できることはやってるつもり。プレスはどこまで報道している かは別にしてわたしは立場を曖昧にしたことはない!」と。 記者たちにも、もはや何を言ってるのかわからない弁舌だった由。 官僚組織のトップ級を歴任し、日本外交のキーマンであった人物が、いかにもうす暗い 業界の調整役をまかされ、業界のドンの泥をかぶらされる困惑と憤怒を窺わせている。 そして彼の言動をスポーツ欄のゴシップとして、面白おかしく報じるマスメディアの強 烈なルサンチマン(復讐)をようやく知ることになるのだ。浮世の義理に泣かされる、 のである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年03月23日 20時10分10秒
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