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風狂夜話2

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2011年06月22日
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カテゴリ:ニュース
実は震災を取材するなかでもう一人、特に福島を歩く俺の脳裏から離れなかった

のが、かつて『東電OL殺人事件』(00年)に書いた渡辺泰子のことだった。

慶応大学から東電に入り、通産大臣の渡辺美智雄ら政界との連絡役も務めた泰子

は、娼婦として渋谷の街角に立つ夜の顔を持ち、そして殺された。

当時、俺はせめて表題から、東電の二文字を外させようとする広報担当者からや

けに豪奢な鯛釣り旅行に誘われたり、慇懃で狡猾な懐柔工作の標的になったから

その隠蔽体質はイヤになるほど肌で痛感しているけどね。

隠蔽体質の最たるものは泰子が夜の商売をしていることを、東電の連中がみんな

知っていたということだよ。

それでいて社員が身体を売っているなんて認めるわけにいかないから処分するで

もなく、ロクに寝てないから会議中にウトウトする泰子を、同僚はみんなでバカ

にして笑っていた。どれだけ陰険な会社かわかるだろう。

つまり今回露呈した東電の隠蔽体質は昨日今日始まった話じゃない。底意地が悪

くてどこか他人事な無責任体質の化けの皮が、多少剥がれたってだけなんだ。

俺は退去命令が出されて以降、畑のホウレンソウが伸び切り、牛や鶏や豚が見殺し

にされた福島を歩きながら「本当のことを言ってやろうか」という、泰子の声に

ならない叫び声を何度も聞いた気がした。

そして奇しくも『巨怪伝』(94年)に書いた正力松太郎が原発導入に多大な働

きをし、政官業の癒着のド真ん中に原発がビルトインされた戦後の社会構造を、

改めて見せつけられた思いがしたよ。

この震災は日本人の心性の化けの皮こそ剥いだんだ。

(「週刊ポスト」7・1号「津波とオカマと東電OL」佐野眞一)





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最終更新日  2011年06月22日 17時02分00秒
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