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風狂夜話2

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2011年07月01日
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カテゴリ:ニュース
原発事故の当事者である「電力総連」から、なぜか、この事故についてのはっきりし

たメッセージは出ない。

その疑問に答えるように、木下武男は原発事故の原因の一つが労働組合だと書いた。

(「東電の暴走と企業主義的統合」posse11号)

「労使癒着」によって「チェック機能の完全喪失」が生じたのである。

木下は、戦後の労働運動の歴史を振り返る。1950年代に起きた民間大企業の争議

で、産業別労働組合を中心にした労働運動側は敗れた。その結果、「労働者は企業ご

との横に分断され、つぎは、この閉ざされた空間のなかに、縦へ上昇する『競争』シス

テムが組み込まれることになった」。

「労働者」は「カイシャイン」になったのである。この「企業主義的統合」は、やがて

新しい「格差」を生む。

正社員は中間層として、下請け労働者を管理する存在となる。木下は、東電のある社

員の「ラドウェイ作業(廃棄物処理)は、被ばく量が多いので請負化してほしい」とい

うことばに、「企業的統合」の行きつく先を見ている。

その請負労働(被曝労働)の中身を見つめたのが今野晴貴だ。

「現代労働問題の縮図としての原発」というタイトルに、論考の意味は圧縮されている。

原発は、様々な「被曝労働」を必要としている。その中でもっとも危険なものの一つは、

定期点検中の清掃作業で、それを担当する下請け作業員は「農村や都市スラムから動員

される」のだ。そして彼らの姿は、「電力の消費地帯としての東京」からは見えないの

である。

木下や今野が、原発と労働の関係に焦点を当てたとするなら、開沼博は原発と地域社会

の関係に注目する。

なぜ、原発は「福島」にあるのか。その謎を徹底的に追及したのが、『「フクシマ」論

原子力ムラはなぜ生まれたのか』だ。

……著者がいう「原子力ムラ」は、いわゆる、中央の、原子力を囲む閉鎖的な官・産・

学問の共同体ではない。福島のような、原発と共に生きることを選んだ地方の「ムラ」

のことだ。

「成長は中央にとってのものであり、ムラにとってのものではなかった」。その中で

「原発誘致」が始まる。「福島第一原発建設計画は『東北のチベット』と自称しながら

困窮に悶えるムラの発展をかなえる『夢』」として提示された。

確かに原発は一時の繁栄を「ムラ」に与えた。だが、結局は、「ムラ」を「原発依存症」

にしただけではなかったか。

気づいた時には、もう他の選択肢はなかった。ぼくたちに、そんな「原子力ムラ」の

ほんとうの姿は見えなかったのだ。

(朝日新聞「論壇時評 原発と社会構造」高橋源一郎)








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最終更新日  2011年07月01日 19時38分58秒
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