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カテゴリ:地域人権シンポジウム
緊急開催-地域シンポジウム開催 「部落差別解消法案」の法律としての幼稚さと、部落問題解決に無用であることが鮮明に! 8月7日、兵庫勤労市民センターにおきまして地域人権シンポジウムが緊急開催されました。 シンポジウムでは先の参議院選挙の目前に自民・公明・民進が提出し、「差別を永続化させかねない」と多くの批判が噴出し、継続審議となった『部落差別解消法』をテーマに開催され、70名を超える参加者が集まりました。 シンポジウムは横山和夫神戸人権交流協議会事務局次長が司会を行い、はじめに鳥飼慶陽代表幹事が主催者挨拶を行いました。 挨拶をする鳥飼代表幹事 「部落差別解消法」は時代錯誤 鳥飼氏は「本日は緊急開催ということでいつもよりも手狭な会場になってしまい申し訳ありません」と前置きし、「今回取り上げます『部落差別解消法法案』につきましては神戸に住んでいる私たちにとってはたいへん時代錯誤な法案だと思います。本日の講師をしていただく藤原先生はこういった問題に長年取組んでこられた方です。限られた時間ですがこの機会を活かしてこの法律の問題点を考えていきましょう」と挨拶されました。 続いて基調講演が行われ、「あるべき人権救済のシステムから『部落差別解消法案』の問題点を考える」と題し、日本弁護士連合会(日弁連)の藤原精吾弁護士が講演を行いました。 藤原氏ははじめに「私は国内人権機関実現委員をしているがこの部落差別解消法についてはまだ日弁連でも見解が出ていません。あくまで個人的な意見と考え」と前置きし、この部落差別解消法が部落差別の解消のために国民の理解を深めるため国が施策を講じ 相談体制、教育と啓発、「調査」を行うとしている事を説明しました。 藤原弁護士の講演 法律としては極めて不十分なもの つづいて藤原氏はこの法律を理解するためにヘイトスピーチ規正法について触れ、「本邦外出身者を地域社会から不当に排除しようとする差別的言動をやめさせ、教育と啓発でこれを解消するために、その対象を明確にしている。しかし部落差別解消法はヘイトスピーチ法に対して対象者の規定がなく、相談体制についても『部落差別の解消に関する相談』と規定してあるが具体的に何が解消なのかが書かれていない」と指摘。また、「実態調査」に関わる条項についても、「人口移動が激しく対象者が限定できない、部落差別について定義は無い、これまでも部落差別という言葉が使われた法律は無い」と指摘しました 藤原氏は「部落差別問題は今、最終段階にきている。若い人で自分の親が同和地区出身であることなど知らない人がほとんというのが現状で、ほとんど解消できるまで後一歩のところまで来ている。 この部落差別解消法のような法律で残りの問題が解決できるとはいえない。『解放同盟』はこの法律を利用して行政に施策や事業をさせ、それを自分達が請け負い、同和対策事業を存続させようという狙いがあるのではないか」と指摘しました。 特に実態調査については「誰を調べるのかどこを調べるのか何を調べるのか、ハッキリした答えはない」と話されました。 つづいて森元憲昭神戸人権交流協議会代表幹事が「部落差別問題解決の到達点と『部落差別解消法案』」と題して報告を行いました。 ネットの差別的表現は「解放同盟」には「美味しい話」 部落差別問題は最終的に解決したわけではないが社会的に受け入れられない段階まで来ている。 この「部落差別解消法案」の中で情報化の進展に伴って差別の状況が変化しているといっているが、インターネットを見てみると「解放同盟」への不平不満に対するものが大半で、その中に、「差別的隠語」が飛び交っている。冷静に中身を分析すると差別発言の「ソース」は「解放同盟」の不正・不法行為であり、「解放同盟」が謝罪し、同和対策が完全に無くなればほとんど無くなる。また、逆に「解放同盟」自身が発信しているものもある。 いずれにしろインターネット上の差別的表現は「解放同盟」にとっては逆説的には「美味しい話」で、これを口実に同和対策を要求できる。 つづいて「『障害者差別解消法』の問題点と人権救済」と題して兵庫障害者連絡協議会事務局長の井上義治氏が報告を行いました。 報告をする森元代表幹事 相模原障害者殺傷事件の背景を考えよう 井上氏ははじめに障害者は15人に一人おられるという時代になった。障害者問題は少数派ではなく身近な問題となっているということを前置きし、「障害者差別解消法」の中身について説明した。 26の本則と条文を附則し、➀障害を理由に差別的扱いや管理侵害をしてはいけない。➁社会障壁を取り除くための合理的な配慮を。➂国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広める取組みをすすめるということを明記している。障害がある人が暮らしやすい社会は他の人も暮らしやすい社会であると考え運動を広げてきたことを話されました。 また障害者差別解消法の問題点として➀具体的に差別とは何なのかということを明記はしていない。➁合理的配慮義務が行政機関のみで事業者が対象になっていない。 ➂自公民の三党合意の下紛争解決機関をつくらないという対応が問題であると指摘しました。 最後に井上氏は相模原の障害者殺傷事件について触れ、「人を殺すということは当然許すことはできない。犯人が言った障害者を殺すのは世の中のためという思想が本当に一部の特殊な人間のものだけなのだろうか?、このような行為・思想を生み出した背景を考える必要がある」と結んだ。 井上事務局長の報告 人権救済機関が必要になっている この後、質疑を踏まえて藤原先生が「部落差別解消法案は問題点があるが、差別・人権侵害がなくなっていないことも事実。差別・人権侵害から被害者を救済する中立した人権救済機関が必要」と、シンポのまとめを行いました。
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最終更新日
2016年08月30日 13時36分10秒
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