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カテゴリ:ちくわ部 (だらだらいくよ~w (完)
体験入部最終日の昼放課、僕と大貴と八重は中庭で昼食を取ってたんだけどその時、大貴がちょっと小耳にはさんだんだけどよ、と話を振ってくる。
「何か、薫が第三希望に書いたちくわ部って部の事なんだけど、昨日・一昨日と先に体験入部に行った奴から聞いた話なんだが、そうとうヤバい部活らしいぜ?」 「ヤバいって何がどう怪しいの?」 「部室の入口に何か色々と変なもんが置いてあるらしいんだ、それに入口を開けると、そこには黒魔術宜しく的な格好をした部員達がいたとか・・」 「黒魔術・・・・」 「ど、どんな活動何だろう」 「流石にそいつは、その雰囲気に耐えられなくて、中に入らずにそのまま逃げ帰ったらしいんだけどよ、他に数人いた奴らも同じように帰ったって聞くぜ」 「何かもう、話を聞くだけでも怪しさ爆発って感じだね」 「う、うん・・でも毎日そんな事やってるわけじゃないだろうしさ」 「なぁ薫、考え直すなら今だぞ?とりあえず今日の体験入部はやめとけ」 「う~ん、でももう用紙も出しちゃったしなぁ。行くだけ行ってみるよ」 「そうか、まぁ呪い殺されないようにな」 「危ないと思ったらすぐに逃げるんだよ、薫?」 僕を心配そうに覗きこむ二人。う、う~ん・・これはひょっとすると選択する部活間違えたかも?そんな考えが僕の中に浮かぶ。 授業も終わって放課後、僕は昼放課の時に聞いた大貴の言葉を思い出しちょっと震えながら教室棟4階の隅っこにあるちくわ部の部室に来ていた。 その部室の入口には、季節外れの門松やクリスマスツリーが置いてあり、周りはクリスマスイルミネーションが飾られ、キラキラとそれらがきらめいている。 「こ・・これは・・・・」 僕の他にも数人、体験入部に来てた生徒がいたけど、彼らもその様子を見て言葉を失う。 ま、まぁ・・これくらいは昼の時に大貴から聞いてたし予想の範囲内だ。 ゴクリ・・・・。 僕が唾を飲み込んで部室の戸を開けるとそこは、真っ黒のカーテンが敷かれ昼間だというのに暗い教室内、そして部室の中央部分にはペンキで書かれたのか?白い魔方陣とその周りを囲むように何かの儀式でも行うのか?黒いスモックを着て、頭をすっぽりと隠すくらい大きな頭巾のようなものを被った5人の生徒。 こ・・これは予想以上に怪しい雰囲気だ・・・・。 こ、ここってちくわ部の部室だよな?僕はもう一度、廊下にある表札を見てみる。 僕含め、その場にいた1年生全員は息をのみその怪しい光景を見守る。 そして、僕以外の生徒たちは「あ、急用思い出した!」とか「これはねぇよ」と口々に言いながら、部室から離れていく。 最後に残った僕も帰ろうかとも思ったけど、何故か帰る気になれず、とりあえず声をかけてみる事にした。 「すいません、体験入部に来た1年7組の磯菊薫と言いますけど」 僕が声をかけると、部室にいた5人が一斉にこっちに振り向いてくる。 思わず僕はドキッとして後ずさるが、ここで逃げたらダメだ。 すると、一人の生徒が僕の方に近寄ってくる。 「待ってたわよ、ささ入って入って!皆もそれ片づけて」 彼女(?)がそう言うと、中にいた部員達は魔方陣を消したりカーテンを開けて怪しいモノを片づけていく。 部室の中央に机が6つ並べられ、部員の皆が黒いスモックと頭をすっぽりと隠してた帽子のようなものをとって、そこに座る。 部員の皆が席に着いたのを確認すると、彼女(?)は怪しい服を脱ぎ、その姿をあらわにする。 そこには、僕が部活紹介の時に見た、紫色のセミショート、目が大きく開いていて、とても活発そうな女生徒の姿があった。 彼女に勧められて、僕は部室の中央にある席に着く。 「ようこそ、ちくわ部へ!」 「ど、どうも・・そういえばここってどんな活動をしてるんですか?もしかして、さっきみたいな事を毎日?」 「……普段はただだべったりしてるだけ……」 僕の問いにそう答えたのは、薄いクリーム色をしたロングヘアで、半開きで眠たそうな目をしてる小柄な女生徒。その手には何故か一昔前に流行った蛙のパペットを持ってる。 「今は体験入部でしょ、だから人が沢山来るようにって、紫さん、あ!彼女の事ね。が祈祷をするって言って、やってたの」 小柄な女生徒の次に、瓶底メガネをかけた、ポニーテールの胸の大きな女生徒が、紫色のショートカットの女生徒を指差し答える。 「ったくよぉ、何でもかんでも思いつきで行動しねぇで貰いてぇぜ。やる方の身にもなれってんだよな」 そう言ったのは、少し長めの金髪の男子生徒、見るからに不良っぽい人だなぁ。 「あら、萩矢(しゅうや)そんな事言っていいのかしら?私に逆らうっていうの?」 「いや、何でもねぇ」 紫さんと言われた女生徒に睨まれると、そう答え目をそらす萩矢と呼ばれた男子生徒。 「まぁまぁ、せっかくこうして新入生が来て下さったんですし~、お茶の一つでもどうですか~?」 そう言ってから、席を立ってお茶の準備を始める、茶色のセミロングでとても気品があふれてて、どこかのお嬢様かな?と思える女生徒。 「安心して、えっと・・確か磯菊薫君って言ったっけ?普段はこうして、お茶飲みながら、おしゃべりしたり、ちょっと面白い事をやってるだけの部活だから」 「……あれがちょっとだとしたらほとんどの出来事がちょっとした事になる……」 「しっかし、薫君可愛いねぇ♪もう、お姉さんお持ち帰りしちゃいたいよ」 ハァハァと息を荒げて、僕の方をじっと見つめてくる瓶底メガネをかけた女生徒・・。 この外見上、可愛いって言われるのはよくあることだし、そこは気にしてないけど・・そう息を荒げて見られると、ちょっと警戒してしまう。 「何やってんのよ、由実!ほら、新入生君が警戒しちゃってるじゃない」 紫さんと言われた女生徒が由実と呼ばれた、瓶底メガネの女生徒の脳天にチョップを加え、「えへへ」と笑いながら、頭をさする由実と言われた女生徒。 「こうやって、喋ってる事の方が多いですけど~、それでもほとんど皆が毎日集まるんですから~、居心地の良い部活だとは思いますよ~」 「まぁ、ダラダラしてるだけだしな。その点は他の部活と比べると楽っちゃ楽か」 「何というか、皆さん個性的・・ですよね」 「そうかしら?まぁ、その中でも私が一番まとも何だけどね」 「……紫が一番変だと思う……」 「ちょっと!?咲!私のどこが変だっていうのよ!」 「……どこからどうみても全部が変……」 「丁香花(はしどい)さんは~、先生たちからもマークされてますからね~」 「へへっ、俺以上にセンコーにマークされてっからな」 「うんうん、紫さんって学校内じゃ誰も知らない人がいない位、有名だからねぇ・・悪い意味で」 「ちょっと皆して何言ってんのよ!べ、別に気にしないでね?」 「へ~、紫先輩ってそんなに凄い方だったんですか」 とりあえず、無難な事を答えておくのが一番だ。体験入部とはいえ、最初っから変な事言って、関係壊すのもあれだし。 「それにしてもあんた、あれを見ても逃げ出さずにこうして中に入ってくるんだから、凄い度胸よね」 紫先輩は僕を値踏みするかのようにジロジロと見つめてくる。何かそうやって見られるとちょっと照れるな。 「あ~、もう!可愛いぃぃぃいいいいいい!薫君、今晩私の家に・・」 由実先輩が言葉を言い終える前に、紫先輩のチョップが脳天に直撃する。 「……由実は腐ってる・・薫も気をつけた方がいい……」 「ははっ、肝に銘じておきます」 「よし!決めたわ!あんた、この部活に入りなさい!部長命令よ!」 いきなり席を立って僕の方をビシッ!と指差してくる紫先輩。 「あ~、紫に気に入られちまったか・・おめぇも可哀想だな、南無南無・・」 「丁香花(はしどい)さんは~、一度決めると絶対にやるお方ですから~、どんな手を使ってでも~、磯菊君をここへ入部させるようにすると思いますよ~」 「……薫はここに入部する、それは紫の中では決定事項……」 「あ~、こんな可愛い子と毎日一緒とか、考えただけでよだれが・・じゅるり」 「ま、まぁ・・まだ体験入部ですし、ここへ入るかどうかは考えさせてもらえますか?」 「ふ~ん、あんた他に入りたい部でもあるの?そういえば、今日って最終日だし」 「あ、はい!実はサッカー部に入ろうかと思ってまして」 僕がそう答えると、先輩達は皆、険しい表情をする。 「サッカー部か・・あそこはやめといた方がいいぞ、正直あそこに入るくらいならここにいた方が絶対マシだ」 「磯菊君が~、どうしても行きたいと言うのでしたら~、わたくしは止めませんけど~、あそこはやめた方がいいですよ~」 「へっ?サッカー部って何かあるんですか?」 「う~ん・・私の口からは言えないわねぇ・・。でもあそこはやめた方がいいわ、丁度来週1週間は仮登録だし、様子を見てみたらわかるわよ」 「そ、そうですか・・何があるんだろ」 「この話はこれくらいにして、ほらほら!薫君、お茶冷めちゃうよ。飲んで飲んで」 下校の時間まで、こうして喋ってたんだけど、最初見た印象とは違って、凄く皆仲良さそうだし、楽しそうな雰囲気は伝わってきたんだけど、やっぱり僕はサッカー部がいいかな?とりあえず、よくしてくれた先輩方には申し訳ないけど、サッカー部に登録しようと思うのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年06月12日 00時46分51秒
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