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ウリエルさんの所を出た私達はレテ大陸へ向かう為の船を手に入れる為、ウリエルさんに言われた通り、西の海岸沿いを南に向かって歩いていた。
日がかんかんに照りつけてて暑いんだけど、それでも私は今まで旅をして初めての海岸沿いということで、テンションも上がりそれも苦にはならないよ。 「う~ん、潮風が気持ちいぃ♪天気も良いし海に入りたいなぁ」 そう言い、ポニーテールを右手でかき上げながら後ろを振り向くと、そこには茶色のショートカット、前髪を右目を隠すように垂れ下げてる凛々しいという言葉が良く似合う、額に大粒の汗を浮かべたミハイルと「あっちぃ~」って言いながら手をパタパタとさせてる赤い短髪、全身を覆うよう鱗が特徴的のクレッシルの姿。 「そうですね、これだけ暑い……ではなくて、天気が良いと少し中に入りたい気分になってきますね」 「海に入るって言ってもよ、水着持ってねぇからなぁ・・これならオファニム城下町で買ってくるべきだったな」 そんな私達の更に後ろを腰まで伸びた美しい黒髪、胸元を大きく開け、大きなスリットの入ったかなり大胆な衣装を身にまとったアセトが前傾姿勢になりながら、ひぃひぃ悲鳴を上げながら歩く。 あ、あはは・・本当、アセトって体力ないよねぇ…… 「あ、貴女達・・本当元気ですわね……わたくしはこの歩きにくい砂浜と照りつけるような日差しで体力がガシガシと削られていると言いますのに……」 「確かに歩きにくいけどさ、今までずっと平野ばっかり歩いてたから、こういった所歩くのってすっごい新鮮だよねぇ♪」 「それにしても本当暑いですね・・この暑さ何とかならないんですか?」 「なぁミハイル、暑いってんなら、そのチェインメイル脱いだらどうだ?」 「あ~、うん。それは私も思うよ・・何かミハイルの格好ってさ、凄く暑そうだよねぇ、見てるこっちまで暑くなってくるよ……」 ミハイルは額に浮かぶ大粒の汗をぬぐいながら 「そうしたいのは山々なんですけど、あいにくこの下は下着だけなので、脱ぎたくても脱げないんですよ」 「どうせここには、わたくし達だけしかおりませんし、そんな事気になさらなくてもよろしいのに」 この暑さで相当参ってるのかな?凄く気だるそうにそう呟くアセトに対して、ミハイルは冷ややかな目を向けたよ・・ 「今は私達しかいなくても、いつここに他の人が来るかわかりませんし、たとえそうでなくても、そんな格好で外を歩けるはずがありません。アセトやクレッシルじゃあるまいし……」 ミハイルの言葉がショックだったのか、肩をがっくりと落としうな垂れたクレッシルがそれに答える。 「何で私まで入ってんだよ、ミハイル……私も、んなこたしねぇって、アセトみたいな変態じゃねぇのによ」 「な、何ですの二人して!?わたくしを露出狂の変質者みたいな扱いをして・・流石のわたくしも流石にそんな事はいたしませんわよ!?」 ぷりぷりと怒るアセトの方に視線を向けてみたんだけど、アセトの格好ってさ、確かにちょっと刺激的なんだよねぇ・・胸元が大きく開いてるし、スリットも深いし、っていうかさ、スリット部分からそのスラッとした綺麗な脚が見えるけど、パンツ穿いてるの?って思えるんだよねぇ…… 足を止めてアセトを見てたら、ミハイルとクレッシルも同じように足を止めてアセトの方へと目を向ける。 その様子にアセトは?マークを頭一杯に浮かべたような顔でこっちを見てきたよ。 「な、何ですの?皆してわたくしを見てきて」 「あ~、うん。なんかさ、アセトの服装って露出多いし、すっごい刺激的だよねぇ、って思ったの。目のやり場に困るっていうかさ、まぁ私は慣れちゃったけどね」 私の言葉にミハイルとクレッシルは、うんうんと頷いて賛同してくれたよ。 「初めてみた時はよ、私ですら思わずどこ見ればいいか迷っちまったくらいだしな、確かにそうだよなぁ・・そういう服ってよっぽど自分の体に自信がねぇと着れねぇぜ?」 「おほほ、確かにわたくしは自分のこのナーイスなバディに絶対の自信を持っておりますわよ♪それに、町中で殿方の視線もかなり注がれますし、でもそれってわたくしが良い女だっていう証拠じゃありませんこと?」 右手を口元に持ってきて、おほほと高笑うアセト、あ・・ちょっと調子乗って来た?だけど、そんなアセトに対してミハイルが呆れた、とでも言いたげな視線を投げかけたよ。 「いえ、ただたんにそんなに露出の多い服で歩いてる人が珍しいから見られてるだけでは?」 「アセトよ、そんなに自信があるってんなら私が調べてやろうか?」 両手をワキワキと妖しく動かしながらズズイッとアセトの方に近づいてくクレッシル、そしてそんなクレッシルに身の危険を感じたのか、アセトは「結構ですわ!!」って言いながらその場から走りだしたよ・・ 「こら、待てアセト!ちょっとくれぇ別にいいじゃねぇか」 「クレッシルの事ですから、ちょっとで済むはずがありませんわぁあああ」 逃げるアセトを全力で追いかけるクレッシル、でもでも、流石に基礎体力が違うわけで、すぐにアセトはクレッシルに追いつかれそうになってたよ。 「はぁ・・何だかんだ言っても、まだあんな元気あったんだね・・アセト」 「ほら、二人ともそんなに走ると危ないですよ。ただでさえ足を取られやすいんですから」 そんな二人を見ながらミハイルははしゃぐ子供をたしなめるように言ったんだけど、時すでに遅かったわけで・・・・ 「わぷっ!!」 「っとと、あっぶねぇな」 アセトは盛大に前にバタン!ってこけたよ・・・・そして、その拍子にスリット部分が大きくめくれたわけで・・ 「あ、黒。やっぱりアセトってあぁいう所も大人だねぇ・・ってそうじゃないよぉ!!」 「はぁ・・だから言ったじゃないですか……」 倒れたアセトをクレッシルはジャンプして避けてからアセトの前で着地すると手を差し伸べる。 「ほら、立てよ」 「あいたたたたた・・わたくしとしたことが、とんだ恥ずかしい部分を見られてしまいましたわ・・」 差しのべられた手を取り立ち上がって、砂を払ってから辺りをキョロキョロと見まわし始めたアセト。 「ねぇ、どうしたの?アセト」 「いえ、今何かにつまづいたような気がしたんですのよ」 「自分がこけたのを何かにつまづいたせいにすんのか?」 「アセト、正直に自分は歳だから足がもつれましたと白状して下さい」 アセトの言葉にミハイルとクレッシルが(エ エ)←こんな感じに本当にぃ?って疑いの眼差しを向けるも、必死になってそうじゃないって弁解を始めたアセト・・本当、おとなげないっていうか、何ていうか・・・・ 「本当ですのよ!!本当に何かにつまづいたんですのよ!?わたくし、嘘をついた事がありまして!?」 「う、う~ん・・確かにアセトの行動ってちょっとアレだけど、嘘を付いた事はなかったよねぇ・・」 「そうでしょう!そうでしょう!セラ!!やっぱりセラは分かってますわね!」 私の賛同を得られた事がよっぽど嬉しかったのか、アセトは凄く嬉しそうにしてたよ。 私もアセトと一緒になって近くをキョロキョロと見てたんだけど、少し離れた場所の砂の下からサンドワームが飛び出してきたよ・・頭には特大のこぶを作って…… それを見付けると、鬼の首でも取ったかのように凄い剣幕でアセトがその特大のこぶを作ったサンドワームを指差す。 「ほら、あれですわよ!!わたくしがつまづいたモノの正体ですわ!」 サンドワームは何やらご機嫌斜めなようだよ・・って、そりゃそうか・・地面の下にいたら急に頭蹴られたんだからさ…… サンドワームは身を大きく揺らしながら「キシャー!」って叫ぶと、アセトに向かって襲いかかってきたのだった。 第23話 セラと愉快な仲間達(?) その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月31日 00時08分56秒
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