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カテゴリ:ベリルのドタバタ冒険記~五宝石編~(完)
「なぁジル・・・お前の言ってたのって、本当にココなのか?」
「もしかしてココで飲んでる奴らに何か依頼ないかって聞くってわけなの?」 「ううん、違うよ。ま、黙ってついてきてよ♪」 俺たちの前を楽しそうに歩き酒場の中に入っていくジルの後を半信半疑についていく俺とエリー。 そしてジルがカウンターに腰掛けるとマスターがにこやかに声をかけてきた。 「いらっしぃませ、何にいたしますか」 にこやかに声をかけてきたマスターにジルは表情をキリッと引き締め、そして軽く右手を挙げながら「プリュンダラー」そう答えたんだ。 ジルの発言を聞いた瞬間マスターは顔色を変えて俺たちの方を見てきたよ。 「かしこまりました、どうぞこちらへ」 マスターがバーカウンターの隅に置いてある大きな樽を横にずらすと、その下には地下へと続く階段が見えた。 うへぇ・・・酒場にこんなのがあったのかよ…… 「さ、ベリル・エリー。降りるよ」 階段から下に降りるとそこは薄暗い1つの大きな部屋だった。 その部屋の中には身長が2mはあるんじゃねぇか?って思えるくらい大きく、そして筋骨隆々の強面が数人、俺達と同じ旅人っぽい奴が3人。そして奥の机に腰掛ける怪しさが炸裂しまくってるおっさん。 「何ここ・・・こんな場所あったなんて初めて知ったわ」 「あ、あぁ・・・なぁジル。ここって何なんだ?」 「ふふ、ここは俗に言う裏ギルドって場所だよ。さっき行ったギルドだと扱えない依頼が沢山くるんだよ。それこそ要人暗殺とか、ね」 「裏ギルドか・・・噂には聞いたことあったが、まさか実在してたとはな」 「何?ジルはあたし達に犯罪の片棒を担げって言いたいの?」 「ううん、確かにここにある依頼はそういったのが大半だけど、中には表のギルドじゃ扱えないくらい凄く強く凶悪な魔族や犯罪者の討伐依頼っていうのも混ざってるんだよ。今日はそれをチェックしてみようかな?って」 「いらっしゃい、ここに来たってことは、それなりの覚悟があるんだよな。それで、どんな依頼を希望なんだ」 奥の机に腰掛けるおっさんが眼光鋭く俺たちの方を見てきたんだが・・・・うわ、コイツぜってぇ人殺してるって…… 「うん、特に依頼の指定っていうのはないかな。とりあえず今あるの見せてもらってもいいかな」 おっさんから今ある依頼をまとめた紙を受け取りチェックしてみたんだが、うわ・・・何だコレ。 さっき見てきた冒険者ギルドと比べ物にならないくらい高報酬だぞ・・・ 「うわ、すげぇ。これ10万Gだぞ」 「何コレ・・・メノウ王の暗殺依頼ってのが混ざってるわよ」 「ん~・・・魔族討伐依頼っていのは少ないんだねぇ」 「嬢ちゃん達は魔族の討伐依頼が希望なのか。だが最近は光の勇者の生まれ変わりだとか言われてるデビスって奴の一行が倒してるからな。あんまそれ系の依頼がこっちまで回ってこないんだ」 「ふ~ん‥‥なるほどねぇ、何か他にないかなぁ」 パラパラと依頼書をめくって他の依頼を探してみてたんだが、その時1つの依頼書が目に止まった。 「ん、なぁジル・エリー。これってよ」 「何?ベリルどうしたのよ?・・・って、これは……」 「ほええ、クリソプレズ奪還かぁ」 うん、さっき冒険者ギルドで護衛依頼があるのは見たが、それは1ヶ月5000G。まぁ、それでも十分高い報酬なんだが、なんとこっちの奪還依頼は成功報酬2万G! 「それはうちでも珍しくまっとうな依頼だ。元々そのクリソプレズという宝石はカルセド城にあったモノだそうなんだが、それをこの町1番の有力者にして血も涙もない極悪人として有名なアマンダラが盗み出したそうなんだ」 「あ~・・・・アマンダラかぁ。確かに彼は良い噂は聞かないねぇ‥‥人身売買に殺人、後は他にも色々と悪行をやってるとか」 「ふむ‥‥悪の手から宝石を奪還か・・他の依頼と比べるとちと報酬額は少なめだが、それでも十分な金額か」 「でも不思議よね。何でこんな依頼がここにあるのかしら」 「カルセド城も大切な宝石が盗まれただなんて、公に出せないからな。それでこっちに依頼がきたってわけだ」 「なるほど、そういうことか。ま、だが出所がこうしてしっかりしてる依頼なら問題ねぇだろ。これに決めちまうか」 「そうだねぇ、そうしよっか」 裏ギルドでクリソプレズ奪還の依頼を受託した俺達は一旦上の酒場に戻った。 「一応依頼は受けたがどうすっかな」 「冒険者ギルドにも依頼があったくらいだし、アマンダラの屋敷にはかなりの傭兵がいると思うんだよねぇ。そう考えると正面突破みたいな正攻法でいくのは結構厳しいと思うよ」 「ん~・・・だとしたら夜中に忍び込むっていうのはどうかしら?」 「いや、流石に24時間体制で護衛してるだろうし、それもどうかと思う」 「ならどうすんのよ」 ん~・・・どうすっかなぁ……正面突破も夜中に忍び込むのもダメ、となると。内部から、か‥‥ 「あ!!いいの思いついた。ちょっと2人とも耳貸してくれ」 訝しげな表情を浮かべながらも俺の方へ耳を傾けたエリーと、何々?何て乗り気に俺の方へ耳を傾けたジルに俺はその妙案を耳打ちしたわけだが。 「なるほどねぇ」 「は~・・・あんたにそんな案が思いつくなんて思ってもなかったわ」 「まぁ、ちょっと日にちは使っちまうが、1週間くらいなら問題ねぇだろ」 「そうね、それくらいなら別に構わないわ」 「それじゃ、早速行ってみよ~♪」 第25話 路銀を稼ごう! その2.終わり 第26話 クリソプレズ奪還大作戦 その1.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年05月06日 00時35分03秒
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