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カテゴリ:カオコ短編小説 ふしぎなエルメスちゃん
「ん、んん~」
アキヴァシティの外れにある大きなお屋敷。そこの主はいつも通りの朝を迎えるはずだった…… 「ふわぁ‥‥もう朝なのね」 シンプルながらもとても鮮麗された部屋。調度品の1つ1つがとても高価なモノであることは、素人目から見ても簡単にわかるほど。 ベッドからのそりと身を這い出した主はその部屋の異様さに違和感を覚えた。 「あら?この部屋少し大きくな・・・るわけないわよね」 おかしいわね?いつもより部屋が大きく感じるし、天井も心なしか高く感じるわ。 まぁいいわ。まずは鏡で身支度を・・・・・・!? 鏡に映ってたのは、程よく絞り込まれたボディをした美しい赤色のロングヘアの少女だった。 「っえ?何よこれ」 目の前に映し出されたありえない現実に私ともあろうモノが言葉を失ったわ。 何で私の体が縮んでるの?いやいやいやいや、え? 「あぁ、でも。やっぱり小さくなっても私はさいっこうに美しいわ」 って、そんな自分の美しさに酔いしれてる場合じゃないわね。 ん、ん~・・・・とりあえず寝起きで頭回らないし、自分一人で考えても考えもまとまらないだろうからちょっと彼を呼ぼうかしら。 「ケリー、ケリー」 コンコンコン 「お呼びでしょうか。お嬢様」 少し大きめの声で呼ぶとすぐに白髪に白ヒゲを蓄えた私専属の執事であるケリーが部屋に入ってきた。入ってきたけど、ケリーは部屋の中にいた人物が自分の使えている主人とよく似た幼い少女であることに気づくと急いで部屋から出て戸を閉じたわ。 「・・・・・・・」 バタン! 「ちょ、ちょっとケリー!?」 「はて?お嬢様に呼ばれたような気はしますが、中にいらしたのは、これまた可愛らしいお嬢様で」 「私よ、私。正真正銘、貴方の主人のエルメスよ」 「お嬢様の幼少期に大変よくお姿は似ておられるようですが……」 そこでケリーはハッとした表情を浮かべ言葉を続けた。 「あぁ、エルメスお嬢様の隠し子ですな。なるほど、なるほど。それなら納得です」 「だ・か・ら!私は正真証明、本物のエルメスだと言っているでしょ!貴方一体私に何年仕えてるのよ」 「ふふ、ふふふ。ちゃんと存じ上げております。エルメスお嬢様。どうなされたので?そのような可愛らしいお姿になられ」 ったく、絶対ケリーはわかってて、わざとやってるわ。本当、良い趣味してるわ。まぁ、そうじゃなかったら、私の執事なんて何十年も続けられないかもしれないけど。 「それが私にもわからないのよ。朝起きたらこの姿になっていたの」 「お嬢様、失礼ながら昨晩の事をよく思い出されてみてはいかがでしょうか」 昨日・・・昨日の夜は何をやってたかしら。 「え~っと、ご飯を食べた後は、日課の地下のトレーニングルームで軽く汗を流して、シャワー浴びてから寝るまで寝室で魔導書を読んでたわね」 ・・・ふむ。腕を組んで何やら思案してるケリーだったけど、すぐにその仕草をやめて、ポンと手を打ってから私に確認するような口調で話しかけてきた。 「お嬢様は本を読まれる際、何かを口にしながら読まれる癖がおありですが、その時何か食べられませんでしたでしょうか?」 「その時?その時は・・・・」 昨夜は何をお供にしたかしら、確かえ~っと。 「あぁ、思い出したわ!確か青いキャンディよ」 「青いキャンディ、また随分と古いネタを‥‥これを読んでくださる読者諸兄には元ネタがわからないのではないかと」 「ん、何か言ったかしらケリー?」 「いえ、何でもございません」 「その青いキャンディはどこでご購入されたもので?」 「どこだったかしら、え~っと‥‥あれは・・」 どこだったかしら、あぁ、思い出したわ! 「アキヴァよ、アキヴァシティ。そこの路地裏で怪しい男から買ったわね、確か若返りの効果があるとk・・・・・」 「・・・・・・・・」 時が止まったわ。かんっぜんに 「確定ですな。お嬢様が今の状態になった原因はそれで確定ですな」 「そ、そうね・・・」 おかしいわね。確かあそこで購入した際は、若返るとだけしか聞いてなかったから、5・6歳くらいのモノだろうと思ってたけど、完全にピー年は若返ってるわ。 今の私の見た目はどこからどうみても6歳くらいの幼いょぅι゛ょ。きっと私の子供だと言っても皆普通に信じるくらい。 まぁ、実際問題そう言って信じられても凄く困るというか、複雑な気分になるわけだけど。 「でも困ったわね。これ効果どれくらい続くのかしら」 「その購入された時に説明は受けなかったのですか?お嬢様」 「どうだったかしら。受けたような受けてないような、覚えがないわね」 ┐(´д`)┌ヤレヤレ ←普通こんな仕草主人の前でする? 私が心の広いご主人様じゃなかったら速攻で首きってるわね。 「このような強い魔法効果のある代物です、安い買い物ではありませんでしたでしょう。全く・・・お嬢様はいつもそうです。何か珍しいものと見ると衝動買いを行い、そしてその目先の効果に目がくらみ聞かないといけない部分、その大事な部分を聞き落としてしまうことが本当多く、わたくしもその都度口をすっぱくして・・・・・・・・」 ぐちグチ愚痴gucci…… あぁ、あぁ・・また始まったわ。ケリーのお小言が。 「うるっさいわね。わかってるわよ。わかってる」 (´Д`)ハァ…本当にわかっておいでてるんでしょうか? ねぇ、この執事やっぱり首にしていいかしら? 「とにもかくにもそのままのお姿では色々と不便でございましょう。今一度その青いキャンディをご購入されたお人の下を訪ねてはいかがでしょうか」 「そうね、そうするわ。ねぇケリー、何か服ないかしら?流石にぶかぶかな服で外に出るわけにもいかないわ」 「少々お待ちくださいませ」 そう言って部屋を出ていったケリーが数分後その手に持ってやってきたのは・・・・・・・・ 「何よコレ・・・何なのよコレ‥‥」 「ぷ、っぷ、くくくくく。良くお似合いでございますよお嬢様。いや、本当にwそうですな、本当にお嬢様がまだ幼少期の頃を思い出すようでございます」 「だったら、まずそのかみ殺してる笑いをやめるところから始めましょうか、ケリー」(ニッコリ 「し、失礼いたしました。お嬢様」 ケリーが用意したのは、真っ白いフワフワワンピ。 「こんなのしかなかったの?パンツじゃないと違和感あるんだけど」 「申し訳ございません。今そのサイズで残ってるのはそちらの物しかございませんでしたので」 怪しいわね。本当にそうかしら?まぁいいわ。時間も惜しいし今日のところはコレで行こうかしら。 パシャパシャ。パシャパシャ。 (エ エ)・・・・・・ いや、もう突っ込むのも疲れるわ。 「それじゃ、ちょっとアキヴァに行ってくるわ」 「行ってらっしゃいませ、お嬢様」 【カオスコード】 ふしぎなエルメスちゃん プロローグ 【小説】 終わり お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月24日 23時09分32秒
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