信頼で結ばれた国
HOME > 今日のことば 7/20 Mon信頼で結ばれた国 苦境に対して、人は思いのほか強いものです。「これは大変だぞ」と構えができると、相当な困難にも耐え、自分でも気づかずにいた力がわいてきます。怖いのは、逆に事が順調にいっているときで、ついわがままを通したくなってしまう。その心の隙が怖いのです。将棋でも、攻めてくる飛車や角は備えさえ怠らなければ、それほど怖くないといいます。怖いのは、味方の駒がじゃまをして自分の駒が思うように動けなくなるときだというのです。インドのマガダ国の国王が隣のヴァッジ国という小国を征服しようとして、お釈迦さまのところに大臣を遣わしておうかがいを立てたとき、お釈迦さまが侍者の阿難尊者にヴァッジ国の政治のあり方や、婦女子や古老への対し方、先祖供養の仕方などをお尋ねになって、それを思いとどまらせられたことは、前にもお話ししました。そのときのお釈迦さまの教えは「ヴァッジ国の人たちが、なすべきことをなし、定められたことをしっかりと守っているならば、国は栄え、滅びることはないであろう」というお言葉でした。信頼で人びとの心がしっかりと結ばれた国や組織は、外からの力で揺らぐものではないのです。 庭野日敬著『開祖随感』より