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2005.06.16
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カテゴリ:風変わりなピアノ
プリペアドピアノは既製の楽器にさまざまな部品をとりつけるものであったが、19世紀のはじめ、初めから色々な打楽器が組み込まれたピアノが出回った。右の写真はその一つでJacob Bertscheが1810年に製作した打楽器つきピアノである。多くのペダルがついているが、それらを踏むとドラム、ベル、グロッケンなどが鳴る仕組みになっている。これらのピアノは18世紀末流行したトルコ風音楽を演奏するためのものであった。

17世紀からオスマン・トルコは大規模な軍楽隊を持ちはじめた。18世紀、オーストリアとトルコは幾度となく戦争となったがこの軍楽隊が戦いの時も演奏し、トルコの使節や大使もこの軍楽隊と共にやってきたので、ヨーロッパの人々はこの軍楽隊の音楽に恐れを感じ、そのリズムが嫌というほど耳についてしまった。そして18世紀末頃トルコとロシア帝国との和平条約締結以来、ヨーロッパ諸国で「トルコ風 (alla turca)」の音楽が大流行した。

この音楽はあくまでトルコ「風」であって、トルコのオリジナルものではなかった。 ヨーロッパ人が考えていた「トルコ風」とは、まずあのズンタッタッタという独特のリズム、短調と長調の交替、そしてシンバルやドラム、トライアングルなどの打楽器の使用であった。

18世紀終わりごろからピアノに本来の機能以外にいろいろな効果を加えようと試み出されていた。モーツァルトはKv331「トルコ行進曲つき」ピアノソナタを1780年から81年頃作曲しているが、当時のトルコかぶれの人々には本来のピアノの機能だけで演奏するのはもの足りなかったようである。そのような時代背景の中、ピアノでよりトルコらしい音楽を演奏しようと、このような打楽器つきピアノが登場しはじめた。

しかし、カール・ツェルニーがこのような傾向を批判し、「ダンパーペダルとウナコルダ(現在のピアノの左ペダル)以外不要」と発言したことと、このような文字通り「鳴り物入り」で始まった流行に人々が飽きはじめたことから、打楽器ピアノはしだいに姿を消していった。

(ハンブルク美術工芸博物館蔵)





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Last updated  2005.06.17 01:29:54
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