鳳凰小屋物語6・周辺の森に豊富なキノコ
鳳凰小屋周辺はキノコが豊富にあった。 訪れた季節は晩夏だったが、2,400mの高所は秋の気配が漂っていたのである。 小屋にいる間、ちょくちょく御座石コースを散歩したが、キノコを見つけるのが楽しかったからでもある。 あまり群生はしておらず、道端でちょぼちょぼ見つかる程度だったが、種類は非常に多い。 大抵は知らないキノコばかりだ。 私は普段、里山のような低地でばかりで採っているので、高山帯のキノコには縁がないからであろう。 しかし、私がしっかり判別できるものが何種か見つかった。 その中の一つにベニテングタケがあった。(写真1枚目) 大きなカサで派手な色彩だから、暗いコメツガ林の中では非常に目立つ存在だった。 最初見つけたときはカメラを持っていなかったので、次の散歩時にカメラを持参して撮った。 翌日、また会おうと出かけたら、そのキノコは地上から消えていた。 誰かが採ったのだろうか。 食べたら大変だと、私は不安になった。 ベニテングタケは毒キノコとして名高い。 キノコ図鑑によると、食後30分もしないうちにうとうとした後、酒に酔った状態になる。 そして筋肉が著しく痙攣して精神錯乱や幻覚症状を引き起こし、その興奮状態は4時間以上も続いた後、深い眠りに陥るという。 鳳凰小屋でその話題は出なかったから、食することなく捨てられたかも知れない。 地蔵岳の鞍部で、食べられるキノコを見つけた。(写真2枚目) ハナイグチである。 通常カラマツ林下に生え、しばしば大量に採取できる美味しいキノコだ。 私に地方ではラクヨウと呼ぶ。 わが家では採ってきたら塩蔵し、冬、納豆汁の具にして食する。 食感が良くておいしく、何度もおかわりしたくなる。 生えていた場所が、2,700mの高所のハイマツ林下だったので、もしかしたら別種かも知れないが、イグチの仲間は大抵食べられる。 そう思っていたのだが、家に帰ってキノコ図鑑を詳しく調べたら、イグチの仲間にドクヤマドリタケという、その名の通りの毒キノコがあった。 亜高山帯の針葉樹林内に発生するという。 発生条件がぴったりなので、これは若しかしたらドクヤマドリタケか。 そういえば、カサの形状や色がそっくりなハナイグチもある。 危ない。危ない。 採らないで良かったとは、後に思ったことである。 鳳凰小屋ではスタッフが採ってきてキノコをよく食べるらしい。 鳳凰小屋ブログ・きのこの項がある。 なんと、マツタケを採って味わった記事も載っている。 小屋の親父さんがキノコ通というから、安心だ。 男性スタッフが「食べられるキノコがあったら採ってきていいよ。食べさせてあげる。」と私に言った言葉に半信半疑だったが、嘘ではなかったようだ。 散歩時、ムラサキシメジを見つけた。 特徴のある紫色なのでまず大丈夫と思い、一個だけ採って、小屋へ戻った。 しかしその時、小屋は夕食の準備で慌ただしかったので、スタッフに気遣い、私はそのキノコは藪に捨ててしまった。 再訪したら、ぜひキノコも味わってみたいと思う。壁紙をDLする カレンダー入りの壁紙をDLする壁紙をDLする カレンダー入りの壁紙をDLする