米サブプライムローン問題の損失を拡大させる理由のひとつ
米国は会計上、「レベル3」と呼ばれるリスク資産の公表が義務づけています。これは米国で2007年11月に会計基準SFAS157号が新しく導入された事によるものです。米国では、同会計基準により資産を3分類化しています。レベル1:上場株や債券など取引が市場で活発で価格や時価が容易に分かる資産レベル2:取引はさほど活発ではないが金利収入で価格や時価が比較的分かりやすい資産レベル3:証券化商品など、市場での取引が少なく価格や時価の算定が困難な資産そして、サブプライム問題などで金融機関の評価損失が膨らむ原因になっているのが「レベル3」の枠組みです。レベル3の資産であっても公正価格を算出し評価損失を計上しなければいけなくなり、これによりサブプライムローンを担保にした取引のない証券化商品でも価値の評価をしなければいけなくなっています。今までの会計基準は国が別々に定めていましたが、現在お金の動きはグローバル化しているため会計基準はEUの国際会計基準に集約する流れになっています。米国も同じでないにしろ去年11月の新基準導入で国際基準と同等の評価を得ています。そして日本は、2011年までに国際会計基準にあてはめようとしています。ところが、欧米とのルールの差違が多くあり、また、日本独自の基準にこだわっている部分も多く、足踏みしているのが現状のようです。しかし、日本もグローバル化の中では国際基準と同等の導入は避けられません。なぜ日本はサブプライムローン問題で大きな損失が出ないのか? そういった部分も含んでいるのかも知れません。逆に言えば、その時期になって巨額の損失計上を差し迫られて慌てふためく日本の金融機関があるのかも知れませんよ。とくに○○○さん?おまけ・・・同上グラフで注目する点は、青い折れ線はレベル3資産が株主資本の何倍あるのか? を計算した倍率です。これは、資産規模が各金融機関の株主資本と比べて比率が高いほど大きな損失が予想されます。また、棒グラフ内の数字は、本業の儲けに対する倍率です。今年3月に事実上破綻したベア・スターンズは両比率とも際だっている事が分かります。そして、2008年3~5月時点で、ほとんどの金融機関などのレベル3資産は約20%以上増え比率も金融機関によっては差が大きく広がっています。このレベル3には、レバレッジローンなども多く含まれ、特にその割合が大きいところは更に巨額損失を抱える可能性があります。今回、資料基の2007年末時点から2008年3~5月時点での推移を付け加えようと思ったのですが、思った以上に比率の高くなっている金融機関があり、あえて割愛させて頂きました。その点はご了承下さい。長々と読んで頂きありがとうございました。