格差社会「 中小企業の現状 その二 」
まず、下記グラフを見て下さい。国内銀行の貸出先別(平成18年8月~平成20年6月)の推移 を見ると平成19年9月を境に、大企業向けの貸出が増加し、一方、中小企業向けの貸出は減少幅を拡大しています。しかし、「金融機関からの借入金(対負債比率)」の推移 を見ると、大企業は大きく下がっているのに対し、中小企業は金融機関への依存度は、平成7年から下がっているものの昭和60年頃とさほど変わらず高いままです。同上2つのグラフ補足・・・大企業内部留保といった企業内部だけの利益(設備投資や株主重視)に要を置く傾向があります(そのしわ寄せが、労働分配を置きざりにしています)。一方で、内部留保に加え外部調達も増えている為、今後の成長戦略も進めやすい状況です。 また、金融機関の姿勢によるものも大きい。中小企業負債の状況が好転しないまま、外部調達もままならず、内部からの資金調達に依存しなければならない状況に陥っています。これらは、大企業からの下請けへの労働分配の削減や金融機関側の姿勢なども大きい。そして、設備調達資金の多くは小企業ほど自己資金で補っている割合が高くなっています(自己資金44.6%、金融機関からの借入40.4%:国民生活金融公庫/小企業の設備投資動向調査より)。また、担保問題の制約や中小特有の事業継承問題などもあり金融機関も貸出しずらい状況で、小企業ほど深刻になっていると思われます。よって、今後の成長戦略も進められず、先細りな状況に追い込まれやすい。しかし、大・中・小それぞれ質の違いがあるので、その部分は考慮して考えることは必要です。例えば上場企業・・・日本市場の6~7割以上は外国人投資家によって活性化します。その為、日本の大企業の多くは海外からの投資家の目を気にします。日本では一般的に総額の利益を重要視する傾向がありますが、海外投資家の多くは、株主価値の向上を計っている企業に投資する傾向があります。よって、1株利益の向上などが株主価値のバロメーターになっているようです。しかし、1株利益とは言っても、海外投資家の株主価値とは増配などの不安定なものを期待しているのではなく、内部留保など今後の成長戦略などのために使われるものを重要視する傾向があります。近年、グローバル化が進み欧米仕様が標準のため、大企業ほどその流れに敏感です。そのような環境が、同上のグラフの数値に表れているものと思われます。そして、中小企業ではこのような事は困難です。しかし、2004年に設立された東京都債券市場構想は、優秀で元気な中小企業が担保や保証人がなくても市場から資金調達できる制度が動き出しました。中小企業の資金調達を円滑にし、東京都の産業を活性化することを目的に多くの中小が参加しています。ところが現在、同構想による問題が明らかになっているようです・・・NB online(日経ビジネス・オンライン) 8/4記事によると、同構想の下で2006年に発行された、1200社以上の中小企業の社債を束ねて証券化したCBO(社債担保証券)が、格付会社(S&P)によるシービーオー・オール・ジャパンの大部分を占めるB方式の格付けが、わずか1年で18段階もの大幅格下げになっていると書いています。サブプライム問題と同じ構造のため、参加中小企業は基より関連する下請小企業までの状況を更に悪化しかねない問題です。※詳細は同(Nb online)記事をお読み下さいこのように、大企業と中小企業は取り巻くさまざまな環境によって状況が変わっているようです。思うこと・・・同上グラフを裏付けに、日本の金融機関の貸出先比重は中小企業から大企業に移っています。大企業は、個人消費が年々少なくなる日本よりも海外(投資家)目線に更に標準を合わせざるえない状況です。今後、金融機関による選別化は更に続くことは、一部の人達にだけに恩恵が集中する構造でもあり、けっして日本全体が隅々まで潤わないという事です。政治は経済(特に中小企業政策を具体的に)をしっかり牽引して下さい。そして、日本人全体が自分自身で政治に対する関心度をもっと底上げをしないと難しいかもしれません。そして・・・東京都債券市場構想についても、オリジネーターの審査方針が裏付資産に与える影響は大きかったはず。今後、参加している各金融機関に注目しなければならない。すこしオーバーな言い回しがあるかも知れませんが同上グラフの数値部分より「格差社会(中小企業の現状)」を各方面の資料等を合わせて、とり挙げさせて頂きました。また、いろいろな角度から注目してスケルトン的な見方をしなければいけませんが、その点はご容赦下さい。そして、私の勝手な解釈もご容赦下さい。長々と読んで頂きありがとうございました。プチひとりごと・・・同上グラフの流れが強い企業が、いろいろ問題はあると思いますが海外投資家に注目されるのかもしれませんね。銘柄選びは難しい σ( ̄、 ̄=)ンート・・・1株利益だっけ?格差社会 「 中小企業の現状 その一 」(8/19日記)日米の項目別寄与度の推移(7/10日記)人気株式blogランキングを見る【用語】1株(当期)利益とは・・・当期純利益÷発行株式数(自己株式数は除く) EPSとも呼ばれます。株主の持つ1株がどれくらい利益をもたらしたかを見る指標です。数値が大きければ1株価値が高い。各コスト、特別損益、税金など差し引いた後に最終的に会社に残る利益。残り部分から株主に配当が支払われ、最後に残った部分は企業の内部留保として今後の成長戦略などのために使われます。事業継承問題とは・・・事業などを受け継ぐことを言います。中小企業経営者の約5割が60歳以上と言われています。(50歳以上だと約8割)今までの大半は、親→子(同族)へと継承されていましたが、いろいろな理由から理想どおりに継承されないケースが近年増えています。経営者の約8割は、親族に事業を承継したいとの希望。しかし、経営者60歳以上の中小企業のうち、事業承継について具体的な対応に着手していない企業は、約4~5割存在しています(全国中小企業景気動向調査資料より)。特に親族が会社経営の大半を占めている中小企業においては、後継者が限られてしまうことが多い。また、これらの企業すべてが廃業したい訳でもありません。また、コトの重さにしては意識が薄い。中小企業は、経営者の「個人企業」としての色彩が強く、経営と家計、事業と私的が明確に分離されていないことが少なくない(信金中央金庫 総合研究所より抜粋)。そして現在、親族内継承以外に、幹部などの社内継承、M&A(合併&買収)による社外継承も少しづつ増えているようです。