扉をたたき続けて

今日はギリギリまで教習所へ行こうかやめようか迷っていました。正直、１日寝ていたいという心境でした。しかし、幸か不幸か隣の家に足場屋さんが来て、足場を組み始めたのです。朝っぱらから。その音がうるさい事うるさい事。そのお陰で？慌しくメイクをしてバスが来るまで１０分ちょっとしか無い中、慌てて駅に向かいました。これではゆっくり寝ていられないし、余計なストレスしか溜まらないと判断した結果です。

私は車恐怖症になっています。もう教習所で笑顔になった事が無いのです。とにかく不安で不安で仕方ないのです。何より自信が無いのです。あの修了検定の時は一体何だったんだ？と思います。別の人格でも存在していたかのようでしたね…。何かが乗り移りましたかね？

教習所に着くと、教官たちの洋服の色が変わっていました。そういえば、衣替えの季節なんですね。今日は６月１日でしたっけ。中々新鮮な感じがして良いかもしれません。

１時限目は、今までのコースの復習です。あのですね、はっきり言いたいです。「お願いですからドライバーの皆さん、交通ルールは守りましょう。一時不停止だの、優先無視だの、スピード違反だのはやめて下さい。交通ルールを守ったら事故は半減するって教官が言っていました。教習所時代の事を思い出して下さい…。」と。これ、私の本音です。

確かに私自身が路上に出ますと、認知・判断・操作の全てにおいて未熟で山のような迷惑をおかけしています。それは本当に申し訳ないと思います。ただ、交通ルールを破られますと、このような未熟者は練習で道に出る事すら出来なくなります。恐怖心で…。

２時限目は、第一段階終了時に見極めＯＫを出した教官でした。正直、この教官に当たりたいなと願っていたら当たりました。教官は私を見るなり「また不安がってるな。力入れすぎだ。緊張するな！」と言いました。恐る恐る路上に出る中で私はハッキリ言いました。「不安で仕方ありません。とにかく怖いんです。私には無理です。出来ません。見極め受かったのも、修了検定に受かったのも偶然です。」と。そしたら、この教官は「バカを言っているんじゃないよ。見極め合格を出したのは俺だ。試験だって一発で受かっているじゃないか。これは自分の力を出せたからだろ！出来ないなんて思うんじゃないぞ絶対に！自信を持てよ！」と言いました。

心に持っている思いは吐き出してしまえと開き直ったのです。辞めるにしても、続けるにしても心の苦しい思いを聞いて欲しかったんです。免許を取得して運転に慣れていると教習時代の気持ちを忘れかけてしまう人も多い中、こうやって不安を受け止めてくれる教官の存在は感謝です。

教官は、自分の判断で別のコースへ。検定などに使われるコースを走りました。交通量も多いです。こんな場所を制限速度４０ｋｍで走っていると後ろは大行列…。こんな様子を見て私は「あのぅ…。後ろに車が連なっているんですけど…。」と言いました。教官は「気にするんじゃないよ。見るんじゃない。４０ｋｍで走っているんだから良いんだ。」と。確かにごもっともなのですけど。

同僚は言いましたよ。私に。「実際は誰も制限速度なんかで走ってないよ。車の流れにスピードを合わせるんだよ。そうしないと回りに迷惑なんだから。中には急いでいる人だっているんだよ。」って。それも分かりますけど、交通ルールは無視ですか…。

昔、ありましたよね。「狭い日本。そんなに急いで何処行くの？」って言葉が。本当にそう思います。再三、申し上げますが交通ルールは守りましょうよ…。お互いの命の為にね…。

…２時限連続で路上教習に出た私の背中は汗でびっしょり濡れていました。

（第二部へ続く）