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ラッコの映画生活

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2008.02.18
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カテゴリ:フランス映画
VENUS BEAUTE (INSTITUT)
Tonie Marshall
105min
(所有VHS)

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この映画はフランスの映画賞であるセザール賞で、作品賞・監督賞・脚本賞・有望若手女優賞(オドレイ・トトゥ)の4冠に輝いた作品。監督のトニー・マーシャルは『男と女と男』で女優として出ていたのを見て印象に残って、監督作の『逢いたくて』を見てちょっぴり失望した人。なのでビデオは買ってあったものの見ないでいました。自分は脈絡なく次から次へ映画を見るというよりも、同じ監督、俳優、カメラ、原作、リメイク等関連で見ていくことが多い。たとえば同じ役者がまったく違った役を演じるのを見るのは面白いし、名カメラマンが別の監督で撮った作品を3~4本続けて見るのも面白い。で先日書いたようにビュル・オジエを見る機会が多いこの頃なので、まだ見てなかったこのビュル・オジエ出演作を見ることにしました。セザール4冠という期待を裏切らない佳作でした。

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まあ、とは言っても、内容としてはそれほど深いものがあるわけでもない。だからって浅い内容を表面的巧さで深そうに見せようとする、よくあるタイプの欺瞞映画ではない。人物設定・役作りにややぎこちなさの残る主人公アンジェルをナタリー・バイが好演していて、その周辺をマーシャル監督が自然体で構築しているのが、結果としての映画の成功だと思います。エステサロンのアンジェルの若い同僚の2人、セザール有望若手女優賞のオドレイ・トトゥは良い感じで『アメリ』の彼女より好きだし、サマンタのマティルド・セィニェも手堅く役を演じている。アンジェルの叔母さんの一人リダも良い演技で、どこかで見た人だと思ったらエマニュエル・リヴァ。映画史上の傑作、アラン・レネの『二十四時間の情事』の女優さんだけれど、歳を重ねてからも色々な映画で渋い名演してますね、この人は。サロンのオーナーのナディーヌ役のビュル・オジエも、美しいけれど自己本意で周囲に実は無関心といったオジエらしい良い雰囲気。マリーにつきまとう年輩の謎の元パイロットのロベール・オッセンもそうだけれど、フランス映画界の名優たちが、気張らずにその人らしい役柄・演技で出ていて、それだけで映画になってしまうという感じでもあります。

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映画はナディーヌが中心となり、アンジェル、サマンタ、マリーの協力を得て4人で運営されている「ヴェニュス・ボーテ・アンスティテュ」(ヴィーナス・ビューエィー・インスティテュート)というエステ・サロンが舞台。中心はナタリー・バイ演じる中年のエステティシアンのアンジェルと、若い彫刻家アントワーヌの恋の物語だけれど、実際のエステティック・サロンでの出来事なんかをもとにしているということで、サロンでの人間模様にはリアリティーがあります。描かれるお客さんは多少突飛な人物たちだけれど、でもこういう人はいるだろうなって受け入れられます。ちょっと余談なんですが、すぐ上でアンジェルを「中年」と書いたけれど、どうもこの語は不似合いですね。精神的にやや未熟なアンジェルというのもあるけれど、この40才の女性の役を演じているナタリー・バイは撮影当時50才ですね。ボクは年令で人を判断するのは嫌いなのだけれど、だからこそ今年令のことにこだわって書いてます。例えばブレイヤ監督の『処女』の姉娘エレナを演じたロクサーヌ・メスキダは撮影当時たぶんまだ十代で、深みなんてないちょっと神経質さを持った、ただ若いだけの少女の魅力。それとは違ったもっと個性を伴った大人の女性の魅力というのがあって、でもそれはアンジェルのように40才でも(あるいは演じたナタリーのように50才でも)「オバサン」さらに「バ*ア」、日本の男性が「五十であれは化け物」なんて言いたがるのとは違うんですね。40才や50才で20才の女の魅力を持とうというのではない。30でも40でも50でも、年令に無関係にその時のその人なりの女の魅力を持ち続けるということですね。そういう意味でベタな言い方だけれど、やっぱりフランスっていうのは恋愛の国(文化)ですね。

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(以下少しネタバレ)
アンジェルは8才の時に両親を相次いで失って、2人の叔母さんに育てられる。父親が不貞を疑って妻(アンジェルの母)を殺害。でも事実ではなかったことを知って自殺したらしい。成人してからの彼女はジャックという恋人を愛し一緒に暮らしたのではないだろうか。しかしどうもジャックの不貞(事実関係とは別に)をめぐる諍いから何らかのドラマがあって、アンジェルはジャックの顔面に傷を残してしまったらしい。そんなアンジェルは今は独りで、行きずりの一回限りの出会いとセックスを繰り返している。恋愛に「唯一」の「永続」の愛など存在しない。過去の出来事が彼女にどう影響しているのか、少なくも彼女は誰かへの愛に自らをのめり込ませ、結果裏切られることもあることを恐れている。しかし過去でも未来でもない、現在の互いの感情に身を任せ、結果はどうなろうとそれは受け入れ、消化する。これが恋愛というものではないだろうか。姉妹店を作ってアンジェルが運営してはというナディーヌの提案に踏み込めないのも同じ彼女だ。そんな彼女に、二十歳の婚約者がありながら、「好きだ、好きだ、愛している」と迫るのが25才のアントワーヌ。二十歳そこそこの若いマリーは60才ぐらいの男性で、足しげくエステ・サロンを訪れていた男と、3倍近くも歳は違うけれど恋愛を成就させる。アンジェルは恐れを持って踏み出せないものの、恋愛の欲求がないわけではない。だからマリーと老人の恋愛のあるべき姿を覗き見たアンジェルはアントワーヌを激しく求める。一方とっかえひっかえ次から次へと男とつき合いいつも上手くいかないサマンタは、自殺の意志があったのかどうかはわからないが、安定剤をオバードーズして病院に担ぎ込まれる。これはサマンタの、恋愛に身を投入して失敗した自分を消化する一つの姿だ。

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(以下ネタバレ)
姉妹店の計画はアフロディット・ボーテという店名で進められていた。何も言及はされないが、たぶんアンジェルが引き受けるのではないだろうか。つまりは恋愛拒否の一種の比喩でもあった姉妹店経営を彼女が受け入れる方向は、彼女の恋愛に対する変化の暗示でもある。大晦日の晩店に一人残ったアンジェルをジャックが訪れるが、一緒に過ごそうというアンジェルに、別に好きな人が出来たとジャックは断る。残された彼女を訪れたのはアントワーヌ。自分のデザインしたクラシックなドレスを彼女に着せる。そんな二人の様子を外から見ながらピストルを手にしているのはアントワーヌの元婚約者だ。しかし彼女の発砲した銃弾は店の照明を壊しただけだった。その行為は婚約者にとっては恋愛の(嬉しくない)結果の消化のしかただったのであり、飛び散って降り雪ぐ美しい光の中でアンジェルとアントワーヌは抱き合う。降り雪ぐ光は婚約者の悲しみの涙でもあるわけで、二人の「現在の」幸せはその上に成り立っているということでもある。それを良しとしてアントワーヌとの愛に身を任せるアンジェルは、いずれもしかしたら自分も同じ辛酸をなめるかも知れないことを受け入れることでもある。サロンで客がアンジェル等店員に語るのも愛や悲恋の話であり、恋愛の実像を「恐怖で拒否」から「現在の受容」というアンジェルの変化を通して描いているのではないだろうか。最初と最後で、主人公が成長するという物語は素敵ですね。

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Last updated  2008.02.23 02:08:56
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