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ラッコの映画生活

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2008.02.22
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カテゴリ:フランス映画
BUNKER PALACE HOTEL
Enki Bilal
95min
(DISCASにてレンタル)

BPH_0.JPG

日記のテーマに「おすすめ映画」を選んだけれど、「きっと楽しめるから見て」ではなく「こういうのも見て、良さをわかって~」っていう意味です。こういう映画は日本では需要層があまりないのかも知れません。色々なところで観客のレビューを読ませてもらったのですが、評価であれ不評価であれ、この映画に対する視点がボクとはズレているのを感じました。この映画にジャンル名を付すなら「ファンタスティカル・ポリティカル・ムービー」とか「SF政治映画」となるのではないでしょうか。ただここで「政治」と言っても、それは特定の政党や政策、資本主義だ共産主義だと言ったこと、そういう具体的な話では必ずしもありません。もちろん見る者が歴史や政治の具体的人物や事件に当て嵌めて解釈するのは勝手ですが。ここでは詳しく書きませんが、江戸250年間の鎖国、開国と上からの近代化、戦後の上からの民主化、等々の流れ(お気楽な島国であったことも)で、我々日本人は「政治意識を骨抜き」にされてしまった(もちろん自らそうなった)。なのでただ選挙に関心がないだけではなく、それ以上に政治とか権力というのはいったいどういうもので、我々はそれとどのように関わっているのかと言った、もっと根源的な政治学とでも言うのか、そういうものに恐ろしく無関心なのではないでしょうか。たとえば子供を塾に通わせ一流大学に入れる、なんて当たり前のような行為だって、実は政治や権力と無関係ではない行為だ、なんて人々はほとんど考えていませんね。

BPH_1.JPG

監督であるマンガ(フランス流バンド・デシネ)作家のエンキ・ビラルという人は、ユーゴスラビアのベルグラードに、ボスニア人の父とチェコ人の母の間に生まれた人で、8才か9才の時にフランス・パリに移住した人。政治とか権力とか、そういうことに無関心ではいられない生い立ちです。その後若くして彼が興味を持ったのはパゾリーニ、ブニュエル、キューブリック、ポランスキー、タルコフスキーの映画だった(フランス語インタビュー:http://membres.lycos.fr/cseguin/Texte225.htm)。そんな彼の作品のテーマはやっぱり政治です。『ティコ・ムーン』はロマンスの要素が強く、ジュリー・デルピーも美しく魅力的だし、まだ日本での需要可能性が高いけれど、根はやっぱり権力と政治の物語だった。そういう内容を架空の近未来の物語としてSFチックに描く。(こういう映画の究極は性を使って政治を描いたパゾリーニの『ソドムの市』だろう。)そしてそういう映画にジャン=ルイ・トランティニャン、キャロル・ブーケ、マリア・シュナイダー、ジャン=ピエール・レオ、ブノワ・レジャン、あるいはミッシェル・ピコリ、マリー・ラフォレ、リシャール・ボーランジェ、ジュリー・デルピーといった一流の役者が出演し、特にこの映画では筋や人物の設定がはっきりしないから、彼ら彼女らの持っている個性的キャラクターで映画を重厚にする。ところで題名の『バンカー・パレス・ホテル』だけれど、「バンカー」とは「トーチカ」の意味。ここでは要人が集まる地下シェルターホテルのようなものだが、原語では既にこの題名が軍事や政治を実は連想させている。

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時代と場所は、東欧の例えばベルグラードとか東ベルリンとか、重厚ではあるけれど厳めしく暗い建物が寂れた近未来で、白い酸性雨が降り続く。常時何処からともなく銃声が響いている。ブルーがかったダークグレーの世界で、その終末論的雰囲気は、個人的にはバイロイト100年祭の『ニーベルンクの指輪』のパトリス・シェローの舞台も連想させられる。アンドロイドの使用人が出てきたり、未来的器機等が出てきたりだけれど、車は黒塗りの旧式車両で、ナチの要人や戦後期の東欧の要人が乗っていたような車。トランティニャン演じる大企業オルム産業の総帥は何かの設定を済ませ、黒い長いコートをきっかり身に着こなし、秘密のディーゼル機関車に乗って地下にあるバンカー・パレス・ホテルに到着する。(この秘密の機関車なんて安っぽくなりかねないアイテムだけれど、風格を持った役者が重厚に演じているからそうはならない。こういうのは日本映画では作れないでしょうね。)姿を見せようとしない政府大統領の他、12名の要人が集っていた。メイドやボーイ、楽士等ホテルの使用人はすべてアンドロイドやガイノイドだ。一方クララ(キャロル・ブーケ)も不法に入手したカードを使ってホテルにやってくる。映画のメインはここでの密室劇だ。

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以下ストーリーの詳細は書かないが、ネタバレ承知でボクの解釈を書くことにする。ここに登場する人物たちを区分けしてみると、大統領を筆頭に(おそらく独裁的)現体制の要人、実際にはクララぐらいしか登場しないが(固有の言葉を禁止されていたりするからビラルの出自であるバルカンの民族問題をも見ても良いけれど)反政府運動家ないし抑圧・弾圧された民族、ホテル従業員たち人造人間の3つになるのではないだろうか。三番目の人造人間たちはプログラムに従って動くだけで、感情や意志など持たない。これは体制に骨抜きにされた害のない大衆の象徴だろう。アンドロイドの出来が不完全だから粗相も多いけれど、文句も言わずに体制に仕えるために愚かにされた無害な奉伺人。これが大衆の姿だ。しかし今、反体制派の活動が進んで体制の維持が困難になってきている。つまりはこのシェルターホテルに集まった大部分の人々(要人)は、既に古くなって継続の困難な現行の体制でこそ存在価値があった人々。本当の権力者(大統領)は身をかわして彼らを粛正し、新たに強い主流となるであろうクララに代表される層を取り込んだ新体制を作ろうとする。ここには時勢を捉えて巧みに転身する権力者の姿がある。大統領は粛正するために旧体制の要人を集めたのだ。崩壊するホテルから一人地上に出されたのはクララだけであり、彼女を迎えるのは地下で死んだはずのオルムであり、補佐も運転手もみなオルムと同じ顔の人々。オルムはオルム産業という大資本の総帥であり、大統領という政治権力を操っているのも結局は大資本。ケネ**ー暗殺や*・11の背後にも実は*ダヤの武器商*の大資*があって世界を動かしているとすれば、実に世界の権力と政治の構造を比喩的に描いているとは言えないだろうか。権力とか政治というのは、畢竟こういうものなのだ。




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Last updated  2008.02.26 22:30:44
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