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ラッコの映画生活

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2008.04.21
XML
カテゴリ:フランス映画
1 CHANCE SUR 2
Patrice Leconte
109min
(所有VHS)

chance_0.jpg

純粋に1本の映画として見れば大した作品ではなくって、いくらでも批判は書ける。でも好きな作品です。パトリス・ルコントはいまいち苦手な自分だけれど、いちばん好きな作品かも知れない。今の若い人にジャン=ポール・ベルモンドとかアラン・ドロンって言っても、相当なシネフィルでもないかぎり、ほとんど誰も知りません。ブリジット・バルドーなんかは引退も早かったから知る人はもっと少ない。いずれも1934年前後の生まれだから現在75才ぐらい。フランスの、あるいは世界的な巨大スターだった役者さんたちです。この映画のベルモンドとドロンは、日本ではドロンの方に人気があったけれど(紳士服ダーバンやマツダ・カペラのテレビCMとか)、本国フランスではベルモンドの方が人気も評価も高かったようです。

chance_1.jpg

でもいずれにしても60年代、70年代の大スターだった2人。この映画の製作は1997年だから、ドロンが62才でベルモンド64才。もちろんまだまだ若かったけれど、ベルモンドはいつの頃からかアクション映画が中心になり、今で言えばジャッキー・チェン(そのジャッキーも今や54才だけれど)のように、スタントなしの自演のアクション俳優。一方ドロンはカッコイイ美男の二枚目役だから、ジジイの役もイメージではない。そうすると、この映画は2人にとってはいわば引退宣言のような映画なんですね。映画の中のベルモンドの役は、かつて外人部隊で活躍し、今は高級自動車のディーラーをするレオ・ブラサック。一方のドロンはかつて知能犯的金庫破りの一度も捕まったことのない泥棒で、今は高級レストランのオーナーのジュリアン・ヴィニャル。でもそれは実は違うのかも知れない。ベルモンドの演じるのはジャン=ポール・ベルモンドであり、ドロンの演じるのもアラン・ドロンなんですね。それぞれの俳優が俳優ベルモンドや俳優ドロンを演じるために用意されたのが作中のブラサックやヴィニャルというわけです。

chance_2.jpg

自分はアクション映画やギャング映画はあまり見ないけれど、それでもいつの間にか2人の作品はいくつも見ていて、ある時代のスターとして脳裏にイメージが焼きつけられている。ヴァネッサ・パラディは当時25才で、やはり彼女の演じるのはヴァネッサ・パラディという1990年代末の時代の若いスターの役。物語は母親の遺言テープでレオとジュリアンの2人のうちのどちらかがヴァネッサ演じるアリスの父親だという設定。テープで母親は同時に2人を深く愛してしまったと語る。母親に愛されたレオとジュリアンというのは、国民(あるいは世界)に愛された人気映画スターベルモンドとドロンということでもあり、2人の俳優が当時のフランス映画を象徴すると見れば、そんなかつてのフランス映画を父に持って、今のフランス映画(ヴァネッサ)が生まれてきたとも解釈できる。もちろん時代の新旧交代の象徴ともとれる。

chance_3.jpg

そういう目で見ると実に感慨の深い映画です。2人の俳優自体もレオやジュリアンであるよりは、その2つの役に象徴されるベルモンドやドロンを演じています。ヴァネッサの演じるアリスが2人を見る目も、役のレオやジュリアンではなくベルモンドやドロンのようでもあります。ひょんなことからアリスが、そしてその結果レオとジュリアンの3人、ロシア・マフィアに狙われるというお話なんですが、元外人部隊と元金庫破りという役の設定だから、ロシア・マフィアと3人の大アクションが展開される映画です。アリスの母親がベルモンドやドロンのかつての観客の象徴であるとするなら、ただ成りゆきを見つめているだけのロシア・マフィアのボスの息子は、現代の、そして将来の観客を象徴しているのかも知れません。

chance_4.jpg

監督のルコントは当時50才で、2人の俳優の活躍の始まる1960年初頭にはすでに映画監督をやっていた人だけれど、彼はもともと過去への執着が強いタイプのように思えます。それでこういう映画を撮ったのでしょう。原題は「確率1/2」とも「チャンスは半々」とも、幸運の意味を込めても込めなくも解釈出来る意味ですが、もちろんどちらが父親であるかは確率は1/2という意味でもあり、窮地から脱出できるかその幸運は1/2ということでもあります。2人とも娘の父親でありたがっているから「自分が父親である幸運は1/2」ともとれます。いずれにせよそのどちらの1/2も、最初から結果の見当はつきますが、ラストはやはりああでなければいけません。最初にも書いたようにただのアクション映画として見たら名作とは言えないかも知れないけれど、書いてきたような含みで見ると、3人の役者の演技にもしみじみとした味わいが感じられて、そういう意味で良い映画でした。

chance_5.jpg




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Last updated  2008.04.24 01:52:17
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