テーマ:ミステリはお好き?(1451)
カテゴリ:本
メルカトル鮎の死後(すなわち、今鏡事件―翼ある闇―後)、
「痾」の最後で桐璃の妊娠が発覚、外堀を埋められるように彼女との結婚を選択せざるを得ない烏有。 そんな彼に出版社内の部署移動で編集部に来た安城という後輩が出来る。 同僚の倉田が病に倒れた為、彼の取材の代役に借り出された烏有はアシスタントの安城を伴い、 比叡山の山奥に隠棲する白樫家を訪れる。 双子同士がそれぞれ結婚してそれぞれ双子を生み、その子供らもそれぞれ結婚。 それぞれ一子もうけ、その子らが結婚して子供を産む。 一点に収斂する家系図を持ち、数年前までは表舞台に姿をあらわさなかった"閉ざされた一族"・白樫家。 烏有たちが屋敷を訪れた夜、世界的な芸術家・宗尚の義理の娘(であり姪でもある)・晃佳が首を切られて殺害された。 関係者には全員アリバイがあった。 そして続く惨劇。 育ての母親に赤ん坊の頃攫われ、白樫家のシンボルマークが入った指輪を持つ安城は白樫家の一員なのか? ~ネタバレあり~ フラッシュバックのように挿入される"救済"の場面から、家族の関係性は想像できる。 その関係性は宮部みゆきの「理由」を思い出した。 まぁ、あれは借金などが理由で他人同士が家族を形成したわけで、今回のような宗教・信仰がらみではないのだが。 烏有が出だしてからのシリーズには"ヨハネ教"が見え隠れ。 教祖エクラ=ミュルティプル(偽名・日本人)がいつか登場する事はあるのだろうか? それともシリーズはコレで完結??? 和音事件や桐璃たちも実は…という展開になるかと思ったら、そうでもなく、 メルカトルに探偵の才能があるといわれ、木更津にも期待された烏有が活躍するかと思ったら、そうでもなく、ちょっと肩透かしを食らった感あり。 途中からエピローグまで烏有はすっぱり姿を消すし、最後も付け足し程度の登場だったし… …いやいやいや、前回だって、探偵の素質は本当にあるんだろうか?って思ったんだった。 メルカトルと木更津の期待に目がくらんだのは彼自身だけではなかったのでした。 事件の中心(原因)となった安城もすぱっとフェイドアウトしたしなぁ… 主要メンバーの活躍が期待したよりも少なかった所が残念だっただけで、 事件というか、白樫家の構成、信仰の設定から起こりうる惨劇の構図はよく出来ていて面白かった(と書くと語弊がある、かな?)。 木更津が事件を解決するも、そこは"探偵小説"らしく、すべてが終わったあと。 今鏡事件が解決した直後で香月も夕顔との結婚を控えていて慌しいが、やっぱり彼の言葉にヒントあり。 香月はあの時にはすでに真相に到達してたんだろうに、なぁ… 彼は単なる木更津ファンというよりも、ミステリファンが高じて、一番ミステリ世界を体現してくれる木更津についていくようになったといったところか。 自ら「(名探偵の助手の名目で現場に行っても、警察などから邪険にされる。それでも)何の義務や責任も負うことなく、ライヴで捜査を眺める事ができる。ミステリ好きとしては他に変えがたい境遇。」とコメントしているし。 メルカトル鮎シリーズ 翼ある闇 夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) 痾 メルカトルと美袋のための殺人 名探偵 木更津悠也→メモ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 21, 2006 03:52:17 PM
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