テーマ:皇室 三(37)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
旧暦四月十三日、巌流島の決闘。卯月、蛙はじめて鳴く。 本日は「日本の息吹」平成十八年二月号、中西輝政京都大学教授の「万系一世は神の末裔」から三回目。 日本国憲法は無効である、と言うと知らない人は驚くだろうが、通説となっている「憲法改正限界説」の立場から言うと日本国憲法は、大日本帝國憲法の改正手続によって変更出来る範囲を逸脱しているのである。 万系一世は神の末裔 インタビュー 京都大学教授 中西輝政 男系による万世一系の系譜こそ、神の末裔なる皇統の意識を高めてきた。一方、女系とは即ち王朝の交代に他ならない。 (続き) ◎「国民主権」の規定が皇室観を歪めている ─ つまり、今回の皇室典範の改定問題は、戦後の体制、風潮との戦いでもあるわけですね。 ところが、戦後占領軍によって、憲法は改変され、皇室典範はその憲法下の一法律にされてしまった。 そしてその憲法ですが、第一条「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって」という前段は、天皇は日本という国の歴史、文化、伝統の象徴と捉えればいいとしても、後段の「この地位は主権の存する日本国民の総意に基く」というような規定を持っている君主国はほとんどありません。これは前文で言う「国民主権」と対応しているわけですが、国民主権を憲法に謳っているのは、アメリカやフランスのような革命を経て成立した共和国であって、君主国ではほとんどありません。そもそも国民主権と君主制とは相容れない考え方なのです。例えばイギリスは不文憲法の国ですが、国民主権という建前はとりません。主権は国王と議会が半分ずつ持っていて、国王と議会が一致するとき、そこに完全な主権が生ずるという考え方をとっています。 デンマーク憲法には、「国王は行政権の長である」とあって、国王には自ら法案を作り提出する権利があります。アジアにはタイの王室がありますが、タイの国王は総理大臣の「罷免権」を持っています。一九九二年にタイで暴動が起こって、当時の総理大臣が国王に言い訳しましたが、国王はそれを受け入れずその場で首相を罷免しました。首相が国王の前に跪いているシーンがニュースで流れましたが、これがタイの国王と政権との関係です。 これが普通の君主国なのです。かといって、いま挙げたイギリスやデンマーク、タイが民主主義でない、というような議論は俎上に上ることはありません。 このように世界の君主国と比較すれば、いかに日本の現行憲法の天皇に関する規定が異常かよく分かります。 なぜ、そうなったか。もちろん現行憲法が占領軍によって起草されたからですが、当初、アメリカの方針には「この地位は主権の存する日本国民の総意に基く」という後段の部分はなかったのです。最近公開されつつある連合国の日本占領政策に関する史料をつぶさに調べれば分かりますが、あの条文を入れ込んだのはソ連なんです。ソ連が将来、国民の意思によって天皇制を廃止できると解釈できる文言を入れ込んだのです。ですから、第一条は、連合国の対日戦略とイデオロギー対立の妥協の産物なんです。この矛盾を放置したまま我々は、国民主権か、君民共同の民主政体ないしヨーロッパのような本来の立憲君主制なのか、という議論を戦後ずっとしてこなかった。ここに戦後の国民の天皇観を歪めつづけるいわば「時限爆弾」が仕掛けられていたのです。 ─ 自民党の憲法草案もかつて読売新聞が出した憲法試案も「国民主権」に囚われています。 中西 国民主権とは、元来革命思想の別の表現なんですね。だから世界の君主国にはそういう考え方はほとんどないのです。そういうことを、なぜもっとマスコミは国民に知らせないのでしょうか。それでいてマスコミは、ヨーロッパの王室はヨットに乗って週末を過ごされる。日本の皇室ももっとご自由に遊ばれては、などとしたり顔でそういうところばかり引き合いに出したりしている。大変な不見識です。そもそも、そういう比較をするなら、皇室財産を大幅に増やさなければ実現不可能なのにそれは言わない。例えばイギリス王室と日本の皇室の予算を比べてみれば、桁が二桁も三桁も違います。これも占領軍が残した「皇室経済法」の縛りの故です。皇室から財産を奪い、どんな細かいことでも宮廷費は議会の議決がいるというように予算を極減したのです。こんな拘束を王室に課している君主国は世界にありません。 ◎占領軍が仕組んだ皇室《立ち枯れ》政策 中西 今、我々が本当に考えなければならないのは、昭和二十年代に「皇室民主化」という掛け声のもとに行われた様々な「改革」の弊害についてです。皇室経済法で皇室に経済的に不当な縛りをかける一方で、米軍の圧力による十一宮家の臣籍降下に象徴されるように、皇室から皇位継承者を減らし皇位継承自体を困難にし、いわゆる藩屏をなくしてゆき、皇室の生命力を削り落し、やがて立ち枯れにしてゆくという狙いで「皇室民主化」が進められたのです。 ─ それがなければ男子の皇位後継者は確実にいたことになりますから、そもそもこんな議論も起こらなかったわけですね。 中西 その通りです。たしかにマッカーサーの占領政策は、すぐに皇室をなくすことはしなかったが、将来的に立ち枯れていく仕掛けを埋め込んでおいたのです。最近米国で公開されつつある公文書からはその辺りのことが透かし見えてきます。当初マッカーサー・ノートの第一項には、イギリス型の立憲君主制ということが構想されていました。イギリスには、王族の藩屏として膨大な数の貴族階層があって、議会にも選挙ではなく世襲の議員から成る上院があり、千何十人かの貴族院議員がいます。こういう形で多くの藩屏が王室を支えている。これがイギリス型立憲君主制です。これと比較してみてもいかに戦後の「象徴天皇制」というものが、世界の立憲君主国に例のないものであるかが分かります。 そしてそれは日本の国柄から見て到底長くは許容することのできないものであり、こんなことを続けていれば、やがては皇室の将来を危うくし、ひいては、政治の安定、日本人の精神面や日本の文明的生命力の源まで毀損することになりかねません。 ですから、皇室典範の改正も本来は、この現行憲法の象徴天皇制の危ういところをも合わせた改正でなければならないのですが、それにはまだ時間がかかるとすれば、一番急がれるところだけをまず改正すればいい。もちろんそれは有識者会議の報告書のいう「女系天皇容認」「第一子優先」などというものではなく、第九条の「[養子の禁止]天皇及び皇族は、養子をすることができない」を改正して、旧皇族方が現在の宮家に養子に入ることができるようにすることです。それから特別立法で占領軍によって臣籍降下させられた十一宮家の皇籍復帰を可能にする。この二つの改正および立法措置が急がれます。 蛇足ながら、憲法も教育基本法もまず改正を急ぐべき条項は第九条(*)ですが、皇室典範もまず改正すべきは第九条で、これは偶然の一致ですが、戦後も六十年の還暦を過ぎ二巡目に入った今、これら「三つの九条改正」を合言葉にしたいものです。(続く) 愛子内親王殿下は男系女子なので、民間男子との間に設けら れた御子様は「女系」でも「男系」でもない。 男 ┌─女…雑系女子 ├─┤ ┌─女 └─男…雑系男子 男 ┌─女…雑系女子 │ ├─────┤ (神武天皇) 女 │ 女 ┌─女…男系女子=愛子内親王 └─男…雑系男子 ├─┤ ├─┤ 神倭伊波礼毘古命 ┌─男 └─男 └─男…男系男子 │ │ │ │ │ │ ┌─男…双系男子 ├─────┤ ├─┤ │ │ │ └─女…双系女子 │ │ │ 多多良伊須気余理 └─女 ┌─女 ┌─女…女系女子 ├─┤ ├─┤ 男 │ 男 └─男…女系男子 │ └─男 ┌─女…雑系女子 ├─┤ 女 └─男…雑系男子 従って今次の皇室典範改正問題の論点は「女系天皇を容認す るか否か」ではなく「男系天皇を放棄するか否か」である。 平成十八年 五月十日 焦点「悪魔の呪文」を聴きながら コメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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TB有り難うございます。日本国内に巣くう反日的なマスコミも含めあまりにも反日的な勢力多さに愕然として、一難去ってまた一難、皇室典範の改悪も含め油断のできない日が続いていますが、貴兄はいかがお過ごしでしょうか。大変でしょうがブログの更新頑張ってください。微力ながら私も頑張ります!
(2006年05月13日 22時10分30秒)
失礼しました
(2006年05月16日 11時16分08秒)
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