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カテゴリ:四季感慨
8月23 日日記の続き 6.土地に個性がある 土地には個性を示唆している自然地名(図-4参照)があります。平坦地で山裾とか山麓地名、ひらのつく地名の所は崖崩れのおそれがあります。文字に平野(ひらのの字)が多いから、平坦地の意味と早合点してはなりません。砂地盤地下水の浅い所では、排水に常に考慮すべき土地です。 1) 山崩れの起きすい土地の地名 すぎ、しだ、ずき、ひら、すげなど 例えば、昭和 61(1986)年 7 月 10 日、梅雨期に鹿児島市平之町の崖崩れが起こり、多くの犠牲者が出した。ひらの多くは崖崩れが山裾に起こる土地。 2) 土石流に襲われすい土地の地名 たき、たけ、たか、あず、たこなど。 例えば、「たか」「高磯山」、明治 25(1892)年 7 月 25 日の徳島県那賀郡の高磯山の崩壊で、那賀川を堰き止め、一村全域が大惨事となったのです。 3) 地すべりの起きすい土地の地名 さる、され、さら、いた、かき、うなど。 4) 洪水に襲われすい土地の地名 ぬき、はし、こうち(かわち、かわうち)、わだなど。 5) 津波に襲われすい土地の地名 あ、あべ、ひろ、入江地形など。 6) 過去に地崩れした土地 現在活動している地名 かに、かの、すき、くぬぎなど 例えば、「地附山」の「じずき」の「すき」は、土地を削り剥ぐの意味です。昭和 62(1987)年 7月 26 日、長野県上松地区湯谷団地を襲った「地附山」の大地すべりは、凝灰岩が長雨の水を含んだための結果であったとされています。 (1) 湯谷団地への土砂の流下状況 (大洋航空提供) (2)建物を巻き込ながら団地内の市道に 土砂が押し寄せる (1)(2) 地附山地すべりによる土砂災害(信州大学自然災害研究会による) 7.あとがき 地名は、古代の人々が大地に書き残した文字であったと言われ、その命名当時には、その土地柄にふさわしい表現をしたものと考えられています。 後世、漢字が伝わってから地名に当て字が使われ、それが長い年月を経て今日、私たちの生活の地名として溶け込んでおり、その土地の特徴(クセ)をよく表しているのです。 自然災害には地域性があり、洪水災害、土砂災害、地震災害など、地形と土地のクセに関係が深いのです。土地のクセを知ることは、自然災害に対して自分自身の防災意識を高るだけでなく、災害を最小限にとどることにつながります。 引用・参考文献 1)小川 豊:宅地災害と地名、株式会社山海堂、平成 4 年 9 月、第 2 刷発行 2)地盤工学広報企画委員会:土はおしゃべり、社団法人地盤工学会関西支部、1998 年 11 月 3)今村 遼平:地震タテ横ななめ、株式会社電気書院、2004 年 9 月、第 1 版第 1 刷発行 4)木下 浩二:地名と歴史-地名が語る日本の生い立ち-、音羽印刷株式会社、昭和 62 年 4 月初版発行 5)インタ-ネット:日本の地名あれこれ、「災害地名」について、2008 年 9 月 災害の危険性のある場所の地名は、先祖が残してくれた安全指標でもある。 そして、我々の日常の暮らしにおいても、企業の経営活動においても、サステナビリティを考慮して、温暖化防止のためグリーン化に真剣に取り組まなければならない。そうしなければ、雨の降る度に命がけの避難をしなければならなくなる。天は天災の恐ろしさをもって、教えを垂れていると受け止めなければならない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年08月24日 10時41分24秒
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