若竹七海『錆びた滑車』はバランス感覚に優れた一冊
錆びた滑車 (文春文庫) [ 若竹 七海 ]価格:864円(税込、送料無料) (2019/3/9時点)楽天で購入 若竹七海の新作を読みました。「錆びた滑車」。相変わらず面白かったです。日本の女流ミステリー作家が書いているシリーズ物で、何十年も読んでいるのはこれだけかも。好きなんです、葉村晶シリーズ。ライトに見せかけて重たかったり、明るく見えて陰惨だつたり。昔は結構、きつかったです。著者名とタイトルからコージーミステリーを予想した人があまりの暗さに参ったり、驚いたりしたらしいです。(私はその意外性もミステリーだと思っていました。)近年、作品自体のバランスが良くなっていると思います。明るい部分とそうでない部分を別の登場人物に担わせる方法。成功例が多いやり方です。このシリーズで行くと比較的重たいパートは興信所の人々、明るいパートはミステリー専門古書店の関係者が担当しています。ストーリーにも緩急がつきますし、いいですね。(主人公が住んでいるシェアハウス、スタインベック荘の面々はどちらのパートも担います。)この作家が好きな人であれば、迷わす買いの一冊。