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気まぐれ屋。

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2008.01.12
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カテゴリ:ヒトコトモノ
今年も社長から“御年賀”として、神楽坂『福屋』さんの“福おかき”詰め合わせを戴く。
三種類の味が楽しめる。煎餅屋『福屋』さんは、歌舞伎役者さん御用達。
初めてもらった時は、ハケンな校正者ごときにこんな…とそりゃもぉ恐縮してしまったが、
会社組織を離れて以来こういうことに無縁になったので、かなーり嬉しいサプライズだった。
あれからまた1年が経ち。新たな福を戴いて、気持ちがいっぺんに引き締まった気がする。
会社のみなさんは、揃いも揃ってものすごく物静かな人達の集まりなので、挨拶のほかは
仕事上で必要に迫られた時くらいしか会話しないので、私がどんな風に見られてるのか、
ちゃんと役立ってるのか、最初の頃はそういう不安もあったのだが、御年賀を戴いて初めて
“信じる”ことができたというか。単純かもしれないけど、口数少ない社長の気持ちが
“福づくし”のこのひと箱に籠められてる、と思えた。素直にそう信じられたのだ。
私の代わりなんて幾らでもいるんだという疑いと諦めの気持ちは、その出来事により消えた。
だから来年もその先も…この“福おかき”を戴けるよう、与えられたチャンスを活かして
この仕事も「私を必要としてくれてる」と信じることも、誠心誠意続けていきたい。

えんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつ

2008年記念すべき第1冊めを、仕事始めの日から読み始め、昨日読み終えた。
年末に読んでた文庫本の続編、『いとしのヒナゴン 下巻』 なのだが。

読み始めて間もなく、私が読んできた重松氏の作品の中でも「これはちょっとハズレかも…」と思ってしまったのが、上巻だった。
幸い読み進めるにつれ、ハッとする言葉に幾つか出合い、何とか気持ちを立て直せたけれど。
結局、年内に下巻を手にすることはなく、正月休み中も放置してしまい…
そしてやっとのことで本を開いたら、偶然にも物語の書き出しが“正月の雑煮を食べる”とこからだったので、妙にすんなり入っていけた(苦笑)。
導入部にあたる上巻に比べ下巻は、穏やかな正月の風景から一気に加速していく展開で
だらける暇もなく、今作でもやっぱり“重松ワールド”に惹き込まれてしまった。

全部を読み終えて冷静に考えると、登場人物が多すぎて描ききれてないと感じる部分や
その他モロモロ、この作品の弱点も多々見えてはきたが。
これまでの本以上に沢山の“共感できる言葉”に、グッときた1冊でもあった。

重松氏は『テーマの一つは「信じる」』だと、あとがきで述べている。
ギョーカイ人のハシクレとして働いてた時の、私のモットー?のひとつが、
「半分信じて 半分疑え」だった。
口から生まれてきたような口先だけの目の奥が笑ってない人達との
狐と狸の騙し合いのような日々の駆け引き(=仕事)の渦に揉まれ体得した、
とても悲しく憐れな言葉。
そんな私だからこそ、なのかどうかは分からないが、今作で心に残った言葉はどれも、
思い当たることばかりで、繰り返しそれらの言葉にぶつかるたびに考えさせられた。

「ずーっと疑いつづけて一度も裏切られずにすむひとより、たくさん信じて、けっこう裏切られちゃって、でも信じることが楽しいんだって言えるひとのほうが~(中略)~絶対に幸せだと思うわけ。~(中略)~せめて家族とか友だちとか、自分の好きなひとのことはまるごと信じろっての、信じる楽しさを味わえっての、子どもは」【第九章 二つのヒナゴン より拝借】

「雪が積もって、見慣れた町の風景が変わると、なにか自分まで新しく生まれ変わったような気がした。~(中略)~変わりたかった。何度も。変われるんだと信じていた。ずっと。けれど~(中略)~結局なにひとつ変わらなかった。うまく変えることができたつもりでいても、決まってへまをして、むしろいままでよりも深い穴ぼこに落っこちてしまう。ずっとその繰り返しだった。」
【第九章 二つのヒナゴン より拝借】

「学生時代は『やりたいこと』ばっかりなんです。カッコよく言ったら無限の可能性があるっていうか、夢なんですよ、夢を追いかけていけばそれでいいんです。でも、だんだんわかってくるでしょ、現実とか、自分の才能とか。そうしたら、発想が変わってくるんです。東京で『やりたいこと』じゃなくて、『やり残したこと』ってなんだろう……って。それが残ってるうちはあきらめずにがんばりたいし、逆に、『やり残したこと』がなくなったら、たとえ夢がかなわなくても、もうこれで悔いはないかな、って」
【最終章 そして歴史は繰り返される より拝借】

などなど…これ以外にも、実はまだまだ好きなフレーズがいっぱい。
そして、それとは違う場面で、うっかり涙がポロポロ…
2008年初泣き、早くも終了(苦笑)。重松本はこれだから油断できない。

長篇のわりにものすごく感動的とか、ものすごくドラスティックかというとそうでもない。
ただ、今まで読んだ重松本の中でも一番くらいにとにかく登場人物が多く、
暮らす環境も様々なので、きっとどこかに自分を見つけられる、そして自分は
「信じる派」かそうじゃない派か、ココロの“純度”を試すのにも役立つ作品、である
と言い切れる。
★  ★  ★  ★  ★
今日のひとこと。「にゃらんのいる宿に泊まりたい…」





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最終更新日  2008.01.12 19:19:31
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