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現代の制御・通信理論の原点となって、名著とされるウィーナーの「サイバネティクス」が岩波文庫として復刊されていましたので購入して来ましたが、とても読みにくいのです。
雑音の解析・合成には、非線形装置に無作為入力を与え、その出力をエルミート多項式と密接に関係した直交函数系の明確に定義された級数に展開することであり、非線形回路の解析は、多項式の係数を入力信号のあるパラメータの函数として、平均操作により決定することに帰着する。 曲線の予測を行う装置では、変分法の問題から導き出されるある型の積分方程式は、導波管の問題や、その他多くの応用数学の面白い問題にも出て来ることが示された。 大学時代は工学部ではありましたが、応用数学は好きな講義の一つで多少は勉強もし、直交函数系によるフーリエ変換、ラプラス変換、変分法は成程と習ったものでした。 しかし、会社に就職してからは、行列、全微分法、偏微分方程式を適用させることはあっても、積分方程式展開に至ることは無く、何時しか知識は忘却の彼方となっていたのです。 ギブズの統計力学には、時間平均と位相平均が出て来て、これら2種類の平均がある意味同じであることを示そうとした点では正しかったが、その関係の示し方に於いては完全に間違っていた。それにはルベーク積分の知識が不可欠なのだが、やっとアメリカに伝わって来たばかりで、30年後になって初めてフォン・ノイマン等の数学者達が、遂にギブズの統計力学に正しい基礎を与えたのである。 ギブズは同時代のヘヴィサイドと同じ様に、物理数学的な勘が論理に先行し、一般には正しい理論に達するけれども、何故正しいのかと言う説明が出来なかった学者の一人である。 ギブズは熱機関工学者にとって、自由エネルギーで知られる著名学者なのですが、応用数学講義ではルベーク積分の習得も無かったので何とも理解し兼ねる処があります。 又、ヘヴィサイドはフィードバック理論に不可欠なラプラス変換を使って、実質的に制御フィードバック理論を展開させたのですが、厳密な数学理論を基礎づけたラプラスにその名を譲ることになったのです。 実用を重んずる工学の世界では理論より応用が重視されますので仕方が無いのですが、工学者の一員として寂しいものがあります。 何れにせよ、サイバネティクスを読破出来るか否か、甚だ疑問の状態です! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.09 15:06:50
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