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文芸春秋2020年6月号は「コロナ後の世界」が特集でした。
種々の自称論客が、愛国主義の観点から自説を述べていますが、その中にあって、フランス人のエマニュエル・トッド氏が「新型コロナはグローバリズムへの審判」として寄稿しているのが気になりました。 グローバリズムの恩恵を最も受けたのは高齢者、最も犠牲になったのは若い世代です。死者が高齢者に集中しているのは、あたかも「グローバル化の中で優遇されて来た高齢者を裁く為に神がウイルスを送り込んだ」と見えなくもありません。 低リスクの若者世代に犠牲を強いることで、高リスクの高齢者世代の命を守ったからです。 今回、体験したのは行政を担当する「知的指導層」が、知的に崩壊しているのかを曝け出しました。政府の対策は朝令暮改で、唖然とするしかない無能ぶりでしたが、あてにならない政府の下でも、自発的に、自律的に正しく行動出来たのは、「文化的な力」のお蔭です。 と言うのも、コロナ禍では、「全体主義」「独裁主義」の体制が成功し、中国式の監視管理こそ感染症対策として有効だとの議論が支配的だからですが、しかし、文化的な豊かさと社会に内在する潜在力こそが、本当の意味で最良な対策となって来るのです。 今回、新型コロナの被害が大きかった先進国が直ぐに取り組むべきは、将来の安全の為に、起こってしまった産業空洞化を克服すべく、社会インフラを再構築すべく、国家主導で投資を行うことです。それに加えて、医療体制を確保すべく、医療産業を保護する措置も採るべきでしょう。 グローバリズムは、諸国に跨るサプライチェーンを構成して、効率的な経済体制を享受して来たのですが、コロナ禍で諸国との交流が途絶えますと全く機能しないことが明らかとなりました。 やはり、今回の騒動で、グローバリズム体制に加えて、最低限のサプライチェーンは自国内でも賄えることが必須と言うことを如実に教えてくれたのだと思われます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.12 10:06:19
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