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カテゴリ:社会問題
社会的不安を煽っているのは誰なのか?
「日本にある原発の稼働を止めた場合のリスクはどのぐらいなのか?」 今一番問題なのは、この問題であるだろう。 反原発派の主張は、「放射能は怖い」「その影響は何年にもわたる」「廃棄物の処理方法が無い」などなどだが、そのどれもが確たるデータのないまま主張されていることが圧倒的で、いわゆる潜在的な恐怖心を煽っていること以外に、まともな根拠があるようには思えない。 (かの漫画家小林よしのり氏でさえも、そのような主張を繰り返しているのは誠に残念だ。) また、放射能によって奇形児が誕生しているなどの話も、科学的な因果関係が証明されていないものばかりだ。 既にここでも書いたが、放射能の影響は、これまで何十年にもわたって広島・長崎、チェルノブイリなどでの検証が行われており、その主要結論は、年間100mSV以上の放射線被ばくがあると発がんを増加させる傾向があるということでしかない。 また、胎内被ばく者の調査では、受胎後8-15週の胎内被爆者が年間5mSv以上を被ばくすると、平均より高い確率で重度の知的障害が発生するとされているので、特に注意が必要な層は、受胎後8-15週の妊婦だと最初から分かっているということだ。 そして、1000mSvの放射線被ばくでは、甲状腺癌の発癌相対リスクが2.5倍から約10倍とされるが、これは喫煙者の肺癌リスクや毎日2合以上飲酒する人の食道癌リスクと同レベルであるということだ。 このようなリスクは、確かに長期にわたる影響であり、怖いものであることは間違いない。 だが、昨年の福島第一で経験したことは、最悪と思われた状況においても、放射能汚染は考えていたほど大きくは無かったということだ。 まず、40年以上も前の原子炉がよく持ちこたえたこと自体が驚きであった。 また、一か所に原発を集中させ過ぎていたことや電源装置の浸水対策が不十分だったことなどがあり、原子炉内でのメルトダウンが発生したにもかかわらず、「チャイナシンドローム」のようなことも起きなければ、一部の学者達が叫んでいた核爆発も日本全土の放射能汚染も起きなかったのだ。 この事実を冷静に受け止めることのほうが重要ではないのか。 あれだけ震災直後、秩序だった行動によって世界を驚嘆させた日本人が、その後の集団ヒステリーとも受け取れる「原発止めろ」的行動は、逆にあまりにもリスクの高い行動のように思われる。 日本社会や経済に、より一層のダメージを与えるのは、このような盲目的な活動のほうであると自覚すべきだ。 震災後、人々に大きな苦痛と損害を与えているのは、むしろ不必要な避難生活の長期化や見通し不透明な支援体制、福島差別とも言える風評被害などによって、恐怖心が煽られ、事態をいたずらに暗くさせ長期化させている社会的行動のほうではないのか? (実際、避難生活の長期化や支援体制の見通しの暗さから自殺に至った人々が現れている。放射能そのもので死んだ人がいないにもかかわらずだ。) これは、原発そのものが与えている損害ではない。 事故後のパニックにも似た政治及び社会の状況による損害ではないのか。 そして今、日本中の原発を全て止めて、この夏もまた節電を国民に強要するのだという。 電力事業法(第18条)によれば、電気事業者は正当な理由が無い限り電力供給を行なわなければならないから、定期点検を終えて、技術的に何ら問題のない原発の再稼働を行なおうとするのは、事業者としてはむしろ当然の行為なのだ。 にもかかわらず、これを拒み、原発を停止させている政府は、法律違反だと言われても仕方がない。(また、それを煽っているマスコミも相当罪が重い。) このような超法規的措置を取るのは、いわゆる緊急事態のような場合だけのはずであり、平時において民間企業の事業内容に国家が介入することは、法治国家としては異常な事態である。 おそらく、「明日にでもまた大地震が起きたり、津波が襲ったららどうするんだ?」という理屈が、今の異常な政府の行動を情緒的に支援しているのであろう。 明日、大地震が来て津波が日本を襲う可能性は、無論誰にも否定はできない。 だがそれは、明日あなたが交通事故に遭ったり、重大な病気になる可能性を否定できないのと同じレベルの不確実性でしかない。 しかし、原発を止めてしまえば、ほぼ確実に電力不足が発生し、節電の必要が生じ、また火力発電の稼働を上げ、CO2の排出を増やし、原油の値段を引き上げて、電気代が上昇する等などのことが発生するのだ。 電力の3割ほどを原発によって供給してきた以上、それを止めれば、3割の電力消費を削減するか、他の方法によって発電するかしかないのは当たり前ではないか。 停電や電力不足になって、一番最初に被害が出るのは、病院や介護施設など医療機関ではないのか? 手術中の患者に、停電や節電を強いるのは、死んでも仕方がないと覚悟せよと迫ることとほぼ同じことだろう。 もしもそうだとしたら、これは間違いなく人災ではないか。 また、そのような電力供給の不安定な状況やエネルギー調達が困難な環境下で、日本企業が更に海外展開していくことになれば、一層の雇用喪失となり、またますますビジネスチャンスが国内で無くなってしまうだろう。 こう考えて来ると、いつ起こるとも知れない天災や事故を理由に、法律を犯してまで直ちに原発を止めて、人為的に電力不足の状況や電気代上昇の原因を作り、医療機関等での生命の危険を増やし、産業活動の制約を強め、雇用喪失の機会を増大させてしまう等々のことのほうが、よっぽど狂気に満ちた悪質なリスク増加ではないのか? 「生命と財産を守る」ことは、原発停止によっては決してもたらされはしないだろう。 ご賛同頂けるならクリックをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.21 22:14:40
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